表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/22

十話


態々、厄介事に首を突っ込む必要はない。攻略組でもないんだから、ゆっくりと自分のペースで落ち着いたプレイをすればいい。っていうか、僕は面倒な事はしたくない。


だから、イベントとかクエストとか、あんまり興味無い。今までも、サクラさんとゲームを楽しむためか、ステータス強化のためにしか手を出してないし。これからもそのつもりでいる。


やりこみ要素満載の『無限』だが、僕はサクラさんとイチャイチャするツールとしてしか利用してないから、イベント方面にはあんまりヤル気が出ないんだよね。カンストした特殊種族で特殊職業の僕が言うセリフではないけど。


ソラさんマイさんも基本的にはPKばかりだったのに、なんでこんなの拾ってきたんだ。めんどくさい。


「二人で何とかしてください。僕はサクラさんと観光デートにでも行って来るんで」


ついでにフロウくんかハンマーくんに迎えに来てもらって、『オウゲイ』に帰る。帰りたい。


これでも僕は【サクラクタ】のギルド長なのだ。いつまでもホームを不在にしておくのも忍びない。だから早く帰るべきなのだ。


「嫌です!めんどくさいです!」


「今こそ四人で力を合わせる時だよ!」


すごく、嫌だ。


できないからではなく、めんどくさいからというのが特に嫌だ。まぁ、カンストプレイヤーに出来ないイベントやクエストは限られているし、少なくとも『地界』の序盤でそんな難易度イベントが起きるはずもない。


むしろ、そんな程度のイベントに時間を浪費するのは非常に無駄だ。僕とサクラさんの新婚生活に無駄な時間は挟みたくない。新婚夫婦は常に忙しいんだよ。主に愛の育成計画が。


「サクラさん!サクラさんはどう思う!?」


「困っている人は助けた方がいいと思いませんか!?」


とてもではないが、PK大好きな双子の言葉ではない。そう思うだろう。だが、この双子はいつも大体こんな感じだ。


この双子、主義・主張が一貫しないという意味で、とても気紛れ屋だ。


その時の気分次第で――世間一般的に見て――善人になったり悪人になったり、自己中になったり人情家になったりするのだ。気分次第で、困っているお婆さんに手を貸したり、泣いてる子供を更に煽ったり。基本的に子供っぽいことだけ、共通している。


ある意味では、最も人生を楽しんでいる部類の人間だと思う。刹那的というか、その時に応じてやりたいことを迷わずやってしまい、しかも失敗しても後悔しない。いい事か悪い事かは判断できないが。


厄介なのは、その気紛れを周りに押し付けてくること。非常に鬱陶しい。この点を含めば、悪い事だ。


双子に詰め寄られたサクラさんも、めんどくさそうにして、僕の左腕に抱き付いた。


「私は………アクターに任せる」


だと思った。サクラさんはいつも僕の味方だよ。僕に優しくしてくれるのはサクラさんだけだ。


「だと思った!むしろ他の答えが予想出来なかったよ!」


「私達の肩身が狭いです!」


「人徳の差ですね」


いや、まぁ、人徳ではないって理解してるけど。


サクラさんのは愛だけど、ハンマーくんとフロウくんは意志薄弱なだけ。僕が責任を押し付けられているというか。セルさんなんかは僕を使って楽してPKしようとしているのが見て取れるくらいだ。


結局、【サクラクタ】は殆ど僕が掌握しているってだけだ。ギルド長だし、みんな単純だしね。あ、サクラさんの意見は全面的に採り入れるから、むしろサクラさんが【サクラクタ】のラスボスだな。


「とにかく、満場一致でその二人の処分が決定しました」


「満場一致の意味わかってる!?」


「ソラさんとマイさんの意見は取り入れないことにしてるんで」


「とんでもないボスですね!知ってましたけど!」


ギャーギャー五月蝿い。


断言するけど、僕はサクラさんとイチャイチャするために生きているわけで、行動の全てはサクラさんのためのものだ。だから、こんな所で道草食ってる場合ではないのだ。さっさと帰ってイチャイチャしたいのだ。


「ってことで早く殺りましょう」


人差し指を曲げる動作認識で拳銃を取り出す。撃鉄を起こし、男に銃口を向けると、双子が殊更騒ぎ出した。


「せめて話だけでも聞こうよ!」


「それからでも遅くないですよ!」


僕としては一分一秒たりとも無駄にしたくないんだが、双子はやけに必死だ。裏、と言えるほど立派な隠し事をこの二人が作れるはずもないが、何かしら理由はありそうだ。見たところ、引け目があるな。


