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Seventh Heaven

作者: 木野恵

 一柱の悪魔がおりました。

 悪魔の中でもひねくれ者で嫌われ者。

 好かれないことをわかっているので白い花を携えてひっそり過ごしていました。

 誰ともかかわらないように、誰とも遊ばないように。

 そんな悪魔に友人が一人いました。

 こんな悪魔とも遊ぶ天使のような子供です。大人びていて人気者。

 悪魔はなぜ遊んでくれるのかがわかりません。



 あるとき足を蹴ってくる子が現れました。

 理由はわかりませんがやり返します。

 やり返すと見知らぬ大人が現れました。

 あることをすると殺すと脅します。

 悪魔と白い花はひどく怯えましたが、孤独でいることを選んだので誰にも相談できません。

 気が付けば、自分以外にも脅されている子がたくさんいました。

 悪魔と花は遠くからじっと見つめます。

 気づいた大人はこちらを一睨み。

 脅されているのは足を蹴ってきた子と関わった子たちです。

 あることをしようとすれば、子分たちが指をさして笑っています。

 告げ口されると思った子たちはそれがとても怖くてなりません。

 ある子は心が病んでしまい、ある子は自ら命を絶ちます。

 白い花も一度死んで種を4個残しました。

 ひとりじゃない子だっていたのに、誰にも相談できませんでした。

 悪魔はその大人と足蹴にしてくる子が一緒にいるところをたまたま見かけて親子だったと気づきます。

「こらこら、一緒にいるとこ見られちゃダメだろ」

 満更でもない様子でした。

「大好きだもん。早く一緒に暮らしたい」

 足蹴にしてくる娘は盛大に足を引っ張ります。

 そんなことはつゆ知らず。哀れな犠牲者たちを見て嘲るように笑っています。

 この世の『すべて』は思いのままです。

 名前も顔も戸籍も年齢も。

 近所の人と仲良くしていれば誰もそんなことしているなんて思いません。

 ちょろいもん。

 真の悪魔と魔王がそこにいました。



 天使と遊んでいるのを快く思わない蝙蝠が真の悪魔に告げ口します。

「あいつは天使と仲良しだぞ」

 真の悪魔は強引に約束を取り付けてきました。

 断りたくても蝙蝠が代わりに連れていくといっています。

 嫌だったのでしぶしぶ頷くしかありません。

 連れていくと悪魔は天使に怒られました。

 遊ぶときにひと悶着。

 じゃんけんするときに天使から告げられた勝てる手を出せなくて茫然自失。

 体が言うことをききませんでした。

 出てきた手は負ける方の手。

 真の悪魔は強引に追い出され、遊びは解散、店じまい。

 悪魔は錯乱し、芽を出していた花は枯れました。



 蝙蝠が勝手に真の悪魔を捕まえて、お仕置きさせようとしましたが、そんなことに興味はありません。

 真の悪魔は勝手に股を広げてはしたない。

 お仕置きする理由もわかりません。

 ひとりでいたかったし関わりたくもなかったのでその場を去ります。

 どういうわけか魔王が家に来て大激怒。

 身に覚えのない罪を問われ、どこかへ連れていかれそうになりました。

 親が抵抗して守ってくれたので命拾いしましたが、嫌がらせは増すばかり。

 酷い仕打ちに見かねた人が、真の悪魔をいじめます。

「あれは俺の妹なんだよ!」

 妹想いの兄は叫んで、これまた盛大にやらかしました。

 家族思いでよかったね。


 天使が去るときに酷いことを言ってお別れをしました。

 それ以来嫌がらせは増していきます。

 花の芽はまたしても枯れました。

 自分で自分の首を絞めたためです。

 真の悪魔たちは天使を追いかけ出ていきました。

 しかし平穏はおとずれません。



 蝙蝠と一緒に狒々二匹がつきまとって嫌がらせを続けてきました。

 ひとりで放っておかれたかった悪魔はずうっと嫌な気持ちでいました。

 あるとき天使のように助けてくれる人が現れましたが、悪魔は相手を大事にする術を知らなかったので嫌われてしまいました。

 ずっとその繰り返し。

 もう一度植えた花の種も、蕾にまで育っていたのに、一番頑張った時に枯れてしまいました。



 長い年月が過ぎました。

 悪魔は真っ白くて綺麗な花を育て上げました。

 いろんな穢れを被ってでも守ってきた宝物。

 優しくて綺麗で神聖ささえ感じるもの。

 あるとき違う天使が現れて一緒に遊ぼうと誘います。

 悪魔は今回もどうして遊んでくれるのかがわかりません。

 せっかくなので、白い花を差し出します。

 楽しい思い出を作っておいで。

