表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

学園入学試験!

     登場人物

天田(あまだ) 世結(せゆう) Amada Seyu    BP:899,695

・五大戦力の天田家の次男

・金髪イケメンのなかなかいけてる7:3分け

蒼穹(そら)の本当に実力をしるたった一人の人間

蒼穹(そら)と戦ったことがあるが、手も足もでずにぼこられている

黒郷(くろざと) 蒼穹(そら) Kurozato Sora   BP:(750,000)

・中流家出身

・銀髪で優しい顔立ち、後ろはハーフアップで前側は顔の右側の長い髪を三つ編みで結んでいる

・親にまで本当の実力を隠している(姉には隠していない)

・隠しているが表面上の成績は超優秀

川野(かわの) 悠真(ゆうま) Kawano Yuma    BP:secret

・五大戦力の川野家の長男

・黒髪で雰囲気イケメン。髪のセットがうまい。今日はセンターパートらしい。

     重要単語

 学園 :13歳から通う学校のようなもの

五大戦力:過去より争ってきた仲である最も強い5つの家系

     ・天田(あまだ)家は剣術に長けている

     ・川野(かわの)家は魔法に長けている

  BP(バトルパワー)  :battle powerの略称で、総合力的なもの

     3歳のときに大聖堂にて神に祈りをささげることで、数値化される

     一年に一回大聖堂へと赴き神に祈りを捧げるとBPが更新される。

     最大値は1,000,000とされており、BP1,000,000は過去で一人のみだ





 黒郷(くろざと) 蒼穹(そら)、その名は俺、天田(あまだ) 世結(せゆう)の幼馴染の名である。成績は優秀どまり。だが俺は知ってる。彼が本当の実力を隠していることを。なぜか? それは俺が4歳のころへとさかのぼるーーー



世結(せゆう)ー!! どこだよー!」

 俺たちは10人ほどでかくれんぼをしていた。あと俺だけ見つかっていないらしい。そのときだった。急にあたりがしーんとし始めたのだ。みんなの気配がない。でもその代わりに『世界を滅ぼすことも可能』なほどの強大な力を察知した。ふたつも。

「"(めつ)"」

 そんな声とともにふたつの内ひとつの気配が完全に消えた。とてもあっけない。世界を滅ぼす力 vs 世界を滅ぼす力の闘いはその一言で終わった。そしてその声には聞き覚えがあった。蒼穹(そら)だ。そして完全に気配を消しているはずの俺のところに蒼穹(そら)がやってきていた。いつの間にか。

「大丈夫?」

 俺は自分でいうのもあれだが、かなり強いほうだ。この年齢にこの力があっていないほどには。今のままでも国でtop0.1%には入れるだろう。だが、それでも近くにきてやっとその存在に気づけたのだ。失礼だが、俺に言わせれば蒼穹(そら)は弱くないが、俺よりは弱い。ただ優秀なだけ。なにもかもが、だ。力も、技も、頭脳も、魔力量も、すべて俺が勝っている。なのにその気配に気が付けなかったのだ。死に際の覚醒ってやつかな。だとしてもこんな強大な力持ってたのかよ。制御できずに俺まで殺してきそうだな、と思い、蒼穹(そら)を見上げる。そこにはーーー

「お前...誰だよ...?」

 日頃の優しい黒目はそこにはない。殺気に満ちた(あか)い眼をしている蒼穹(そら)がそこにはいた。しかも他のみんなは血を吐き、倒れている。やはり、制御できていないのだろうか、だからみんなを殺しちゃったのかな...。わかっていてもいつもとの違いに腰が引ける。...いやまてよ? 先の強大な気配を漂わせていた存在がここにいないことをみるに、"(めつ)"とは存在自体が消える技なのだろう。おそらくだが。そしてみんなの死体は残っている。つまりみんなはその何者かによって殺された、ということ。つまり(めつ)という技の仮設が正しければ蒼穹(そら)は自我を保っている。保っていないならば、みんなまで消えているはずだ。

 だがそれより、だ。どうしようか、殺気に満ちた眼をしている。だが、俺にまで矛先は向いていないように思える。というか、俺になんて説明しようか悩んでいるようにも見える。