その内容に興味はないが、PK以外でこの二人がこんなに食い付くのも珍しい。今までの不遇な扱いも考慮し、ここは引いてあげようか。…………いや、でもなぁ。


「じゃあマイさん、回復剤でも使ってさっさと起こして下さい。面倒な人だったら殺しますから」


「そ、その手があったか……!」


極一般的な解決法を提示しただけなのに、何故か戦慄する双子。頭悪っ。


マイさんが袖から引き出したのは、『全効能回復ポーションX・改』。毒々しい紫色のどろどろした液体で、フラスコいっぱいに詰まっている。フラスコのコルク栓を抜くと、紫色の変な煙を発した。


フラスコから辺りに漂う匂いは、コーヒーのような芳ばしい香りだった。なんか怖い。


フラスコをひっくり返すと、ドロ、ベチャッ……ジュワッと、ヤバい系の音がして、液体をかけられた男が泡立っていく。泡に包まれるのではなく、男の体そのものが泡立っている。気持ち悪い。


「これ、本当に回復剤……?」


流石のソラさんもドン引きしている。が、マイさんは自信満々に胸を張った。


「当然です!どんな怪我でも疲労でも、部位欠損でも状態異常でも呪いだろうが死亡だろうが回復します!唯一の難点は回復中に激痛が走ることですが、痛みで昏倒しても回復させるので大した問題ではありません!」


言葉通り、男が目を見開いて絶叫し始めた。痛みに耐え切れずガリガリと頬を掻きむしっているが、皮膚が裂けた傍からどんどん治っていく。しかも、それが更に痛むという悪循環。遂に白目を剥いて泡まで噴き出したが、強制的に意識を戻されて再び悶え苦しんでいる。


どう見ても、毒を飲まされた人にしか見えない。


「痛みを伴う回復なんて需要あるかな!?」


「もちろん!今回のような気絶している人に使用すれば、痛みで強制的に覚醒させられます!」


「なるほど!戦闘中に死んでないけど昏倒してしまった仲間に使えば、これ一つで復帰できるってことだね!こいつは買いだ!」


どこの通販番組だ。


因みに、当然だが『全効能回復ポーションX・改』の需要は全くない。っていうか僕からすれば失敗作だ。『X』はバツで、『改』は改悪の意だと思って構わない。


そもそも、回復に時間がかかり過ぎで使い勝手が悪い。それにマイさんの作品には、もっと便利な回復剤は沢山ある。『全効能回復ポーションEX』なんかは、痛みを伴わない『全効能回復ポーションX・改』とほぼ同じだ。臭いが、とてつもないが……。


三十秒ほど苦しみを味わった男が、やっと痛みから解放されたらしく、息を切らし、汗を大量にかいた状態で立ち上がった。酷く疲弊しているように見えるが、回復ポーションで疲労も回復しているので、実際は素晴らしいコンディションになっているはずだ。激痛で摩耗した精神は、治っていないが。


汗で汚れた額を拭い、混乱した様子で僕達を睨んでくる。別に僕達が何か悪いことしたわけでもないのに…………あぁ、いや、そうでもないか。うん、全部マイさんの責任です。


「大丈夫ですか!?すごく苦しそうでしたけど!」


どの口が言ってんだ。


「向こうの塀の近くに倒れてたんだけど、何してたの!?」


たぶん、マイさんの爆発に巻き込まれたんだと思う。面倒を増やす気もないし、言わないけど。


「あ!こっちの女の人も拾ったんですよ!」


マイさんが、足元に転がっている女性を指差す。が、僕は見た。一瞬、足蹴にしようとして右足を上げたのを。流石に自重したようだが。


マイさんに釣られて女性に目を向けた瞬間、男の目が大きく開いた。


ソラさんマイさんみたいな怪しい仮面双子に大声量で捲し立てられても無反応だったくせに、女性の存在または姿が余程衝撃的だったらしい。人の感性は、本当に理解し難いね。


僕なら目を覚ました時、兎の仮面を着けた二人組が近くにいるってだけで、引き金に指がかかると思う。因みに、僕の拳銃の引き金は軽い。


そろそろ、この男性も何かアクションを起こすだろう。そう思いながらも静観していると、男が徐に手を挙げた。


そして、


「“エクスプロージョン”!」


爆発の魔法を唱えた。この男の、大一声である。


大した威力ではなく、爆風で少しばかり砂が舞う程度。だが、もちろんサクラさんは僕の後ろに庇ったし、ソラさんマイさんが僕と爆発点の間に割って入ったから、僕達には爆風すら当たらなかった。


当たらなかったけど、これはサクラさんに対する明確な暴力行為である。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



『サクラクタ憲章』『第一条・如何なる場合に於いても、ギルド長または副ギルド長の権限を最高法規とする。但し、ギルド長を除く【サクラクタ】の全構成員の総意は、ギルド長に対抗できる』


