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桜は微笑む。  作者: 青柳 兎蝶
第一部 『胎動』
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2.爪跡


 目を開くとそこにあるのは冷たい闇だけだった。


「っ……」


 軽く声を洩らしながら硬いベッドから身を起こすと、体を包みこむ疲労感に重い瞼を左手で押さえた。

 頭の中に広がる靄を追い払おうと少し大げさに頭を振ると、ベッドから立ち上がり洗面台で顔を洗う。

灰色の壁に張り付いている小さな洗面台。

 蛇口の真下に頭を突っ込むと冷たい水が靄を綺麗に吹き飛ばし、視界がクリアになっていく。

 タオルはないので水しぶきを飛ばしながら鏡を見ると、どこか不満げな仏頂面の自分と目があった。

 青の髪と群青色の瞳。

 母さんや妹とお揃いだ。

 美人な二人とは違い、文句でも言いたそうに尖らせている唇や、生まれつきの凶悪な目つきが周りのみんなの反感を買っていた俺の少年時代。

 特に意識してのことではないのに、誤解されやすい子供だったのだ。

 特にこの目つきの悪さは、今までにトラブルしか生んでこなかった。何見てやがると因縁をつけられたり、小さな子供と目が合ったとたん泣かれたり。

 こっちにその気はなくとも、目つきが悪いだけで悪意を持っていると誤解されたり距離を置かれたり。

 あー、挙げればきりがない。

 やばい、だんだん悲しくなってきた。

 はあと重い溜め息を吐き出すと、いやいや、朝から落ち込んでいてはだめだ、と意識を切り替えるために、俺はつい先程見ていた夢へと思いをはせることにした。

 昔はよく見ていたが、ここ数年は全く見なかった夢。

 あの後目が覚めたら、俺と梨花は孤児院のベッドの上にいて、あの男の姿は影も形もなかった。

 孤児院の名前はファミリー。

 ここから北端、かつての兵庫県と京都府の県境ギリギリに建っている。

 孤児院の院長先生の話では男は俺たちを頼むと言った後、傷の治療もせずにすぐ飛び出していったらしい。院長先生の制止も聞かずに。

 あのまま街に放置されていたら、俺たちは本当に餓死していただろう。

 気に食わないが一言でもお礼が言いたくて、俺はあの男を探している。

 戦争後消息不明の母さんとともに。

 俺なりに手を尽くしても分かっていることは少ない。

 それは姿を見たくせに肝心の顔がどうしても思い出せずにいるせいでもあったし、何より俺には情報を操作できる力がないせいだった。

 あの時にはもう戦争の決着は着いていたらしく、すぐに人間側には平穏が戻ってきた。

 だが、戦争に敗れた吸血鬼側は純血の吸血鬼を筆頭に、政府の管理下に置かれ強制的に【結晶病】の研究に協力、もとい利用されることになった。


 終戦によって結ばれたものは和解や協力関係ではなく、人間による吸血鬼への完全なる支配のみだったのだ。


 人間は数に物を言わせ『吸血鬼狩り』で多くの吸血鬼を殺戮し、血液を取り出すために、わざと殺さずに酷い拷問にかけることさえしたのだという。

 おぞましい話だ。

 込み上げる吐き気に洗面台についていた手を握り締める。

 せっかく気持ちを切り替えるために考え出したのに、気分的には変わらなかったぜ……。

 大仰な機械音とともに部屋の扉が左右に開き、長髪の青年が入ってきたのはその時だった。

 長袖の、よく糊のきいたシャツと藍色のジーンズ。

 スラリとした長身で、どこか王子様然とした微笑みを浮かべている。

 黒髪を肩甲骨辺りまでのばしており中性的に見えるが、男だ。

 肩には黒い鞄をかけている。

 黄色の瞳が柔和そうに細められ、彼の雰囲気によく合った柔らかい、ふくよかな声がした。


「おはようございます、(サクラ)くん」


「……(レン)か」


 桜――俺は鏡から視線を移すと、ぶっきらぼうに言った。

 (けい)機関(きかん)本部・幹部の一人、蓮。

 年は俺の二つ上の十八で、常に物腰が丁寧で、優しい微笑み……通称・王子様スマイルに騙されそうになるが、見た目に釣られる女子たちよ、気をつけて欲しい。

 コイツは少々Sッ気のある、まぁ油断ならないやつだ。

 蓮は苦笑気味に笑う。


「僕では不満ですか?顔に出てますよ」


「当たり前だろ。野郎より綺麗なお姉さんがいいに決まってる。撫子(なでしこ)さんはこねーのかよ」


 撫子さんとは俺が職場でお世話になっている人たちのうちの一人だ。

 毎朝俺の部屋に朝食を持ってきてくれる人なのだが、目の前のこいつと撫子さんが当番制で持ってきてくれるので、今日のように撫子さんが来ない日もある。

 そういう日は一日ブルーだな。


「最近撫子さん、忙しいみたいですよ?今、僕たち幹部はやっと収まってきた『吸血鬼狩り』の後始末に追われているので。まあ、後で言っておいてあげますよ。それより」