「まあそうなるよね、驚かせてごめんね」

「なんで...目が...目...怖いよ」

 怖い。怖いから言葉をはきはきと喋れない。どうして自我を保てているの? その眼はなに? 聞きたいことがたくさんあるが、言葉がでてこない。怖いから。

「これが"僕"なんだよ。素の黒郷(くろざと)蒼穹(そら)なんだよ。多分だけど怖いんだよね。だから"僕"のことを話すね。だから、このことを誰にも黙っておいてほしい。友達にも、家族にも、俺の両親にも」

 蒼穹(そら)の一人称は"オレ"だ。なのに"僕"と言っている。本当に素なんだろう。俺はその素とはなんなのかがとても気になった。蒼穹(そら)の両親にも秘密だ、というところに疑問は抱いたが、俺はその条件を了承して話をきいた。その内容は、彼がこの世界における戦闘力、『BP(バトルパワー)』の数値が上限だと言われた1,000,000を軽く凌駕していたこと。実際の数値もみせてもらった。でももう数字は忘れた。何年も前だしね。あと魔法につい学んだら魔法についてなんかいろいろ分かったらしい。ここは俺に難しくて覚えていなかったが、俺も強くなりたくて数年後から一緒に学んだ記憶がある。そしてここからが驚いた。

「あ、ちょっと見てて、【蘇生魔法】死者蘇生(バース・ヒア)

「えっ............??」

 言葉が詰まった。喉が張り付いた。僕ら以外の殺されたはずのみんなが生き返ったのだ。いや、新に誕生したようにも思える。

「こんなことが...あるのか?」

 僕は五大戦力の一家だ。うちの家系は剣術が長けているが、それでも人並み以上に魔法は学ぶ。それでも、蘇生なんて聞いたことがない。魔法とは、戦闘,防衛,治癒の三つが基礎だ。そこから応用を利かせていく。さっき強大な力を察知したときに使った調査(サーチ)だってそうだ。まあとにかく俺はこの時に知ったのだ。彼、黒郷(くろざと)蒼穹(そら)の異常さを。彼はおそらく素の力を常にだすと、『世界を滅ぼすことも可能』のため、力を制御しているのだ。



 ーーーと、言うことだ。その出来事から8年と10か月がたって今俺はその蒼穹(そら)と学園の入学試験に来ている。今校舎前のベンチに座って、雑談に花を咲かせている。ここ、『国立学園』は唯一の国立の学校のため、国立学園という名前らしいがひとつだけ言いたい。

「名前ださすぎる!!!」

「それは思ったが、〇〇学校とかより学園のほうがましだよねって思うのはオレだけか?」

「まあそれよりさ、蒼穹(そら)は試験どうすんの? 本気は出さないんだろうけど.....」

「まあ親にはできるとこまでいくわって言ってるからねー。最高クラスの『超級クラス』だったか? あれにはいくようにするぞ」

「シンプルな疑問なんだけどなんで実力は親に隠して姉は知ってんの? 意味わかんないだろ」

 なぜか蒼穹(そら)は黙った。なんとか言えこのシスコン野郎が、とは思ったがそっぽを向いたので、話題を変えてあげるか。と思い、空を見上げて定番のあれをいう。

「「天気がいいね」」

 ........ハモった。見事に。しかも今日は曇りだった、なんなら雨が降りそうだ。そして鞄に折り畳み傘だって入れてるんだった...。なんで気づかなかったんだッ!

