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第二章 その1

 体格。

 性別。

 善悪。

 年齢。

 性格。

 性癖。

 資質。

 信条。

 種族。

 何を以てしても〝魔法少女〟を推理する材料とはならない。

 それでも、〝魔法少女〟を探し当ててやる。

 頭の中を色々な顔がぐるぐると飛び回り明滅を繰り返す。その動きは速くて目で追えない。チビもノッポも男も女も良い奴も悪い奴もガキも年増も温和も苛烈も如何にもであったりそうでもなかったり神を信じてようが自分が神だと信じてようが人間だろうが――犬だろうが、ボクに関わりのある奴らだ。

 目に見えるすべては真実とは限らない。目に見えない心であっても。

 だが、何をしようと何が起きようと変わらないものがあるのであれば――それは魂とでも呼ぶべきものだ。

 猿のスミレは最期まで人間と話すことはなかったそうだ。チンパンジーだから人語を解さなかったのかもしれない。〝魔法少女〟の機能として言語能力付与までは持っていなかったのかもしれない。

 だが、そんなもの関係のないことだったと思う。

 ゴリラは手話で人間と会話をすることができる。チンパンジーは簡単な計算ができる。猿が人間としての知能を有しているとまでは言えない。しかし、カタコトで話す程度の脳味噌がスミレにあったとしても、やはりしゃべることはなかったのだとボクは思うのだ。

 それは『スミレ』には『人間と話す』という様式がないからだ。『スミレ』にとって『人間』は一方的に話しかけられたり、自分の行動を勝手に理解されるだけの存在だ。それが『スミレ』の魂の形だった、のだと思う。

 霊的とかオカルトとかスピリチュアルなんていうとあやふやで目に見えないものという感じも受けるが、そうではなくその人物を形作る根元にあるすべての行動にの原型となるようなものこそが魂なのだ。少なくともボクはそう考える。

 スミレが〝魔法少女〟の職務を遂行できていたのも、ボクらが考えているような理由からではなかったのだろう。

 だからもっと目を凝らし耳を澄ましてつぶさに観察すればきっと犬娘の魂にも辿り着く。

 周りを飛ぶ顔をもう1度見る。

 くっきりとよく見えた。

 当たり前だ。それはボクの頭の中のことで、見えなかったんじゃない。見たくなかったんだ。

 その中で、ただひとり顔の見えない男がいる。ボクの記憶にない顔だからだ。そいつが〝魔法少女〟であると証明するにはどうすれば良い?


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