 蓮は俺の濡れた髪に目をやった。


「凄い寝汗ですね。せっかくの綺麗な青色が澱んでいますよ」


「誰が寝汗だ!濡らしたんだよ! 水で!」


「あっはは。分かってますよ。言ってみただけです」


「てっめぇ~」


 唸る俺の反応を完璧に楽しんでいる蓮を睨みつける。

 ほんとにコイツは。

  優しそうな顔をして、いい根性していやがる。

 いつだって、蓮は俺をからかって楽しんでいるのだ。

 それが分かっていても噛みついてしまうのは何故なんだか。

 悔しさから睨み続けていると、視線に気づいた蓮は笑みを引っ込めた。


「今日は時間があまりないので急ぎますよ。朝食は歩きながら食べてください。それでは、行きましょう」


 そう、勝手に仕切ってしまうとこちらの都合も聞かずに部屋を出ていく。

 まだ着替えもしていなかったので急いでタンクトップを着る。

  それからむきだしのコンクリートに敷いたタオルの上に置かれている二本の刀身を掴むと、腰のベルトに差し込み、追いかけた。

  毎日実験で使用する俺の相棒。

  棗に申請し貰った特注品だ。

  ほの白い蒼の燐光を放つ刀身、強靭な攻撃性と二本を重ねることで強力な防御力を誇る。

  吸血鬼は爪を伸ばして剣の代わりにするのが主流だ。

  俺もそうすることはできるが、爪や手のひらに直接伝わる、人を切り裂く感覚が嫌でたまらなくなって、棗にお願いしたのだった。

  そうして得た相棒もグリップから伝わる生々しい感触はやっぱり逃れようがないけれど、それでも爪で戦うよりは幾分かましだった。

 いつもなら朝食をゆっくり摂りながらその日一日のスケジュールを聞き、その後に蓮や撫子さんと一緒に研究室に行くのがお決まりだ。

 毎朝、蓮や撫子さんの方から俺の部屋に来るのはスケジュールを知らせるためでもあるが、本当は実験体である俺が単独でこの部屋を出られないから、である。

  しかし、今日みたいに朝が早いことは滅多にない。

  なんなんだ?

 蓮の隣に追いついて肩を並べると、「どうぞ」と大きな海苔で握られたのか、真っ黒のおにぎりが差し出された。

  見た目はシンプルだが、味は結構いけるので、いつも通り受け取ってもしゃもしゃと咀嚼する。

 部屋から出て左を曲がると、廊下のつきあたりにエレベータがあり、乗り込むと五十階まであるボタンのうち一番下の地下五階を押した。

 ゴウンと揺れながらエレベータが降りていく。




 ――【結晶病】の進行を遅らせるのに効果がより強いのは混血の吸血鬼の血ではなく、純血の吸血鬼の血。

 しかし、純血の吸血鬼は世界にたった五人しかおらず、政府は(けい)機関(きかん)に彼らを集めることにした。

 K機関とは、【結晶病】の進行を遅らせることができた鈴蘭(すずらん)という名前の研究者を最高権力者とした組織のことで、『吸血鬼狩り』で捕えられた吸血鬼やその死体の一部を保管したり、吸血鬼を使って【結晶病】の薬の研究をしたりしている機関のことだ。

  吸血鬼は死ぬと死体ごと灰となって消滅する。

  しかし政府は彼らの死体を生前のように維持する方法を見つけたらしい。

 K機関は純血の吸血鬼を捕獲することに成功し、何らかの条件とともに彼らを自身の手足のように労働させているのだが、その条件が何なのかは世間にも公表されていない特殊(トップ)機密(シークレット)なのだとか。

 六年前、当時十歳の俺を孤児院まで訪ねて来たのが今の俺の上司、(なつめ)

 理由なんて至極簡単なこと、実験体(モルモット)ととして利用するためだ。

 吸血鬼の母親と人間の間に生まれた、混血の吸血鬼とは違うイレギュラーの存在の俺を珍しがって。

 世界は今も絶えない吸血鬼狩りと【結晶病】の被害に追われ、どこの国も貧窮している。

  個人経営の孤児院・ファミリーも例外ではなく、経営が厳しい中でやりくりしていた。

  だから俺は、少しでも院長先生や孤児院の皆の役に立ちたくて、報酬は働きに見合うだけのものを、という甘言に二つ返事で了承した。

 自分にできることをしようとここで働くことを決めたのは、俺の意思だ。

 しかし案内されたのはK機関本部ではなく、純血の吸血鬼たちがK機関に任されたK機関支部のビルで、初日は顔合わせや軽い体力調査で終わった。

 そこで驚いたのが、K機関支部の社長――純血の吸血鬼の頭は、棗だということ。

 そんな凄い奴が自ら訪ねてきてくれたのかと恐縮する思いだった。

 棗は自分の血筋や身分を傘にきることも、高圧的になることもなく、いたってフレンドリーに話しかけてくれた。

  建前上は俺の存在が珍しいから研究材料として欲しい、だけど、本当は半鬼という特別な存在である俺を『吸血鬼の血』を欲しがる人間から保護するため、ということらしかった。