「じゃあ、あとは実技の会場でなー!」

 蒼穹(そら)はそう言ってそそくさと試験会場へと向かった。逃げたなあの野郎...。

「んじゃ、俺も行くか」

 世結(せゆう)もそう言って教室へ歩き出した。



 午前は主に頭を使う。計算と文字、簡単な歴史と基礎魔法学だ。俺と蒼穹(そら)は別教室だったらしく、話す相手がいなくてつまらない。

 問題をといているが、簡単すぎてお話にならない。一番難しい問題が〖今本を12冊持っています。5冊友達Aに貸して、6冊を弟から借りました。今何冊の本を持っていますか?〗という問題なのだが、蒼穹(そら)とナンプレ最高難易度をどっちが先に20秒切れるか! という遊びをやっている身からすると、頭が『?』である。あ、簡単すぎてって意味ね。実技の基準がバカ高いらしいから、そっちに期待かな。

 俺は残り時間が暇になってしまったので、以前蒼穹(そら)が言っていた、相手をみて相手の実力をはかる。というのをやっていた。

「あと30分です」

 試験管の声が響く。だが気にしない。だって終わってるからね。俺は左斜め前の生徒を観察してみた。うーん。全く分からんぞ? 蒼穹(そら)はとりま見りゃ強さ分かるとか言ってたけどそんな訳ないだろ...。でも蒼穹(そら)はそれができるから手加減具合をはかれるのであってだな。

 とか考えてたらいつの間にか終わった。見直しはしなかったが、ミスはありえない。あんな計算や文字は普通に過ごしてたら分かるし、歴史に関しては五大戦力の家系からすればくそ簡単だった。魔法基礎学はおそらく蒼穹(そら)との魔法特訓のおかげだろう。簡単すぎた。

「お昼休憩中にご飯を食べてくださーい。そうしたら午後は実技試験ですよー」

 試験管が教室で騒いでいた俺たちに声をかける。そういうことなら飯食いながら蒼穹(そら)に相手の実力見抜くコツでも聞くか。とか考えていたら

「お、いたいた。世結(せゆう)ー!」

 言ったそばから蒼穹の登場である。だがその横には一人の男が立っていた。

「あ、紹介するよ。こいつ、俺と試験中席が隣同士だった川野 悠真。結構おもろいやつだぞ」

「初めまして...ではないかな? 天田(あまだ)世結(せゆう)くん」

「2年ぶりだな。川野(かわの)悠真(ゆうま)

「え? 何、お前ら知り合いだったの?」

 蒼穹(そら)が首をかしげていた。あ、こいつこの手の話題くっそ弱いの忘れてた。

「川野家の人だよ。五大戦力の」

 蒼穹(そら)に耳打ちする。

「......え? それまじ?」

 俺は首を縦に振っといた。ちなみに川野家と天野家の仲は超良好だ。よって悠真(ゆうま)とは仲はいいのだが、まあ言わなくてもいっか。蒼穹(そら)は人間観察は人並み外れてるからね

蒼穹(そら)くんは僕が五大戦力の川野家ってしらなかったってことか。というか五大戦力につい

て全く知らなそうだね。僕に対してなにも物怖じずに話ができたのはそゆことか」

 川野家とは、魔法の洗練度がレベチであることが有名だ。そのためみんな僕は私は身の丈にあってないからー、っと目を合わせようともしないのだ。

「ごめんねー、そこら辺よくわかんなくてさ」

「じゃあ入試の歴史はどうしたの?」

「歴史の出来事丸暗記してきたぜ」

 なぜ誇らしそうな顔をしているのだろうか彼は。

「とりま飯食おーよ」

 俺のその一言でたしかにー、となり食堂へと向かった。



 俺は三人で券売機の前で悩んでいた。

「ステーキとか最近食ってねーよ。でもこっちのカツ丼も捨てがたい」

 なんで蒼穹(そら)は午後から実技があるのにこんなに重い食べ物食べようとしてるのだろうか

「僕はこのオムライスにしようかな」

「俺もそれいいって思ってたんだよね。俺もそうするー」

「え、オレもそうしようかな...。たしかにオムライス美味そうだしな。よし! これにし

よう。あ、あと餃子もたのもーっと」

 なぜか全員オムライスで決定した。あと蒼穹(そら)はどんだけ食うんだ?

 適当に席を確保した俺たちは番号を呼ばれるまで席に座って雑談をしていた。

蒼穹(そら)くんは実技前なのにいっぱい食べるんだね」

 よくぞ思ったことをきいてくれた!

