clown ~決められた運命~
今回は文の表現方法の練習のつもりで書いてみました。 うっとおしいくらいに強調されてる部分や、よくわからない部分等が多いと思います。
また、シナリオに関しては無理やりに続かせて終わらせたので、面白みは少ないと思います。 しつこいようですが今回は文の表現方法の方に力を入れてみたので話には期待しないでください。
「……彼女は少量の毒を飲み、目を閉じました。そして誰にも邪魔されない長い長い眠りへと――」
スポットライトが当てられた中心に道化(ここでは俳優の意味)が立っている。
その周りには人々が静かに男の話を聞く。
「しかし、それは長く続きませんでした」
「彼女は何者かの手によって目覚めてしまったのです――」
道化は少しの動作と声の抑揚を使い、周りの者に感動を与える。
演説みたいに語るそれは、この世界での舞台だった。
登場人物は多数、役をやるのは一人。
朗読会のような舞台で道化であるアレクシ・エモニエ(Alexis Aymonier)は淡々と台詞を紡ぐ。
「――そして、やっとの思いで見つけた者に自分を呪いから解いた理由を聞きました」
「解いた者は何も答えません」
「痺れをきらした彼女は、また自分に呪いをかけ眠ることを決意し、2度と起こす事の無いように使えました」
「しかしそれは叶いませんでした――」
クライマックスへ向かうにつれて、だんだんと道化の声も強くなっていく。
まるで今しがた体験したかのように淡々と、行動を伝え、台詞の場面ではその人物の印象をとてもうまく出す。
「――そして最後まで、眠ることができなかった彼女は、自ら命を絶つことを選び自害しました」
「もう彼女を起こす者はいませんでした」
「永遠に……」
幕が閉じる。
拍手と喝采が飛び交う中、道化は深い息を吐き、舞台上の幕の外側に出て一礼し裏方へ回った。
そこから道化はアレクシへと戻る。
「お疲れ様です」
「はい」
「いやー今回もよかったよ! また次の公演も頼むよ」
「ええ」
何の事はない業務上の一環の会話。
アレクシは表情を全く出さず淡々と答える。
「……ま、今回はお疲れさん」
舞台公演の責任者であろう者はどこか扱いにくい道化との会話をそうそうに切り上げた。
(舞台場とこっちでどうしてこうも変われるんだか……不気味な奴だ)
アレクシはそんなこと考えてる責任者に目もくれず、自分の仕事が終わるとさっさとその場を後にした。
「まったく、変な奴だ……」
「そうですね、正直なところ薄気味悪いですな」
見えなくなると責任者と関係者であろう人物が、アレクシを出て行った方向を見ながら悪態をついた。
「しかし、あの者がいなくなると大きな痛手だ、好きにはなれんが仕事はちゃんとする、大事に扱いたいもんだ」
「……ええ」
――扉を開ける。
くぐった先の空間には必要最低限のほか何もない"部屋"だった。
「……ただいま」
返事は返ってこない。
アレクシはそれを知っていた。
返答が来ない事にも表情を変えずただ部屋の隅で膝を抱えて座る形で眠りにつく。
ベットはあるがアレクシは嫌いだった
それから、朝が来るまでずっとそうしていた。
日が昇って少ししてからアレクシは目を覚ました。
「……おはよう」
シャワーを浴びシャツを着替え、洗面台で身だしなみを整える。
そうして部屋を出る時に「行ってきますと」一言述べて部屋を出る。
"誰も"いない部屋で静かにゆっくりと言葉は消えた。
いつもの道化の仕事をしに行くアレクシの表情は舞台を降りた時から変わらない。
舞台へ上がるとアレクシは道化となる。
道化はいくらでも表情を変え、感情を表し、人々を魅了する。
そつなく舞台を済ませ、帰り、朝まで眠り、また道化となる。
そんな毎日を続けていた。
何役もの配役をやっていくうちに、自分がわからなくなった。
心を凍らせることで日常ではただの動くだけのモノとなった。
アレクシにはいつも目に映る光景がある
舞台で一人だけいつも同じ観客を見るのだ。
特に探しているわけでもなく自然に目に入る位置にいる。
しかしアレクシにはどうでもいいことでどうする気もなかった。
"興味がないから"
いつも見るだけ、ただそれだけなのだ。
しかしその日はなぜかアレクシは違和感を覚えた。
なぜならその観客と目があったような錯覚を覚えたのだ。
そして直後に"それ"は微笑んだかのように見えた。
「――そうして最後には綺麗な赤が散り、彼女を染めていきました」
「その瞬間の彼女は何者よりも美しくあったのでした」
拍手が起こり幕が下がる。
道化は一礼し、幕の中に消えていった。
変化の無い光景
いつも通りのやりとり
そして違和感