  【結晶病】の完全な治療法が見つかっていない現在。

  政府が吸血鬼たちを探すのとは別に、一般の人間たちは『吸血鬼の血』を欲するあまり、人間と吸血鬼との間の停戦協定などお構いなしに吸血鬼を襲っている。

  これが、十年前の人間と吸血鬼の大戦『吸血鬼狩り』以降もなくならない、『吸血鬼狩り』である。

  停戦協定など意味をなしていないと思うかもしれないが、これでも初めの数年に比べればマシになったというものだ。

  政府が吸血鬼を保護する、『血鬼保護条約』という法令が全世界に布かれ、吸血鬼を私利私欲私怨の為に殺した者は裁かれることになっている。

  こうした政府の徹底した保護活動により、ここ数年は『吸血鬼狩り』も落ち着いてきていた。

  もっとも、政府が吸血鬼を保護するのは善意からではない。

  大事な治療薬の元である彼らの数を減らしたくないから。

  ただそれだけだ。

  俺が半鬼だと知っているのは妹の梨花(リカ)と院長先生だけだった。

  いずれ俺の正体がばれて、吸血鬼の血が欲しい人間に殺されるかもしれない。

  そんな恐怖を俺も抱えて生きてきた。

  だから君を助けたいんだ、と握手を願い手を差し出してきた棗を俺は信じよう、と思ったんだ。

  初対面の俺に、こんなに真摯に向き合ってくれる存在。

  こいつが、吸血鬼を統べるもの、純血の吸血鬼の頭。

  尊敬の念を初めて他人に抱いた瞬間だった。

  K機関支部の幹部は四人。撫子さんと薔薇(そうび)。どちらも純血の吸血鬼だ。

  それと、K機関本部から純血の吸血鬼を監視するために派遣されてきた人間、蓮と梔子(くちなし)

 昔、五人いた純血の吸血鬼のうち残り二人は『吸血鬼狩り』で命を落としてしまったらしい。

 俺は数週間に一回、外で一泊することを許されていて、それはファミリーにいる妹に会いに行ける大事な一日だ。梨花には寂しい思いをさせているが、梨花の為にも稼がなくちゃ、という思いは苦しい実験に耐える一種の鎮痛剤のようなものだった。



 君を保護すると同時に、半鬼である君の体も調べさせてほしい、と棗は言った。

  主に仕事の内容は実験。

 薬の副作用で狂暴化した吸血鬼や体の変形してしまった人間との戦いで吸血鬼の生態や力の限界をはかる。

  血の採取をしたり、時には凶暴化した吸血鬼が脱走した際の処理係として駆り出されることもある。  俺はまだ受けたことはないが、本部では体を切り刻み、吸血鬼の再生能力に個人差があるのかを調べたりもしているらしい。他には棗たち幹部と歓談していて一日が終わったこともあるし、梔子が開発した薬や機械の実験体にされることもある――もちろん、梔子の個人的な趣味の為に、だ。

  以前俺は棗たちに、同胞である吸血鬼たちが実験体にされていることについて、嫌ではないのかと尋ねたことがあった。

  薔薇は自分には関係ないといい、撫子さんは哀しそうに笑い。

  棗はちょっとだけ、泣きそうな顔をしていた。

  苦しくて辛くて悔しいけれど、受け入れるしかないのだと。

  それからしばらくして、俺は棗が街で遭遇した吸血鬼を見逃したところを見た事がある。(本来そういうことは本部に逐一報告しなければならないのにだ)