「腹が減っては戦はできぬ!」

「だからって満腹になってどうすんだ!」

 おもわずつっこんでしまった。

「まあ最初は各自の実力を試験管に見せる感じでしょ? で、そのあとPvPって感じらしいから大丈夫だよ」

「試験管にアップを見せるつもりかよ! しかもPvPて、せめて対抗試験といえ」

 とか俺は思ったが一方で悠真(ゆうま)はというと、

「なるほど、それは面白いね。僕もやってみたくなったから餃子一個ちょうだーい」

 いやいや蒼穹(そら)が飯をあげる? そんなことはありえないんだぜ悠真(ゆうま)さんや。しかも顔を見ればわかる。貴様、餃子が欲しいだけだな? なら尚更蒼穹(そら)があげることなんてありえなーーー

「ん? いいよ。一個だけな?」

「え、あげんの」

 素で聞いてしまった。蒼穹(そら)はマジで食べ物に目がない。だから絶対あげないだろうと踏んでいたのにこれは予想をだいぶ裏切られた。

「ちな、悠真(ゆうま)は実技はグループなに?」

 急な話題転換だが、俺としては悠真(ゆうま)と戦うのは避けたいからありがたい話題だ。

「Aだよ」

「オレもAなんだよね!! 世結(せゆう)もAだから俺たちチームじゃん!」

 ここの実技試験はまず体術、剣技、魔法術をそれぞれ先生一人、生徒三人で見ていく。その後に、グループ別対抗試験である。対戦相手はランダムだそうだ。対抗試験では自分がどういう役割を果たしたかという点、純粋な強さと"BP(バトルパワー)"を照合して全力をだせているか、を見られる。

「あ、僕の番号が呼ばれたね。先にとってくるね」

 ここで悠真(ゆうま)がどっか行ったところで、蒼穹(そら)に切り出した。

蒼穹(そら)BP(バトルパワー)どうしたん?」

世結(せゆう)が899,695って言ってたよね?」

「ああ、自分でいうのもあれだが、かなりの数値だぞ」

「わかるさ。だから俺はそれを参考にして、750,000にしたのさ」

「学園生にしちゃ随分多いほうだな、大丈夫か? それ」

「今日先に教室行ったろ? そんときに荷物おいていろんなやつ見て回ったって感じ。見りゃだいたいのBP(バトルパワー)分かるしね」

「で、その結果750,000にしたわけですか」

「俺の見立てだと学年序列は7位になる予定だ。学園全体を見たわけじゃないから学年序列はなんとも言えないけどな」

「あ、そうだ。その見て相手の実力をみーーー」

 ーーーぬく方法教えてくれ。と頼もうとして直前でやめる。悠真(ゆうま)が帰ってきたからだ。

「あ、俺の番号よばれた」

「オレもだ、いってくるね」

 そしてとりにいってる途中、【脳内連絡魔法】脳内連絡(コンタクト)が使われた

『さっきオレになにをきこうとしたの?』

 蒼穹(そら)からだ。脳内連絡(コンタクト)は大量の魔力を用いるし魔力放出もおおいため、周囲にばれやすい。だが彼は、最小限の魔力で脳内連絡(コンタクト)を使っているため魔力放出がなく、周りの人にばれにくいのだ。魔法極めすぎでしょ...。

『一目見て相手の実力を見抜く方法教えてくれ、って聞こうとしたんだけど悠真(ゆうま)帰ってきちゃったからさ』

『なるほど。ちなみに見抜く方法はまじで数を積むしかない。オレは手を抜かないといけなかったからよく観察してたんだよ。でもそしたらいつの間にか一目で分かるようになってたからね』

『なるほどな、頑張るわ』

 とにかくいっぱい鑑定してけってことね

『あと、お前悠真(ゆうま)と仲いいんだな。お前と悠真(ゆうま)が仲いいの? それとも天田家と川野家の仲がいいの?』

『後者だね。家系自体が仲いいんだよ。なんでわかったの?』

 見ればわかるって帰ってくることがわかっているが一応聞いてみる。

『なんとなくかな。多分これもいろんな人鑑定しすぎてできるようになっただけだよ』

 やっぱりいっぱい鑑定してけってことね

「734番、735番の方ーオムライスこちらでーす」

 教員の人だろうか? が大きな声を上げてがんばって呼んでくれている。そこで脳内連絡(コンタクト)はとぎれた。

「あの、736番の餃子ってまだですか?」

 俺は、それもうだいぶ前に呼んでたぞ? と思ったがさて教員さん、この変人にどう対応する?

