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転生したら、つるっぱげ  作者: 続けて 次郎


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4/4

第三巻:それでも、頭皮は愛を選ぶ

プロローグ:失ったものほど、軽くはない



人は、

失って初めて気づく。


それがどれだけ、

生活の隙間に入り込んでいたかを。


朝、

目が覚める。


連絡を確認しない。


理由がないからだ。


スマートフォンは、

ただの板切れに戻った。


世界は静かで、

僕の頭皮は、

やけに寒かった。




第一章:変わるということは、裏切ることだ



僕は、

帽子を被らなくなった。


理由は簡単だ。


守るものが、

なくなったから。


電車の窓に映る自分は、

相変わらず、

つるっぱげだった。


でも、

前よりも少しだけ、

立っていられた。


「……別に、

 死ぬわけじゃない」


声に出してみる。


頭皮は、

世界に晒されて、

黙っていた。


それは、

肯定だった。




第二章:見られることと、見捨てられることは違う



久しぶりに、

面接を受けた。


同じ質問、

同じ視線。


でも。


僕は、

目を逸らさなかった。


頭を、

隠さなかった。


「個性的ですね」


そう言われて、

僕は答えた。


「ええ。

 でも、

 仕事は平均以上にします」


面接官が、

少し笑った。


その笑顔は、

初めて、

条件反射じゃなかった。




第三章:好きは、過去形にできない



街で、

彼女を見かけた。


偶然だった。


それが、

救いだった。


月島澄は、

前より少し、

大人になっていた。


でも、

目は変わらなかった。


「……真壁くん」


名前を呼ばれる。


それだけで、

心臓が、

昔の癖を思い出す。


「元気?」


「まあ」


嘘じゃなかった。


「帽子、

 被らないんだね」


「うん」


沈黙。


逃げない。


「……似合ってるよ」


その一言で、

報われた気がした。




第四章:謝罪は、勇気の形をしている



「ごめんなさい」


彼女は、

そう言った。


「私、

 あなたを

 信じきれなかった」


僕は、

首を振った。


「僕もだよ」


守られるのが怖くて、

愛されるのが怖くて。


「自分を嫌いなまま、

 誰かと一緒にいようとした」


それは、

暴力だ。


「……もう一度」


彼女が、

言いかける。


僕は、

遮った。


「今度は、

 隠さない」


頭も、

心も。




第五章:触れることは、選ぶことだ



彼女が、

手を伸ばした。


指先が、

僕の頭皮に触れる。


逃げなかった。


その感触は、

前よりも、

ずっと暖かかった。


「……大丈夫?」


「大丈夫」


嘘じゃない。


頭皮は、

まだ無防備だけど。


心は、

もう裸じゃなかった。




第六章:世界は、相変わらず厳しい



通行人の視線。


冗談みたいな広告。


全部、

消えない。


でも。


「それが、どうした」


そう思えるようになった。


世界は、

変わらない。


変わったのは、

僕の立ち方だ。




終章:転生したら、つるっぱげ



結婚式の日。


鏡の前で、

僕は帽子を持っていた。


被らなかった。


月島澄は、

ドレス姿で、

笑っていた。


「似合ってるよ」


今度は、

彼女が言う。


誓いの言葉。


「健やかなときも、

 そうでないときも」


頭皮が、

冷える日も。


笑われる日も。


全部、

一緒に引き受ける。


キスの瞬間、

光が反射した。


それは、

祝福だった。




エピローグ:髪の毛がなくても、物語は終わらない



転生して、

ハゲだった。


悲しくて、

惨めで、

情けなかった。


でも。


愛は、

毛根じゃなく、

選択に宿る。


僕は今日も、

帽子を被らない。


世界に、

頭皮を向けて、

ちゃんと立っている。


――ハッピーエンドは、

髪の毛より、

ずっと確かだった。

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