『第二条・サクラさんに手を出す者は死んでください』


『第三条・アクターに近付く女は死ねばいい』


『第十条・刑の執行を邪魔した場合、例え【サクラクタ】に所属する者でも敵とみなす』




【サクラクタ】というギルドがPKギルドとして頭角を現したのは、凡そ一年半前のことだ。ガスマスクを装着した五人組・・・の殺人集団として、『魔界』を拠点に活動していた。


【サクラクタ】の名前の由来は、聴こえの通り、『サクラとアクター』である。元はアクターとサクラが形成した二人だけのパーティー名だったのだが、ハンマー、セルハイド、フロウが合流し、極一般的なギルドとして【サクラクタ】の名をそのまま引き継いだ。


ハンマーは、アクターとサクラ、二人と同じ高校出身。セルハイドはサクラの大学の先輩で、アクターとフロウ、隠しているがハンマーとも面識がある。フロウはアクターとハンマーの高校での後輩にあたり、サクラとセルハイドとも面識があった。


詰まる所、初期のギルド【サクラクタ】は、アクターとリアルでの友人間で形成されていた。PKにも手は出さず、GvGやイベントに参加するだけの、特に目立たないギルドだった。


そんな【サクラクタ】がPKギルドに傾倒し始めたのは、不用意にもサクラに絡んだプレイヤーを、激怒したアクターが惨殺した事からだ。いくら素行の悪いプレイヤー相手とはいえ、プレイヤーの脳天に複数発の鉛弾を撃ち込んだ時点で、アクターはPKになった。


次に、アクターをPKKの標的にしたプレイヤーをサクラとハンマーが返り討ちにし、更に増えたPKKの対応の為、なし崩し的にセルハイドとフロウもPKとなった。


『無限臨界(No Limited)』の仕様上、ギルドの初期メンバー全てがPKになれば、ギルド自体がPKギルドとなる。この瞬間、【サクラクタ】はPKギルドとして活動することが決定した。


PKギルドとなる過程で、多くのPKKギルドを返り討ちにした【サクラクタ】。強力・凶悪なギルドとして、その名が広まるまで、そう時間はかからなかった。


何よりも、ハンマーが殺人の快感に目覚めてしまったことが大きい。どうせPKになったのならばと暇さえあれば殺人旅行に向かうハンマーの悪名は、ガスマスク集団の悪名を更に拡げる結果となった。


その頃である。


偶然、本当に偶然、ギルドの活動としてPKKギルドを襲撃していた【サクラクタ】と、ソラとマイが遭遇した。本当に偶然、【ゲンクウブ】という通り名でPK活動をしていたソラとマイが、【サクラクタ】と出会った。


【サクラクタ】の名が丁度プレイヤー間で話題に上がり始めた頃である。噂の真偽を確かめる為、【ゲンクウブ】が【サクラクタ】に挑み、健闘の末敗北し、よくわからないうちに接収された。


こうして、現在の【サクラクタ】の完成である。



初期メンバーの五人に対して、新規加入したのはソラとマイの僅か二人。しかも、年齢層はほぼ同じとはいえ、ソラとマイは最年少だ。


その点に関して、二人は特に不満はない。所詮はゲームの『無限臨界(No Limited)』で、一つ二つの年齢差は気にならないし、セルハイドは女性プレイヤーには異様に優しい。


問題なのは、初期メンバー五人がハンマーを例外とすればリアルの友人で構成されていることだった。いくらリアリティーが高くリアルの声、容姿で接していようと、むしろその分、どこか間に壁があった。


特段不遇な扱いを受けているわけでもなければ、接する際に距離を置かれているわけでもない。アクターに近付き話し掛けても、サクラが機嫌を損ねないのが良い例だ。


むしろ、【サクラクタ】にはよく馴染めているだろう。リアルでの面識はなく、ゲーム内で偶然出会ったにしては。


が、やはり、リアルの友人と、ただのゲーム仲間では形成している『輪』がどこか違う。


それは全メンバーが認識しているもので、オフ会をするという話が浮上することもあった。結局、オフ会を開催する前に、これまた本当に偶然、ソラとマイの二人が出掛けた旅行先でアクターとサクラに遭遇するという結果に終わったのだが。


偶然が重なり、一応【サクラクタ】のメンバーは全員リアルで面識がある。とはいえ、ソラとマイがゲームでの付き合いがほぼ全てで、付き合いが短いという事実は変わらない。


結局、何が言いたいかと言えば。


ソラとマイは、曲者揃いの【サクラクタ】のメンバーを、正直少し恐がっている。


人には、他人には理解し難い自分ルールがある。


セルハイドは意味も無く何故か男性プレイヤー全てを敵視しているし、フロウは男らしく在ろうとして自身を女扱いする人間に非常に厳しい。


こういう、自分ルールを破れば、例えそれが【サクラクタ】のメンバーであっても、一切の容赦がない。理不尽なまでの取り決めだが、リアルで付き合いのある初期メンバー五人は、それらのルールを暗黙の了解として守っている節がある。