「あ、736番の餃子でしたらもう既に呼ばれております。あちらで保留となっております」

 と、厨房を指す。優秀だ。そこにあった。736と書いてある紙を近くに添えて餃子の皿だ。

「あれか、ありがとうございます」

 蒼穹(そら)がペコッとお辞儀をして厨房に声をかける。

「736番の餃子を頼んだものですー」

 するとなんか爽やかイケおじが出てきた。餃子と、なんか紙も一緒に。

「こちら、焼いてから3分9秒経った餃子 ~736の紙を添えて~ です」

「あ、どうもー」

 なんか高級レストラン風にボケてたが、そのボケをフル無視して餃子を受け取る蒼穹(そら)

「苦笑いもなしですか。おじさん泣いちゃいそうです」

 イケおじが泣きまねをする。なんかきもかったので慰めてあげようか。

「こいつあんまそーゆーの分かんないやつなんですすみませんね」

 俺が適当にそう言うと残念そうに肩を落としてそうか、と厨房に戻っていくイケおじコック。名札には木村と書いてあった。可哀そうだから覚えておいてあげよう。

 そして席に戻り三人で連絡先を交換したり、午前試験の自己評価を話したりしてた。相変わらず蒼穹(そら)は自分の評価は低くしていた。だが、それでも優秀って感じの成績だ。そしてたのしく昼食を終えたのだった。



 午後は実技試験である。俺たちAグループはまずは体術から見られる。三人一組になるのだが、まさかのAグループ第2組である俺たちは、天田(あまだ) 世結(せゆう),川野(かわの) 悠真(ゆうま),黒郷(くろざと) 蒼穹(そら)であった。

「こんなことあるんだな!」

 蒼穹(そら)がテンション爆上げでそんなことを言っているが、俺もテンションが上がっている。

世結(せゆう)くんは体術どうなの?」

 悠真(ゆうま)に尋ねられたので素直に答える。

「体術はまじで人並みだぞ、剣と魔法は自信あるがな!」

 剣と魔法は知ってるよ、と苦笑気味で言った後、蒼穹(そら)にも尋ねていた。

蒼穹(そら)くんは?」

「体術は世結(せゆう)よりいけるけどなあって感じだね」

「へぇーならBP(バトルパワー)は700,000とかは超えてるんじゃないの?」

「よくわかったな...。750,000なんだが...」

「かなり多いんだね...」

「多いとは思うが悠真(ゆうま)の方が多いだろ?」

 蒼穹(そら)のその一言で悠真(ゆうま)が目を丸くした。俺は悠真(ゆうま)BP(バトルパワー)を知っている。そして彼が今日はすごくド平均なBP(バトルパワー)を装っていることも。蒼穹(そら)がそれを指摘するとは思わなかったため、俺も驚いている。鑑定技術ばれたらどうすんだよ...。実力隠すんじゃなかったのか?

「どうしてわかったの? 割とド平均ぐらいを装っていたつもりだったんだけど」

「ん-、勘かな。目とかみたらさ、なんか強そうだったから」

 目...か。たしかに今日の俺が悠真(ゆうま)が本気じゃないと分かったのは彼の目をみて判断できた。つまり蒼穹(そら)は初見の相手にも同じことしてるってことなのか。やべえなまじで。