 どういう縁か、天使はあのときの真の悪魔を誘って遊んでいますが、悪魔も真の悪魔もお互い気づきませんでした。

 真の悪魔は徹底的に無視を決め込み、天使に甘えまくります。

 白い花は綺麗であり続けようと頑張りました。

 悪魔は固唾をのみながら見守ります。

 あるとき白い花は助けを求められました。

 大事に育てた甲斐があったと悪魔は両手を挙げて大喜び。



 喜んだのも束の間です。

 たくさん働いて尽くしても、報われることはありませんでした。

 良い点は仕事をするようになったとこ。

 本当は寂しくて、一緒に遊んでほしいのに、白い花はだんまりです。

 甘え方を知らなかったのです。

 本当は愛がほしかった花は、少しずつ元気をなくしていきました。

 悪魔は大事にする術を知らないので、そんな花を元気づけることはできませんでした。

 悪魔は少しずつ後悔し、白い花は最後の散り方だけを考えるようになりました。


 あるとき大事件が起きます。

 白い花は自分を大事にできなかったので、黙ってぼこぼこにされようと頭を垂れてしまいました。

 悪魔は頭を抱えます。

 すべては自分の責任でした。

 白い花のために頑張って尽くしたつもりが逆効果だったのです。

 そのままだったら軽くすんだであろう事が、大きくなって取り返しのつかない状態になっていきます。

 あのときの真の悪魔と魔王がそのバックについていたのを知ったのはあとのこと。

 言ってないことを言ったといわれ、ノリを合わせて冗談を言ったら真に受けられてしまいました。夢と創作と現実の区別がつかない人たちだったのです。

 相手を知ってから話すべきでした。

 覚え間違い勘違いは噓つきよばわり。

 何を言ってもうまく伝わることがありません。

 伝わらないのはみんな一緒だけれど、わかろうとする姿勢があったらと思うのでした。



 白い花は死ぬことだけを考えるようになりました。

 尽くして頑張ることが徒労に終わったところだったので、死しか考えられません。

 嘘でも言っちゃいけないことを言われて怒ってしまい、それが取り返しのつかないことになっていきます。

 死んでない人のことを死んだと取り巻きに怒鳴られ続けます。

 死んでないとわかっていても、そうされると自信はなくなっていきました。

 せっかくだから役に立って死にたいな。

 善い人が死ぬのは悲しいけれど、悪い人が死んだら喜んでもらえます。

 悪魔は黙って見ていることしかできません。

 大事にする術を知らないからです。


 白い花は自殺しました。

 ぼこぼこにされに自ら飛び込んでしまったのです。

 花なりのせめてもの罪滅ぼしだったのでしょう。

 好きなものを答えれば勝手なことをされ、ヒソヒソとあのときの蝙蝠が花を追い詰めるために邪魔をします。

 言いたいことは伝わらず、勝手な解釈を押し付けられます。

 花は心が空っぽになって、正常な判断をできなくなってしまっていました。

 花びらがばらばらに飛び散り、茎も葉もばらばらにされていきました。

 飛び散った痕跡をみんなでわけて、いろいろな物ができました。

 白い花を殺された悪魔は怒り狂い、一緒にばらばらに砕け散りながら呪いをまき散らしました。

 呪いはそれぞれ解き方が異なります。

 あのときの真の悪魔はそれを見て、自分もやれるようになりたいからあいつを解剖してくれと魔王にねだりましたが、魔王を困らせただけでした。


 悪魔は最近になるまでずっと記憶をなくしていた上に勘違いをしていました。

 白い花は種を残して死に損なっていたのです。

 天使はそれに気が付いて、見限ることなく見守っていてくれたのでしたが、悪魔は自暴自棄になって滅びの道を歩きます。

 いつものように大事にする術を知らないまま、差し伸べられた手に爪をたて、死んだように生き続けてしまいました。

 天使に爪を立てながら、白い花の話をして叫んでいると天使は優しく教えてくれるのです。

「たまに顔を出してくれるからまだ死んでないよ」

 悪魔は驚き、言葉をなくします。

 ずうっと死んだと思っていたのに、欠けてしまったと思っていたのに、辛うじて生きてくれていたのでした。

 今度は自分を大事にできるように、攻撃されても無視して自分らしくいられるようにと願いながら、土に種を植えて大事に大事に育てようと心に決めましたが、そのためには悪魔自身がお手本になれるようにならねばなりません。

 自分が嫌いな悪魔には大きな壁が行き先にそびえているのでした。

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