その違和感がアレクシに残り続けた。
それからも、同じ光景は何度も続いた。
公演中の配役がどこを一番向くのか知っているのかのように、その視線の先に必ずいた。
最初にアレクシに感じたのは懸念。
自分にしか見えないものが見えるようなそんな感覚に陥いった。
もしかしたら、別の人物であると言う考えをもとうとしたがもてなかった。
そして次に感じたのが恐怖。
自分は"その者"を知らない。
そしていつもの日常に変化がが起きた。
突然"それ"は接触してきた。
「君はそれでいいのかい?」
第一声がそれだった。
「…………」
何も言わない。
「あらら、だんまりか」
「…………」
「ま、良いんだけどね」
「いつもそんな感情を殺して生きている君に心のあり方を問う」
「馬鹿げた事だったね」
やれやれと言った感じで肩をすくめる。
「心なんてもはやないって感じだし」
アレクシが話さないことをいい事に、一方的に喋っていく
「……何が言いたいんです?」
目の前の人物に対して初めて話した。
「……君みたいな人形には関係ないことだよ」
「……っ」
核心を突かれたような感覚、自分を見透かすその男に対して嫌悪感が高まる。
それよりもなぜ自分が舞台の上でしか感情を表せない事を知っているのか。
アレクシは人と関わることを避けていた。
常に一人だったのだ。
「……君は気づいていたんじゃないのかい?」
そいつの一言は理解できなかった。
しかし次の一言で戦慄した。
「起きた時、出かける時、帰ってきた時」
「他にもいろいろあったかな?」
「君は誰に言葉を発していたんだい?」
「……何を――」
「何をって、声を掛けていただろ?」
「…………」
嫌な汗が流れる。
「僕は君だ」
「君のことなら何でも知ってる、"自分自身"の事なら」
「……何を馬鹿な事を言ってるんです?」
「突拍子もないって?」
「この世界ならこんなこと当たり前だよ」
「全部が"舞台"で成り立っているこの世界じゃ」
「今の君だって、目の前にいる僕だって敷かれたレールの上を歩いてるだけだ」
「僕のこの言葉だって決まっていたんだよ」
「あり得ない」
「あり得ない? なんでそう言い切れるんだ?」
「自分の他に変わりはいない」
「居るんだよ。舞台だから変わりなんていくらでもいる」
「アレクシって名前は、本当の君の名か?」
そう問いかけた男は笑っていた。
「それは配役の名前だ、君には違う本当の名前があるんじゃないか?」
「……僕はアレクシだ」
「じゃあアレクシ、君の両親はどうしたんだい?」
「…………」
答えられなかった。
ただ答えられないのではなくて、ちゃんとした答えはあったがそれは"分からない"だった。
「答えられない? 育ての親の事をか?」
「そもそも君が生きてきた記憶は?」
「あるわけないよね? 今の俳優っていう仕事を何となくやらされて、ずっと同じ数日をを繰り返してきただけの記憶しかないんだから」
「もう一度聞こうか? 君の本当の名は?」
「…………」
「どうしたの? 君の名は、さっき答えていたじゃないか」
急に自信が無くなった。なぜなら、男が言っていた通りだったのだ。
言われるまで違和感なんてなかった、だけどそこまで言われて気づいた。
生きた記憶がない事に
「僕なら答えられる」
「本当の君の名を」
「道化」
「君は俳優の道化なんだよ」
「……違う、"俺"は、俺だ」
「あらら、面白い事言うね、人形が」
ちょっとした変化に男がにやりと嫌な笑みをする
「じゃあ、今までの記憶がないことも両親のことが全く分からないことも目の前に君の元となった本人が居ることも全部何もかも説明できるの?」
「…………」
「君はただの道化で人形だ」
「本当にリアルな舞台を楽しむための道具でしかない、ここはそういう世界なんだよ」
「だから、これで幕引きだ」
「本人という僕が出て君を殺す」
「そうして僕は君になる。そしてまた心を潰し感情と記憶を無くして、違う僕に殺される」
「ここはそういう狂気じみた世界なんだよ」
「じゃあね」
その言葉を最後にアレクシは倒れた。
「………っ!?」
目が覚めるとそこはいつもの部屋だった。
変な夢を見た気がする。
どこか懐かしい感じでもあった気がするが、どうでもよかった。
自分は人々を喜ばす道化であって、それ以外でもなんでもないのだ。
「……いってきます」
もちろん誰もいないが気にしなかった。
静けさが戻った部屋に声だけが発せられる
「……いってらっしゃい道化さん」
もはやそれを聞くモノは居なかった
アレクシという道化は今日も舞台の中の舞台に立つ。
また変わらない日常が始まった。
ここまで読んで
つまんねーよ!