「目? よくわかんないけど鑑定技術は蒼穹(そら)くんに負けているかもしれないな」

「2組目ーきてくださーい」

 そこで呼ばれてしまった。

「じゃあ試験頑張ってみんなで受かろ!」

「「おう!」」

 悠真(ゆうま)がみんなで、か。あいつも変わってんだな。

「じゃあ3人ともそれぞれの技を使ってフリーに打ち込んでね」

 俺たちの前には一人一個のパンチバッグがあった。おそらくそこにぶちこめってことだろう。蒼穹(そら)はまじでこれ得意そうだな。

「はじめ!」

 その一言で一斉に打ち込みが始まった。しかし始まって5秒に満たずに、

「や、やめてくださーい...!」

 なぜか萎縮しながら、そう言っていた。そりゃそうだ。このなかで一番下手な俺でさえ、この二人以外の誰にも負ける気がしない。そしてそれ以上の技術を発揮する二人がいたらそりゃそうなる。満点ですから次にどうぞー、と促された。ちなみに悠真(ゆうま)蒼穹(そら)は一撃でパンチバッグを破いていた。やりすぎだ。俺は精々穴が開いた程度だってのに。

 次は剣術である。なにやら道場のような場所で行うそうだ。素振りをしろ、とのことなので素振りをしようとするが、となりから意味不明な発言がとんできた。

「あのー、オレ素振り苦手なんすけど...。打ち合い相手欲しいです」

 まじで何言ってんの? たしかに蒼穹(そら)は素振りに関しては苦手だ。だが、一般以上の力は優に超えている。なんなら俺より上だ。

「ですが、素振りでの点数をつけろ。とのことですので、素振りをお願いします」

 だよな。あたりまえだ。なぜ蒼穹(そら)はしゅんとしてるのだろうか。

「では、気を取り直して、はじめ!」

 威勢のよい声で素振りの開始を告げる。しかしやはりここも、

「ストーーッップ!!」

 蒼穹(そら)は結構加減していて、ザ・平均って感じであった。悠真(ゆうま)は全力だろう。悠真は剣技が苦手だ。だが、全然強い。そして俺はというと...

「あ、壁...」

 と呟いた。なぜか、簡単だ。剣の風圧で壁がどうみても凹んでいる。20mは離れている壁を凹ませてしまった。怒られそうだが、満点だからまあ許そうと言われた。実力至上主義なのか?

「お前やりすぎだろ...」

「さすがにねー」

 蒼穹(そら)悠真(ゆうま)に言われてしまった。だが、さっきパンチバッグをぶっ壊したお前らには言われたくない。

「まあ、俺は満点だしいや」

「オレたちは満点じゃねーんだよ」

 とか言いながら実技魔法術試験会場に到着した。

「全力の初級魔法を放ってねー」

 試験会場の魔法科専用の先生なのだろう。雰囲気がそんなかんじのお姉さんって感じだ。

「【炎初級魔法】の火炎(かえん)か【氷初級魔法】の氷柱(つらら)のどちらかでおねがいねー」

 俺は詠唱短縮で唱える。学生としてはこれでもすごいと言われるほどだ

「我炎よここえ集え。【炎初級魔法】火炎(かえん)!」

 俺は放った。初級にしては速く、強い初級魔法を。当然初級用に作られた的は壊れる。

「...は?なんですか今のは...」

 俺のですらぽかんとしてるようだが蒼穹(そら)のほうが強力だ。

「...」

 え? まさかの無詠唱?! それはやりすぎだろ...。

  ードオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!ー

火炎(かえん)を、無詠唱? しかも...こんなに高火力?!」

「無詠唱ではなく、声が小さくて聞こえなかっただけではないでしょうか」

 と蒼穹(そら)はほざくが、彼は無詠唱であった。

"無詠唱魔術"、それは詠唱した際の体内魔力の動きを自力で再現したものであり、実際自分で魔力を動かすことが難しいのにそれを正確に行わなければならない。本来人間にできる所業ではない。ちなみに無詠唱とは詠唱短縮を極めに極めた末たどり着く深淵といわれている。だが、詠唱短縮は詠唱を極力簡単にするだけのもののため、趣旨がちがうのだ。

「で、ですよね」

 と試験管のお姉さん。おそらく現実逃避でもしてるのだろう。そしていつの間にか悠真(ゆうま)も放っていたらしく、蒼穹(そら)の火力に驚いていた。

蒼穹(そら)くん...。バカ火力だね」

「魔法は割と得意なんだよね」

 ちなみに悠真(ゆうま)は俺より短詠唱で高火力であった。川野家は魔法と得意としているのにこれは一本取られたなという顔だった。そしてグループ別対抗へと備えるのだった。