実際、【サクラクタ】に加入した当初のソラとマイは、フロウのことを「お姉さん」と呼び、心が折れるまで拷問と殺害を繰り返された。アクターに向かって「馬鹿じゃないですか!?」と言って、サクラに死よりツラい恐怖を植え付けられた。


それらの失敗の結果、作り上げられたのが『サクラクタ憲章』である。


根本的な規則、付き合う上での基本。「これだけ守れば後はどうでもいいよ」という約定。代わりに、破れば問答無用で殺す。


こんなものを作らなければ話し掛けることすら出来ないような、はっきり言ってちょっと頭イッちゃってる人達が、【サクラクタ】の初期メンバーなのだ。この『サクラクタ憲章』はメンバーが言いたいこと、思いついたことを連ねた文書だが、そこにソラとマイの言葉はない。


ソラとマイの立場が弱いから、ではなく、「これをされたら問答無用で殺す」なんて言う自分ルール、普通は持ち合わせていないからだ。


『サクラクタ憲章』は、絶対に破ってはならない。破った場合の恐怖は身を以て知っている。


だから恐い。行動ではなく、発言一つで罰を与えられる可能性があるのだ。




だから、現在ソラとマイは動けない。


スクラップ場付近で拾った男が、血塗れで地面に倒れていようが、現在進行形で虐待を受けていようが、助けに入ることは出来ない。【サクラクタ】には、そういう取り決めがある。


『第十条・刑の執行を邪魔した場合、例え【サクラクタ】に所属する者でも敵とみなす』


男が何を思って魔法を、しかも広範囲指定の爆発を起こしたのかはわからない。だが、間違いなく、この場に於いては最もやってはならない行動だった。


せめて、ソラかマイに殴り掛かっていれば、目眩ましの魔法でも使っていれば、ここまで極端な結果にはならなかった。


サクラを巻き込むような攻撃行動を取った時点で、完全に詰みである。男の存在を擁護していたソラとマイも、もう擁護は出来ない。したところで、自分達も纏めて殺されるだけだし、下手をすればサクラまで乱入してくる。


結局、溜め息を押し殺して傍観するしかなかった。


アクターの拳が男の顔面を打つ湿っぽい音が、少し離れたこちらまで聴こえてくる。初めは抵抗していた男も、今では呼吸すら儘ならないサンドバッグに成り果てている。


暴力行為に熱中するアクターからは、感情は感じられない。怒っても楽しんでもいない。ただ、肉の塊を殴打している。


むしろ、その光景を眺めているサクラの方が、熱っぽい視線を送っているくらいだ。


ここに割って入る勇気は、持ち合わせがない。


まさかこんな事態になるとは予想していなかったため、ソラとマイは内心、恐怖で震えていた。アクターに罰を受けるような男を拾ってきた罪を、言及される。それが何より恐ろしい。


アクターも恐ろしいが、『アクターに殺された』という事実があれば、それにすら嫉妬するであろうサクラが恐ろしい。アクターに虐殺され、嫉妬したサクラに惨殺される。最悪の展開である。


そこで、ソラとマイは必死に言い訳を考えていた。普段の数倍頭を回転させ、なんとか言い訳を考えてみるが、どう考えても詰んでいる。


そんなことに思考を奪われていたから、気付かなかった。スクラップ場付近で拾ってきた、もう一人。黒いローブを着た女が、目を覚まして、地面を這ってアクターに近付こうとしていることに。


気付いたのは、女が声を発したからだ。アクターに向かって小さく、碌に聞き取れないような言葉を。


ギョッとした。今のアクターに近付くのは非常に危険だ。主に、アクターに熱い視線を送るサクラが激怒するから。


「やめ、て……」


と、やっと聴こえるような声を絞り出したが、関係無い。慌てて、ソラとマイが女の両脇を掴んでアクターから距離を取った。これ以上、あの災害バカップルを刺激するのはマズイ。


しかし、この女はその危険性を理解していない。なまじっか穏やかな雰囲気だから、アクターに言葉が通じると勘違いしたのかも知れない。今のアクターには、サクラの声しか聞こえないというのに。


「やめてください……。その人を殺さないで……!」


「ダメですダメですダメです!口を閉ざしてください死にますよ!?」


「もう無理です!諦めてください!あの人はもう助かりません!」


双子の必死な懇願も、女には通じなかった。女も必死なのだろう。とはいえ、傍らにいるサクラから膨れ上がる怒気に気付けなかったのは、ミスという言葉で収めるにはあまりにも視野狭窄過ぎた。


だから、決定的な言葉を発してしまう。間違っても絶対に言ってはならない、最悪の言葉を。



「お願いします……!何でもしますから……!」


「「あ」」


終わったな。と、やけにあっさりと、ソラとマイは判断した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