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剣と竜の世界に生まれて 〜田舎村の怪力娘。強すぎて戦場で武勲を挙げまくる〜  作者: 林美鈴
戦乱の末、公爵叙勲と女王との婚姻。最強の怪力騎士、ついに国の頂へ
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令嬢との結婚準備。婚礼前夜の悪寒。 湯船に溶ける疲れと、カミーユが感じる悪意

 季節は巡り、早春。

 カミーユは歳を重ね、十七才となった。


 ベラルーン王国では、誕生日のお祝いというものはあまり見られないものである。

 事実、カミーユはそのようなものを祝ってもらったことはなかった。

 もっとも、それは彼女が孤児であったためかもしれない。


 しかし、今年は違っていた。


 生き残りの貴族たちが、カミーユの気を引こうと、大量の祝いの品を持って参上したのだ。


 また、娘や孫娘を贈るという輩も再び現れた。カミーユはそれらに対応するが、贈り物も、人もすべて断る。


 訪れた客の応対だけで、カミーユの誕生日はほとんど過ぎてしまった。


 貴族の応対は、戦いよりもカミーユに疲労感を与える。


 カミーユは、フローラとエトナを誘い、風呂に行くことにする。


 侍女たちに風呂の用意をさせ、湯船に浸かる。


 じんわりと温かなお湯が、疲労を溶かしてゆくように感じられた。


 湯船では、カミーユを挟み、左右にフローラとエトナが入浴している。


 フローラの右胸には、無惨な傷跡があるが、エトナが気にする様子はなく、カミーユは安心した。


 春めいてきたとは言え、まだまだ空気は冷たく、ふたりとも気持ちよさそうに入っている。


 カミーユは一度湯から出て、体を磨くために侍女を呼ぶが、フローラが割って入る。

「カミーユ様。お体をお拭きになるなら私が」

 フローラは、カミーユの背に手を伸ばす。


 すると、エトナも割り込んでくる。

「カミーユ。私もお体を磨きたく思います」


 カミーユは苦笑し、それぞれの主張を了承する。

 この様な戯れがあってもよいだろう。


 カミーユは、昼間の貴族たちの顔を忘れ、二人の乙女たちのなすがままに任せた。



 さて、この春、カミーユは二度目の結婚を控えていた。


 ロザリア・ハイアン侯爵令嬢との結婚である。


 カミーユのロラン伯爵家と、ロザリアのハイアン侯爵家。


 上級貴族同士の結婚であり、国王陛下に臨席を賜る必要があった。


 そのため、結婚式は王都の大聖堂にて執り行われる。


 カミーユは孤児であり、養父も他界して久しい。よって、エトナ以外に親族の隣席はない。


 そのためか、妻方の母、サラ・ハイアン侯爵が、張り切ってカミーユの世話を焼いた。


 カミーユに似合う、最上級の絹で誂えられた真っ白な軍服。

 隅々が金糸で彩られ、華やかさを演出している。


 通常であれば華美が過ぎてしまう所だが、カミーユ自身の凛々しさ、気高さに添えられる花として、丁度よい仕上がりであった。


 今日はカミーユは衣装の仮縫いのため、それを身にまとっていた。

 そこで少し困ったことが起きる。


 通常、貴族が式典の場に出る時は、褒章勲章を胸に下げる。

 しかし、カミーユの場合、勲章の数が多すぎて、見栄えを損なってしまうのだ。


 そこで、式典を預かる司教と相談し、褒賞、勲章は、その本体をカミーユの後に続く、従者フローラが掲げることとなり、カミーユ自身の胸には、リボン状の略章がまとめられるようになった。


 これにより、カミーユの衣装は凛々しく美しく、スッキリと仕上がった。


 当然のことながら、ドレスを身にまとうロザリアは、カミーユの何倍も細やかに手が加えられる。


 ロザリアの衣装は純白であり、上半身は美しく体のラインに沿ったデザインだった。


 腰から裾はギャザーで広がった形である。

 襟元から胸元は豊かなレースが用いられ、愛らしさを演出している。


 そして、衣装全体に西方の海より取り寄せられた真珠がふんだんに縫い付けられ、ロザリアの華やかな表情を、より晴れやかに彩った。


 その頭を飾るティアラは、この日のために作られた特注品であり、カミーユが提供した魔法の金属、ミスリルが使われている。


 そのティアラは上品さを損なわない程度の大きさに抑えられていた。ミスリルの台座には、大小様々な金剛石が嵌められ、ミスリル自体の輝きと相まって、煌びやかに髪を飾った。


 また、ヒールは高いものを選び、長身のカミーユとのバランスをとっている。


「素敵よ。二人とも。式が楽しみだわ」

 サラは満足そうに微笑んだ。


 こうして、カミーユとロザリアの結婚式の準備は順調に進んだ。


 しかし、カミーユは、その日々の中、どこか不安の気配を感じとっていた。

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