 ルーレットの結果、俺たちAグループはFグループと戦うことになるらしい。人数は18人vs21人だ。こっちの棄権率が0%だったことをみるとFグループはもとから人数が多かったらしい。おそらくBP(バトルパワー)での調整だろう。俺は蒼穹(そら)に小声で尋ねた。

「相手の戦力は?」

「高いやつでもBPが600,000程だ。オレの魔法でワンパンだがそれは味方の点数に響くよな?」

「そうだな、一人につき一人で、俺ら三人が二人相手ってことでいいか?」

「うんそれでいこう。悠真(ゆうま)とほかのAグループのみんなに伝えよう」

 俺たちはAのみんなにこの作戦を話した。みんなは俺たちの実技を見ているため、こいつらなら大丈夫だろう、という視線を感じる。

「準備はいいか? グループA vs グループF!」

 試験管の声がこれでもかと響く。ちなみに第一試合のため注目の的らしい。観客的用席に受験生がたくさんいる。

「3! 2! 1!」

 俺はこの三秒で思考する。開始早々に蒼穹(そら)が戦力高い二人を持ってってくれるはずだ。そして悠真(ゆうま)蒼穹(そら)が指示した二人をもっていくはずだ。そしてこの二人は絶対魔法を使う。そうしろ、決めてはいるわけではないが絶対そうだ。そのため想定の四人以外にも被害がでるだろう。はじめの一撃で俺の分の2人までこいつらが倒すと思っている。だから俺は初めからカバーに回ることにしよう。作戦と違うが、そっちの方がいいだろう。

「START!」

 そしてはじまっーーー

「...」「黒雷激化(こくらいげきか)

 ーーーたら無詠唱と超短縮の魔法が発動し、なんと半分以上が壊滅。あ、ちなみに気絶したらその人は気絶状態になって45秒後から自己蘇生が始まるか、治癒魔法をかけられるかしなければ、復帰できない。復帰は一度のみだ。そして全員が復帰不可になると終了だ。誰も蘇生されることなく、つまり初めの一人を気絶させてから45秒以内に決着がついた場合には『殲滅(せんめつ)』となる。過去に殲滅は何度も起こっているが最速記録は52秒らしい。くそ早いと思う。ちなみにここは結界が張られており、死ぬことなないだろう。

 黒雷激化(こくらいげきか)とは【雷上級魔法】である。蒼穹(そら)は【炎上級魔法】の炎下滅熱(えんかめつねつ)を放っていた。21人中14人を二人がもっていったので、俺は見方をカバーしながら戦う。すると、

「FINISH!」

 いつの間にか試合が終わってしまっていた。開始12秒で全員が倒れたため、蘇生不可で俺たちの殲滅勝ちとなった。過去最速の殲滅記録らしい。

~記録~

黒郷(くろざと) 蒼穹(そら) 9 kills 0 death 2 assists

川野(かわの) 悠真(ゆうま) 6 kills 0 death 1 assists

天田(あまだ) 世結(せゆう) 6 kills 0 death 0 assists


ほかの受験生は0kill 0death 0~2assistだった。


 まあ受験終わったから、この三人で打ち上げ的なのをやりたい。どう誘おうか。

「ねね、みんなこの後予定ある? ないならそこのファミレスで簡単な打ち上げしよ!」

 は、蒼穹(そら)...お前ぜってー俺の心読んでるだろ。

「僕は予定ないから親にその旨だけ伝えよ」

「俺もいけるぞ!」

「いいだしっぺのオレはもちろんOK!」

 ってことでそこら辺のファミレスで打ち上げ的なのをやった。

 みんな受験受かってるといいなと願う。

無事に試験を乗り越えた二人ですが、結果はどうなのでしょうか! とかいいたんですが、とても暴れておりましたのでおそらく合格でしょう。ですが、問題は学年のtop15人の選抜クラスである『超級クラス』に入れるかどうかが最重要です。五大戦力の家系はまだ二家系しかでてきてません。非常にきになりますね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