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わけのわからない嫌がらせを受けた魔女

作者: 杉の木ノキ
掲載日:2022/03/02

 へっぽこ魔女、イザベラは発狂していた。

 何者かに愛用のティーカップをタンスの角で叩き割られた事実に嘆いていた。

 一体誰だ、誰なんだ。

 私のティーカップを割ったのは。

 見つけ次第、お前の悪頭も同じようにしてやろう。

 そう決意を固めるのは想像にかたくない。


 イザベラは、自宅近くの沼地に容疑者を集めた。

 自称最強魔女セーラ。

 自傷行為大好きメッセル。

 自分以外信じられないモナカ。

 弟子のティーカ。


 イザベラは、まずはセーラに質問をした。


 「昨日の夜、貴方はどこで何をしていましたか?」

 

 事件解決にあたり、重要なアリバイを証明してもらう。

 これは全員に聞かなければならない。


 「家で本を読んでた。最近流行りの転生物」


 と、まるで転生者本人のように、セーラはぽかんと答えた。

 彼女の言葉に嘘はなさそう。

 次はメッセルを問い詰める。


 「貴方は何をしていましたか?」


 「ふぇ? ボクは腕にイフリート男爵の絵を描いてたよー」


 「はい結構です。帰っていいですよ」


 「わーい」


 メッセルの知能指数に脳が腐りかけたイザベラ。

 次はモナカである。


 「何をしていましたか?」


 「わ…わたしは……わわわわわわわっ」


 緊張に耐えきれず、モナカが故障してしまう。

 よって強制的にご退場。


 「はあ…」


 残るは一人。

 イザベラを困らせる一人。

 弟子のティーカ。

 かの有名な、プクラッシャー家ご令嬢のティーカ。


 「ドンマイです、師匠」


 それは天使の美声であった。

 満面の笑みで、ティーカが言った。

 ドンマイだってさ、イザベラ。

 セーラが思ったことである。


 「一応聞いておきますが、やった?」


 「やってません」


 「とか言っちゃって、本当はやったんでしょ?」


 「やってません」


 「どうして嘘つくのかな? かな?」


 「嘘なんてついてません、せん」


 「今吐けば許してあげる」


 「ほんとですか!?」


 「やった?」


 「やってません」


 話し合いは平行線であった。

 イザベラが頭を抱え出した。


 「おい大丈夫か?」


 優しいセーラが、イザベラの頭を鷲掴みにして振った。

 凄まじい腕力の持ち主である。


 「わー! ボクにもやってよー!」


 すかさずメッセルが乱入し、一時騒然とする。

 それでもイザベラは怒らない。

 怒れる相手一人だけ。

 ティーカップを割った犯人だけ。


 「自分、もう帰っていいですか? 時間の無駄なんで」


 そう言って、ティーカが足を滑らせた。

 転んで泣いて、気が緩んだ。

 指先の絆創膏が剥がれた。

 

 「あら貴方、手どうしたの?」


 「これですか? ティーカップ叩き割った時に切りました」


 なんと可哀想な弟子であろうか。

 そう思い、イザベラはティーカを底なし沼に放り投げた。

 

 「バイビー!」


 メッセルの声に、ティーカは親指を立てて応えた。

 多分、脱出出来ると思われる。

 そんな勘で生き延びてきた、魔女のはなし。

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