君の答え、僕の決意。
奏真Side
夜乃さん。ちゃんとお話がしたいです。
なので、次の土曜日の10時、初めて逢ったバス停の近くにある、カフェ<Story>で会えませんか?
僕の決意のつもり。
あなたに、嫌われても。あなたに、見離されても。僕は貴女が好きです。
お願い。
最後のお願い。
もう我が儘言わないから、最後に一度だけお話をさせて。ください。
これが、ダメなら僕は貴女を諦めます。
これで、僕の片想いは終わるんだ。
「よしっ」
送信ボタンを押して、僕はまたひとつ階段を上る。
階段の後ろを振り返っても、ずっとずっと暗いまま。
僕の出生に何か隠れた秘密があるなんて思いもしなかったあの頃、僕の本当の両親は幸せだったのだろうか。
僕は、本当の父に会って、ちゃんと言いたい。
「僕はここまで大きくなりました。お父さんは、今幸せですか?僕を知っていますか?」
他にも、たくさん知りたい。
同じ場所にほくろがあるのか、同じ癖はあるのか、顔は誰に似ているのか。
言い出せばキリがない。
『奏真』という名前は誰が決めたのか。
それも含めて...。
ぎゅっと携帯を握っていると、隠れた着信音が僕の手のひらに小さい振動を与えた。
僕は今までにないほどに急いでメールを開いた。
奏真くん、ごめんね。
お父さんが家で会いなさいって言ってるの。
それでもいいかな?
手が震えだす。
なぜかわからない。
でも、どんどん身体中に広がって、全身が震えだす。
とうとう手から携帯を落としてしまった。
何といえばいいのか、兄が合鍵で入ってきた。
「奏真!?大丈夫か?」
焦ってる兄、紘真さん。
紘真さんなんて言ったら、お腹を抱えて笑うだろう。
「紘兄、やっと...やっと、本当の...父さんに会える...」
兄は少し疑問の表情を浮かべ、僕の方を心配そうな声で言った。
「ほんとに...、行くのか?もう、戻ってこないのか?」
僕の母は紛れもなく兄さんと同じだ。
だから、もし、本当の父さんが籍を入れようとしても、何もしないつもりだ。
「紘兄、僕はいなくならない。僕、...俺、守りたいから...」
大好きだと、わかったから。
もう、踏み出さないと...後悔する。
俺は、もう逃げない。
絶対、納得のいくまで......。




