表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と竜の世界に生まれて 〜田舎村の怪力娘。強すぎて戦場で武勲を挙げまくる〜  作者: 林美鈴
爆速出世街道!蛮族を屠り、陰謀を砕き、巨人の王に認められるまで
18/80

言葉の灯。巨人の姫が人間の国で初めて知った、自分を少女として扱う騎士の愛

 カミーユ・ロラン男爵が王都の館での生活に慣れた頃。


 ビスタニオ子爵家から助けた娘たちの大半は、ロラン家の侍女として働くことになっていた。


 それは、攫われて久しいものは帰る家がなかったり、そもそも親に自身を売られ、帰る気がなかったりと事情は様々だった。


 そして、カミーユが助けた娘のうち、館に馴染めない者がいた。


 巨人の娘エトナ。


 巨人とは言っても、屋敷に入ることはできる。

 天井に頭がぶつかるくらいの背丈だった。


 小春日和の日。


 カミーユは、エトナを中庭に呼び、お茶会を催した。

 庭の草花は綻び、春の香りが辺りを包んでいた。


 エトナは俯いたまま、カップを摘んで握っている。


 カミーユはおもむろに、巨人語で話しかけた。

「ご機嫌はいかがですか。エトナ。私の言葉は、わかりますか」


 エトナは驚き、目を見開いた。


「わかります。あなたは何故、私達の言葉を話せるのですか」

 エトナはカミーユに問いかけた。


「私の先生、ゴダールが、教えてくれました。エトナ。私はあなたの友達です。困ったこと、なんでも、相談してください」


 エトナは涙を流して嗚咽する。


「ありがとう。カミーユ。私はこの国で、つらく、孤独でした。カミーユ。本当に友達になってくれますか」


「ありがとう。エトナ。もちろんです。私はあなたの友達です」


 カミーユはエトナの体に精一杯手を伸ばし、抱きしめた。


「暖かい。ありがとう。カミーユ」

 カミーユとエトナは、しばし抱き合っていた。


 落ち着いた頃、カミーユがエトナに問う。

「エトナ。あなたは、なぜ、この国に、来たのですか」


 エトナは悲しそうに答える。

「森にいたところを、野蛮な人間に襲われ、荷馬車に乗せられて運ばれたのです。薬を嗅がされました。父王ゾンネは、今も私のことを探していると思います」


 カミーユはエトナの体を撫でる。エトナは巨人の姫であったのだ。


「わかりました。姫。もう、安心です。悪い、人間は、いません。ここには」

 カミーユがそういうと、巨人の姫は涙を流してカミーユを抱きしめた。


 カミーユは地面から足が離れたが、互いに不安はなかった。


 エトナ姫はそれから、カミーユの後をついてくるようになった。


 カミーユの朝の瞑想の頃は、エトナ姫はまだ寝ているが、朝食を食べてからは、エトナ姫はずっとカミーユについてくる。


 カミーユが執務をしていても、窓からその姿を眺めているし、カミーユが剣士ローレンと木剣で打ち合っていても、ずっとそれを見ていた。


 カミーユがほうっておくとベッドの中まで付いてくる。


 自ずとカミーユとエトナ姫が話す機会は増え、カミーユの巨人語は堪能になっていった。


「エトナ姫、本日のお加減はいかがですか。暑さや寒さにお困りではありませんか」


 剣の修行が終わる夕刻、春とは言え、この時間は寒さがしみる。

 カミーユは巨人語で丁寧に尋ねた。


「大丈夫ですカミーユ。食事にも慣れました」


 巨人族は肉を良く食す。


 ここは王都の真ん中なので狩りに出る訳にもいかない。


 パンや粥、野菜が主であり、肉は副菜として供されるのみである。


「ご不便をおかけして申し訳ありません。量が足りなければすぐに仰ってください。間も無く、かの子爵を糾弾する場が設けられます。それまではどうか当家に留まりください」


 エトナ姫は、カミーユの手を取り抱きしめた。


「私は、カミーユの元を離れねばなりませんか。お側にいることは許されませんか」


 カミーユは、エトナ姫の頭を抱きしめ、答える。

「もったいなきお言葉。誠にありがとうございます。私も、エトナ姫と離れたくはありません。されど、きっと、お父上がご心配なさっています。ことが落ち着けば、一度お国に帰るべきだと思います」


 エトナ姫は身を縮める。巨人の仕草で不満を示すものだ。


「そうだわ。私がお父様の元へ帰る時、カミーユもついてくれば良いのです」

 エトナ姫は、本当に良いことを思いついたと、笑顔でカミーユに語りかける。


「お誘いいただきありがとうございます。我が王が許せば、ぜひご一緒させて下さい」


 やがて夜が来て、いつものようにカミーユのベッドにもぐりこむエトナ姫。


 カミーユは俄にエトナ姫を力強く抱いた。姫は驚き、カミーユの体を掴む。


 しかし、カミーユがあやすように手を撫でると、力は抜け、すぐにカミーユに身を任せた。



 こうして、カミーユとエトナ姫は、親交を深めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