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剣と竜の世界に生まれて 〜田舎村の怪力娘。強すぎて戦場で武勲を挙げまくる〜  作者: 林美鈴
戦乱の末、公爵叙勲と女王との婚姻。最強の怪力騎士、ついに国の頂へ
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巨人との固い友情。戦士ダノンからの贈り物。ミスリルの矢と護国の約束

 軍議が開かれる。


 カミーユがロンデウス神王国に向かうとして、その間のベラルーン王国の防衛が課題であった。


 ブログダン帝国は先の戦争の復興があり、すぐにどうこうすることはないだろう。


 しかし、他の隣国が、これ幸いにと、攻めてくる恐れがあった。


 とりあえず、カミーユの出立の時期を棚上げしたまま、軍議は一旦終えられ、カミーユは自らの邸宅に戻った。


 さて、自身の不在を妻たちにどう伝えようかと、カミーユが書斎で考えていると、エトナがやってきた。


 この書斎の天井や扉も、巨人族のエトナが入れるよう、高く広く作られている。

 エトナはカミーユの前に来ると、机越しにカミーユの手を取った。


「お悩みですね。私でお力添えになるかわかりませんが、お話を聞かせていただけますか」

 エトナはカミーユを案じた。


 カミーユは、一瞬、話すことを躊躇った。


 しかし、自らが旅立つ時ことは、いずれ知らせねばならないことだと思い、エトナに自らの旅立ちと、その時期が決まっていないことを告げた。


 エトナはカミーユを見つめる。そして言葉を発した。

「カミーユは、あなたの不在の間の、お国の守りを心配されているのですね。でしたら、私に考えがあります。ガルヘルムから戦士たちを呼び寄せましょう」


 ガルヘルムとは、エトナ姫の出身国である巨人の国だ。

 そこには、精強な巨人の戦士たちがいる。


 とても魅力的な提案である。しかし、そこには問題があった。


「ありがとうエトナ。しかし、一度の戦であればともかく、此度は防衛となり、長期の仕事となります。残念ながら、我が国には、あなたの故郷、ガルヘルムの戦士たちを指揮できる者がおりません」


 言葉の壁があった。カミーユほど巨人の言葉を操る人間はおるまい。


 しかし、エトナは微笑んだ。

「騎士クラリスがいます。彼女であれば適任でしょう」


 カミーユはエトナに説く。

「確かに彼女の才覚は素晴らしいものがあります。けれども、エトナ。私以外には、あなた達の国の言葉がわからぬのです」


 エトナは苦悩するカミーユの頬を撫でる。


「騎士クラリスは、時間を見つけては、私に国の言葉を教わりにきていました。いずれ、ガルヘルムの戦士達と共に戦うことになると、考えていたのでしょう。今では、カミーユ。あなたと同じようにガルヘルムの言葉を話す事ができます」


 カミーユは顔を上げ、エトナを見つめた。


 エトナはカミーユの苦悩を溶かした。


「ありがとう。エトナ。明日、騎士クラリスに相談してみます」


 翌日、カミーユは騎士クラリスに会いに、王宮へ向かった。


「ロラン伯爵、お呼びにより、参上いたしました」

 騎士クラリスが美しい顔を見せた。


 ここは王宮にある上級貴族ための談話室の一つ。カミーユはこの場を借りてクラリスと面会した。


「あなたに巨人の戦士達の指揮を任せようと思います。よいですね」

 カミーユは巨人語、ガルヘルムの言葉でクラリスに語った。


「わかりました。私の立場では、指揮権で問題が出ませんか」

 クラリスは巨人の言葉で流暢に答えた。


 クラリスもまた、カミーユに劣らぬ才を持っていた。


「巨人の戦士達は、傭兵ということにします。騎士のあなたがそれを指揮するのは、おかしなことではないでしょう」


 クラリスは頭を下げ、受諾した。


 カミーユは軍議で王と諸侯にこのことを知らせる。

 諸侯の中には巨人の実力を怪しむものもいたが、カミーユが、私と同等の戦士もいると伝えると、口をつぐんだ。


「それ等のもの達、王国への忠節は問題ないのですか。獅子心中の虫となりませぬか」

 クリスト・ライネ伯爵が、不安を発する。


「彼らは私の友です。友とは、その危難を見返りなしに救うものです。私は彼らの友情を信じます」

 カミーユはそういうと、国王陛下を見つめる。


「陛下、巨人の国ガルヘルムからの友を呼び寄せるご許可を、いただきたく存じます」

 軍議ゆえ、カミーユは礼法を省略した。


「許す。ロラン伯爵。その指揮は誰が取る。巨人、ガルヘルムの言葉は我が国とは違おう」


 カミーユは答えた。

「騎士クラリスが適任かと存じます。彼女の才覚は素晴らしく。また、ガルヘルムの言葉も堪能です」


 そうして、早馬が出され、巨人の国ガルヘルムから五百人の戦士がやってきた。

 その中には千人戦士ダノンや、その弟、ブルガもいた。


「カミーユ。俺を頼るとは気の利くやつだ。真竜が出たと聞いたぞ」

 久しぶりに会ったダノンは、親友のカミーユを抱え上げた。

「ダノン。来てくれてありがとうございます。あなたの友情に感謝します」


 ダノンはカミーユを肩の上に乗せて話す。


「使者の手紙であらかた事情は知った。カミーユ。お前は竜の国へ行くのだろう」

「ダノン。そうです。私の前には多くの竜が立ち塞がると思います」

「そうか、ならばこれを持って行け」


 ダノンは、矢を取り出した。それは人間が使う大きさの矢で、魔法のように光り輝いていた。


「ダノン。これは」

「カミーユ。これはミスリルの矢だ。真竜には尋常の矢は聞かぬと聞く。ならばこちらもそれに備えねばな」


 ダノンは大口を開けて笑った。


 カミーユも愉快な気持ちになり、久しぶりに声を上げて笑った。


 こうして、カミーユは皆と別れ、友に魔法の矢を贈られ、神王国に旅立つ事となった。

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