第二十一話:『青銅教導団』
ギルド、それは政府にも並ぶ権力の収束点。
国の元にあるが、国に並ぶ集団であるが故に。
それを縛る組織もまた共にギルドの中に存在している。
"青銅教導団"と呼ばれたそれらの団体は。
不正を働くギルドへ"征伐"を行う恐ろしき存在である。
しかし、その制裁機構は激しい残酷さを伴い、かつ特例でしかない存在であるが為に。
明確な理由ない限り動く事は無い。
明確理由が、"無い"限り。
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その日提出された資料、それは余りにも明確であった。
残されたサイン、拇印、そして経歴。
ロゴスの職員は酷く驚き、しかし何もいう事は無かった。
ギルドの不正ある時、決して余計な言葉は許されない。
不正に加担を疑われぬ為に、暴力から距離を置く為に。
その書類はすべて、青い封筒に仕込まれて、青銅のバッジで封をする。
本来は精査を挟むが、この事態に於いては一職員の権限にて郵送を許可される。
それがただの清掃員ですら、可能だ。
しかし、職員の手は震えていた。
それも仕方のない事だ、なにせそれは死刑のキッカケ。
一度本部に到着すれば、教導団は止まらない。
一度動き出せば、全てを裁くまで止まらない。
だが、しかしそれが自身に向かない保証を得るには。
───送るしかないのだ。
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再び視点が代わりトンストン。
ミーシャは気が立っていた、主力の抜けもあるが…。
なにより、おかしな置き土産だ。
「全く、暴露など街で行いおってから…恩知らずめ」
しかしまぁ、街でのもみ消しなど難しい話ではない。
住人だって信頼している、ただのゴシップと言えばいい。
多少なりとも手を焼くのが許し難いが。
「仲がいいとして、利益を捨てるほどか…馬鹿な女めが」
ナイツユナイトの有力な射手が失われたのは余りにも悲しいが。
それはそれとして他にも人員は要る、名前を掲げれば人員は埋められる。
最悪、有力なやつを裏業者に頼んで見繕えばいい…。
金さえ積めば、他のギルドから人員くらい絞れるのだ。
今の内からレンジャーを見繕ってもら…。
「…無い」
カテゴリーが、消えている。
裏業者のカテゴリーが…!。
「なぜだ、どこだ!?」
まさか。
まさかまさかまさかまさか…!?
騒ぎに乗じて、持っていかれた…?
「じゃあ、いや、まさか」
もしそれが、"漏れたら"。
奴らが、奴らが来てしまう。
「…備えないと、備えねば…殺される!」
咄嗟に電報を入れる。
本来なら無防備も良いところだが、仕方がない。
傭兵を搔き集めるしかない…。
「クソッ、クソッ…!無能に入れ込みおってからにいいいいい…!!!」
慟哭が響く、焦燥と怒りの中浮かぶ顔は…ダンテだった。
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