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第八話:『俺のスキルとお前のスキル』

バリ


バリリッ


苦い顔で木片を齧るダンテ、当たり前だが肉体とはいえ植物は植物。

木を食らうなんてシロアリのようなものであり人間の身体では合いはしない。


「まあシロアリも取り込めば出来るかもだが…」


無論そこまでやるつもりはない、そもそも取り込むのは一度でいいのもある。

先程分析したミニトレントの知識はしっかりこの過程で記憶できている。


「さて~…どう弄る?」


取り込んでわかったのは、ミニトレントのようなタイプは特殊な受光器官を生成しており。

降り注ぐ日をその器官を通して魔力に類似するエネルギーに変換、ここから大気中の魔力に近しいモノと

結び合わせる事で、陽の光を魔力に変換する事が出来る…という仕掛けらしく。

その仕掛けを考えれば皮膚の変換が良いだろうか。

その場合、皮膚の表層はミニトレントの器官をベースに中身はスライムの組織と掛け合わせる事になる。

幸いスライムの水分変換器官はミニトレントにも近しい物が有り相性が良い。

キメラみたいだな…と思わない事も無いが、それはそれで躊躇う事でもない。


「よし、やってみるか…!」

そう呟いて[遺伝子(ゲノム)スキル]を起動し、自分の身体を作り替える。

肌色が一瞬揺らめくが、直ぐに安定して先ほどより硬そうな風味を見せる。

手を滑らせて頭の先からつま先まで発動しおえれば、感覚が大きく変わる。


「…お~」


手先を翳せば、元気が湧く感覚と言うべきか。

息苦しさから解放されたときの快感に日光浴のような穏やかな感覚が合わさって

其処に確かな息吹を感じられる、これがミニトレントかと。


「大体…晴れている時なら120くらいの供給だ、期待通りってトコだな」

「…そういや、この《光合成》以外にも能力があるな」


ミニトレントの学名はシーフマイクロウッドモドキ、だ。

シーフは恐らくミニトレントが隙を見て冒険者の荷物を盗む事からだろう。

その為かこのミニトレントには《掠め取り》というスキルがある。

尤も、そういう情報は先程の分析で分かった事だが。


「…こういう使い方か?」


ミニトレントを取り込んだ為か、自分自身も"使える気がした"ので発動してみれば。

すっと、音もなく目の前の木から枝を毟り取っていた。

成程、こんなことが出来るならそりゃ盗みも優秀だ。

ただ、問題なのは其処じゃない…どういう理由でスキルが使えるか、だが。


「そういや解析項目には[肉体]だけじゃなく[能力]の項目もある

ミニトレントは○だったから…多分そういう事、なのか?」


分析できれば、それを扱えるってのは相当破格な話だ。

何せ魔物のスキルは人間のモノとは大きく違う、それを扱うために進化したんだ。

その為に効率も出力も大きく違うし、出来る幅も違う。


「これも俺の才能っつーことだな」


まぁ、今くらいは胸を張っても誰も責めやしないんだ。

そう思いつつ、もう一度《掠め取り》を使ってみれば。


「ピギィッ」

「えっ」


偶然近くに居たらしいミニトレントの胴をスッキリ切り取っていた。


「…魔物のスキル、ヤベーな」


兎も角、討伐数に+2するダンテであった。

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