君は言う。
凜夜Side
俺に、兄弟がいたんだ。
なんかフクザツな感じ。
「じゃあ、僕はここで」
中学校の前辺りで告げられた。
「あぁ。...奏真、メルアド教えて」
俺の言葉に笑ってくれた弟。
響きがいい。おとうと。夜乃はいもうと。「うん。兄さん」
不思議だけど、楽しい。
「よしっ、完了。奏真、気をつけてな」
「兄さんも」
お互い思いの外早く打ち解けられた気がする。
家に戻ろうと、振り向くと、
「凜夜...」
玲奈がいた。
「さっきのダレ?」
「俺の弟」
玲奈はわからないという顔をして、首を傾げた。
「凜夜、泣きそうな顔してる」
玲奈は心配そうな目で俺をじっと見つめた。
玲奈は俺の手を引っ張って、玲奈の家へ連れて行った。
家は静かで、『玲ちゃん』とプレートの掛かった部屋に入れられた。
「凜夜、泣け」
唐突に言われて驚いたけど、情けない。
涙が勝手に出てくる。
玲奈は俺を抱き締めて、背中をさすってくれた。
疲れるくらい泣いて、鼻声のまま
「玲奈、ありがと。もう大丈夫だから」
と言っても離れない。
「凜夜は一人じゃないから。玲奈がいること忘れたら許さないから」
玲奈は、少し離して、俺の目を見つめた。
「目」
俺は目を閉じた。
唇に触れる柔らかいモノは、俺の心を包むみたい。
一人じゃない......。
玲奈がいる。
大事な恋人。
夜乃がいる。
大事な妹。
奏真がいる。
父さんが残してくれたたった一人の弟。
唇が離れると、
「一人じゃないからね」
と言った俺の恋人。