  何事もなく帰還する棗を俺は、なんて悲しくて、優しい吸血鬼なのだろうと思ったのだ――




 実験は実験部屋で行われるのだが、まずは研究室に行って実験の内容を知らされるところから始まる。

 エレベータを降りてすぐ目の前にある灰色の扉の右側に社員証を通す機械が壁に埋め込まている。

  蓮が自らの社員証をシャツの胸ポケットから取り出し、機械に読み込ませる。

  すると扉が数秒後、左右に開いて。

  相変わらず片付いていない部屋の様子が目に飛びこんできた。


「おはようございます、梔子ちゃん。桜くんを連れてきましたよ」


 ごちゃごちゃしたコードがコンクリートの床に散乱して、注意深く歩いていないと転びそうだ。

 躊躇なくそんな部屋に足を踏み入れながら蓮が声をかけると、部屋の中央で何十個もあるパネルをいじっていた人影が椅子を回してこちらを振り返った。


『ああ、ごくろうさま』


 機械で合成したヘリウムガスを吸ったみたいな声。

 言葉は丁寧だが椅子にふんぞり返っているような座り方がどことなく偉そうなこいつは梔子――K機関支部が誇る最高の頭脳の持ち主だ。

 世界的にも有名な研究者だからなのか、自分に確固たる自信を持っているような発言をたびたびすることがある。が、変に嫌味がなく、俺は結構こいつの性格を気に入っている。

  梔子は六年前に支部にやってきた俺と同時に入ってきた――いわゆる同期という奴だ。

  年も同じということもあって気兼ねなく話ができる相手だ。

 いつも床に引きずる汚れたフード付きローブを目深までかぶっているせいで顔を見たことはない。

 何故機械ごしでしゃべるのか、何故フードを被り顔を隠すのか、謎の多い人物だ。

  十年前の『吸血鬼狩り』以前から神童と呼ばれ、有名な研究者だったという梔子は、K機関が設立されてから呼び込まれた研究者のうちの一人らしい。

  元はアメリカで暮らしていたそうだ。

  ここ、支部では多くの研究者たちの上司、という立ち位置になる。

 フードの間からちらちらと覗く可愛いピンクのヘアピンから女性なのかな、と推察できるぐらいしか、梔子のことで知っていることは少ない。


「よう、梔子。今日は何の実験なんだ?」


 片手をあげて梔子に挨拶をし、とっくに食べ終わっていたおにぎりを包んでいたラップをズボンのポケットにねじ込んだ。


『自我のない吸血鬼の始末なんだけれど、その吸血鬼、格闘術の使い手でな。ちょっと厄介なことになったから早急に殺戮許可が出た』


 そうか、だからこんなに朝早かったのかと納得していると、梔子が前に向き直り、手元のパネルをいじって無機質なガラス壁に映像を映し出した。

 映像には目を零れ落ちそうなほどむき出しにして、耳をつんざく叫び声をあげている吸血鬼が映っている。

 口が耳まで裂けており、涎が周りに飛び散る。

  血も凍る光景だったが、その叫び声はまるで悲しみから泣いているようで胸がつまった。

  自我のない吸血鬼とは、血に溺れた混血の吸血鬼のことをいう。

  平常を超えた大量の血液を飲みすぎ(一都市の人間丸ごと、など)、血の味に狂ってしまった彼らはただ血を吸う、という行動原理だけで動く。

  人間でも、吸血鬼でも、彼らには関係ない。

  おそらく、そういった判断もできなくなるくらい自我を失ってしまうのだ。

  それ故、混血の吸血鬼たちは血を飲む量には気を付けているらしいのだが。

  十年前の『吸血鬼狩り』以降、争いが絶えない現代では彼らの数が増えているのが現状だ。

  何故血を飲む種族である彼らが飲みすぎにより狂ってしまうのか、自我を失うと稀に純血をも凌ぐ力を発揮するのか、彼らには謎が多い。

  K機関ではそんな彼らも実験体として利用するために大量に捕獲していた。

  回転椅子に座り手を動かす梔子に近づく。

  背後に立つ俺に、梔子は無言でダークブルーの腕時計を渡してきた。

  日常的なことに言葉はいらない。

  心拍数、脈拍、呼吸回数、脳波、筋肉の伸縮や窮地に陥った時に解放される、普段は眠っている潜在能力値。

  その他にもいろいろと測ることがこの腕時計一つでできるのだ。

  実験前にはこれを必ず装着することになっている。

  実験開始数分前に起動させ、実験が終了すると速やかに実験担当者に返すのだ。

  ごちゃごちゃつけていても動きにくいだけだしな。

  腕時計は身軽でいい。

  耐水性に優れた素材でできており、滅多なことでは壊れないのもいい。

  右手首に腕時計を装着すると、腰の相棒に触れる。

  毎日丁寧に手入れをしている刀身は磨き抜かれていて、切れ味抜群。

  俺をいつでも助けてくれる相棒はすでに体の一部になっていた。

  一気に殺気立つ俺に、後ろから蓮が声をかけてきた。


「先に他の実験体が一人入っています。準備はいいですか?」


「……ああ。開けてくれ」


 集団戦。他の実験体との実験は珍しくない。

  ただ……。

  心の中でため息をつく。

  研究室の奥に、実験室に続く扉がある。

  K機関には多くの実験内容に適応できるように様々な実験室が用意されている。

  梔子のいるここは主に実戦系の実験室になる。

  そこに向かうと、扉の前に来たところで扉が開いて、中からまぶしいくらいの真っ白い明かりが差し込んだ。



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