君の心配事。
夜乃Side
奏真君と、凜兄が出ていってから、私はダイニングで母と父と、ただ呆然としていた。
いったいどれだけの時間が経ったのかわからないけれど、私が思ったのは、凜夜君と奏真君がどこか似ていると思ったのは、私の記憶にはない奏真君と凜夜君のお父さんが関係していたからなんだ。
『不倫』...
私の心には重くその言葉が響いてきて、他に何も考えることができない。
きっと何かがあったんだろうけど、凜夜君はお兄ちゃんだし、奏真君は好きな人、変わりない事実。
私は重苦しいダイニングを出て、テオの散歩に行くことにした。
「夜乃?」
母が気力のない声で私の名前を呼んだ。
「テオのお散歩行ってくるね」
出来る限り明るく言って部屋を出た。
テオは元気を装う私に、心配そうな声で真っ直ぐ見つめた。
「テオ、お散歩行こっか」
私がリードを見せると、絶好調の時とは違う喜び方で、私に早く行こうと言わんばかりにしっぽを振った。
「よしっ、行こう」
なんとなく、河川敷に行きたくなって、そっち側へ走り出した。
たまたま道で見かけた女性。
「玲奈さん!」
なぜ、呼び止めてしまったのかわからないけど、そのまま走った。
「えっと、凜夜の妹ちゃん...」
「こんにちは。凜夜君の従妹の夜乃です」
玲奈さんは、そうだったという反応をして、私に一つ尋ね事をした。
「ねぇ、夜乃ちゃん。凜夜の隣にいる子って誰?」
ついさっきの話が頭のなかを一瞬で駆け回る。
「えーっと、凜兄の、腹違いの弟さんです。あの!凜兄、...凜夜君を支えてあげてください。今きっと、すごく苦しんでると思うから...その」
「大丈夫...大丈夫わかったから。夜乃ちゃん、ありがとね、教えてくれて。彼女として、凜夜を支えるから。夜乃ちゃんは、隣にいる弟君を支えてあげて。きっとあの子もあの子なりにショックを受けているはずだから」
なんで玲奈さんはここまでわかるのだろう、そんなことを思ってしまった。
「はい。では、凜兄をお願いします。テオ、行こっか」
私は玲奈さんに一礼して、テオと共に、奏真君が一人になるまで、テオとじっと見ていた。
それもすごく短く終わり、凜兄は玲奈さんに腕を引かれ、そのまま見えなくなった。
奏真君は、一人立っていた。
その時、テオが吠えてしまって見つかった。




