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剣と竜の世界に生まれて 〜田舎村の怪力娘。強すぎて戦場で武勲を挙げまくる〜  作者: 林美鈴
爆速出世街道!蛮族を屠り、陰謀を砕き、巨人の王に認められるまで
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カワウソの賢者が示す巨人国への道。剣士ローレンに背中を預け、いざ出発!

 国王陛下への拝謁から数日後、春の花々の種類が次々と変わる中、カミーユはいつもの素振りを行っていた。


 無論、エトナ姫がその姿を見物している。


 ふと、剣士ローレンは違和感を覚えて尋ねる。

「お前、何者かと手合わせをしたか」


 カミーユは剣を止め、答える。

「はい。ある騎士と立ち会いを行いました」

 クラリスの名は出せない。あの日の出来事は秘め事であるからだ。


「そうか、良い経験になったようだな。明日からは俺との打ち合いを再開する」

 カミーユは、その剣術を、より高みへと昇らせつつあった。


「カミーユ様。ローレン様。エトナ様。お茶にしませんか」

 フローラがサンルームから三人に声をかけた。


 ちょうど切りの良いところだったので、二人は手拭いで汗を拭き、見物のエトナ姫も連れて、フローラのお茶に呼ばれた。


 辺りにフローラのお茶の香りが広がり、エトナ姫は自らの膝の上にカミーユを座らせた。


 フローラは何も言うことはなかった。

 主人は誰にでも優しく、そういったところを自身も好いていた。


 しかし、だからといって、目の前の光景は気分の良いものではなかった。


 カミーユは思い立ち、エトナ姫や周囲に聞こえる声で話した。

「エトナ姫。私と共にお国に帰っていただけますか」


 カミーユは、エトナ姫を誘った。エトナは、願っていた言葉を聞いて、カミーユを抱きしめ、抱き上げた。


「カミーユ様。巨人の国に行かれるのですか」

 フローラは、高く抱き上げられたカミーユに声をかける。


「はい。フローラ、旅の支度をお願いします。あなたも付いてきてくださいね」


「はい。かしこまりました。カミーユ様。すぐに支度いたします」


 お茶会の話題はエトナ姫のお里帰りの話となった。


 カミーユのクリン村の騎兵十名が、凡そ二週間後にここ王都へ到着するので、その後出発することになる。

 カミーユは皆にそう告げた。


 そして、一行には、王宮の騎士クラリスが同行することも伝える。


 フローラは、クラリスを話すときのカミーユの声色をうかがい、主人のクラリスに対する感情を推し量っていた。


 フローラの判定では、まだ問題なかった。


 カミーユは、胸元から頭を出した御師様に尋ねる。

「巨人の国は、王都からどのくらいの距離にあるのでしょう」


 小さなカワウソはぴょんぴょんと伸びたひげをしごきながら答える。

「そうさな。この地からであれば、南の山裾の方。歩いて二十日程のところに、巨人の盾という山脈の麓に巨人の居住地があったな。しかし、今でも同じ場所にあるかわからん」


 エトナは小さな小さなカワウソの声に返事をする。

「巨人の盾は、私の国にある場所と同じ名前です」

 エトナは嬉しそうに話した。


「そうであったか。ならば、まだそこに巨人の里があるのだな。懐かしいものじゃ」


「御師様は、巨人族とご友誼がおありなのですか」

 小さな師は頷き、共通語で答えた。


「かつて魔法が得意な巨人がおった。魔法の文字を掘るのが見事であった。懐かしい事じゃ。やつが使った魔法の文字は、今では人間の魔法使いにはルーン魔法として知られておるな」

 小さなカワウソの懐古に、皆、輪になって耳を傾けた。



 翌朝、カミーユはエトナ姫の腕の中で目を覚ました。


 エトナはよく眠っており、カミーユはその眠りを妨げないように静かに起き出した。


 そして、朝の瞑想を始める。


 最近は、集中をすることで、魔力自体を形作って体の外に出したり、人間それぞれが発する魔力を自在に感じとることができるようになってきた。


 これは剣士の言う、気配を察知することに使えはしないだろうか。


 カミーユは、朝食後に剣士ローレンを誘い、試してみた。


 結果として、まるで役には立たなかった。

 速度が全く追いつかないのだ。


「まあ、色々試してみるのは良いことだ」

 気をつかうローレンの気持ちが、カミーユに、魔力となって伝わってくる。


 この魔力の探知は、魔力と共に対象の感情をある程度読み取ることができる。


 会話程度の速度であれば、問題なく理解できるのだが、戦闘に間に合うものではなかった。


「剣士ローレン、お願いがございます」

 カミーユは、額にあざができたまま、改めて剣士に向き直った。


「私が不在の間、この館を守ってはいただけませんでしょうか」


 剣士ローレンは答える。

「飯も屋根も世話になっているしな。それに、守っている間もそれは保証される。いいぜ、引き受けた。ただし」


 ローレンは言葉を区切った。


「一日につき金貨五枚だ。仕事として引き受ける」

 これが、ローレンの矜持なのだろう。


 カミーユはこの剣士に卑しさは感じず、むしろ気高さすら感じた。


「はい。わかりました。用意させます。よろしくお願いします。ローレン様」

 ローレンは頭を下げた。


「よせよ。様なんて柄にもないぜ。ローレンでいい」

 春の爽やかな香りが吹き抜けていった。


「わかりました。剣士ローレン。よろしくお願いいたします」


 こうして、カミーユは、エトナ姫と共に巨人族の国へ赴くことになった。

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