酷いストーリーだ!
っていう意見があるのは、もっともだと思ってます。
今回は自分でもそう思います。
さて、感想の件はさておきですが
ちょっとした話の中でも、強調って必要だと思うんですよね。
その物語に関する大事な部分。
それをいかにうまく書いて読み取らせるかっていうのは文を書くには重要な事だと思うんです。
いきなり何当たり前のことをという方もいるかもしれませんが。
当たり前だからこそ難しいこともあると思います
重要な事だけどそれをそのまま表してしまうと、後の話が引き立たなくなる。
うまくぼかしながらのつもりでも結局関係ないような話に見えて何度か読み返して意図がつかめる。
自分が書くのはこういう感じのばっかりだと思ってます。
なのでそういう部分に力を入れて上手い伏線という形で表示したいと思いまして。
練習してみたのですが、いやはや何ともうまくいかないもので。
ちなみにこれを書き始めたのは6月です。
では投稿した日は?
8月です。
こんな少量の文でさえ、最低限の形としてまとめるのに2カ月もかかってしまう自分だからこそ、練習が必要だと思います。
そのための今回は強調の部分に力を入れて書いてみました。
やはり、ここで色々読んでる方達は、これでもまだ全然ダメだと思うかもしれません。
それはちゃんと自負しています。
ですが誰かに読んでもらいたいと言うのもあります。
書くのが好きな性分でそこは仕方ないというか。
だから人並みに位には面白いものを書けるようにはなりたいですね。
さてさて、つまらない話はここまでとしておいて
今回は読み取りにくいかもしれないですが人が変わっちゃってるので。
完全なループではない、疑似ループ(?)風に仕上げてみました。
ただ……
本当はこんな話書くつもりありませんでした
実際にはこんな構想はなかったのです。
というのも何も
登場するアレクシ君には途中でデレてもらうつもりだったのです。
そのため公演中にいつも見に来る人がアレクシ君と仲良くなってって
最終的に相思相愛みたいな文をですね!
書こうと思ったんですよ!
何言ってんだこいつ
とか思う方もいるかと思いますが
本当は恋愛物でも書こうと思ったんですよ!
最終的に感情出すつもりだったんですよ!!
実際に書いたらこれですよ……
途中からなんかおかしくなって軌道修正すらせずに書きあげ、直すのも面倒になって、こんな感じになりました。
なお途中までは思い通りでした
一番最初の公演もどきみたいな部分の終わりまでは思い通りでした。
……ほぼ最初じゃんとか言わないでください。
ちなみに変な話に入りかけてからは時間は全くかかっていません。
半分あたりから1時間もかかりませんでした。
簡単に言っちゃえばシナリオの部分は全て勢いで書き上げました。
細かくいえば
"そして違和感"
あたりからでしょうか?
そのあたりからほぼ勢いです。
そこにちょっと練習と称した強調を加えてお終いです。
2カ月分じゃなかったの? とか聞かないでください
ええ、半分行くまではほんとにそれだけかかりましたよ。
まず話の進め方すらつかめなかったんで。
途中で意気消沈しましたし。
ただ書いてみて思ったのですが、シリアスとかそういうのはやっぱりあんまり得意じゃない言うことが勉強できました。
その点も練習が必要かもしれませんね……。
次回ももしかしたら表現の練習で勢いだけの話になるかもしれません。
形だけはちゃんとまとめますんでなんとかそれで温かい目で見守っていただければ幸いです
さてさて、長い事あとがきを書きましたが、そろそろ終わりにしたいと思います。
ここまで見てくださった皆様、途中まででも見てあとがきへ来てくれた皆様、最初からあとがきに来てくれた皆様も、のぞいていただきありがとうございます。
また次回でお会いしましょう。