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第二話:『雨の日の別れ』

その日の天気は、晴れのち雨。

ずっと明るいと思っていた空は陰り、間も無く土砂降りになった。

…俺は何もなくなって、泥にまみれて濡れていた。


「…あいつら、マジか」


酷い話だった、家財だけじゃなく権利書の一切まで持っていかれて

フラフラと家に帰った頃には、そこにはもう俺のモノじゃなくなった場所しかない。


「もうおしまいだ、あのジジイからしたら本気で俺が死んでも良いって事なんだな…」


俺の元居たギルド【ナイツユナイト】は、この街じゃ有名どころだ

一切身元証明できない俺にはそこに居たことを証明する手立てはないし

抗議をしようが俺の肩を持つヤツなんていやしない。


「…死にたくねぇ」


寒さに耐えるために、体温を上げるよう[遺伝子(ゲノム)スキル]を適用して体を暖めるが

この方法は体力の消費が酷い、だがこの手段以外無いのだから仕方ない。


なんとかして街を出て、生きる手立てを探すんだ。

此処じゃ俺は生きる場所なんてない、浮浪者以下の肉袋になる

…なら、街の外の方がまだ"生きているんだ"。


「でも、俺に…やれるのか?」


街の外に広がる草原、そこは獣の領域であり俺のような"無才"の居場所はない。

だが、此処を越えなければ街を出る事すらままならないのだ。


俺は、泥だらけの身体で振り返り呟いた。


「さようなら、トンストン…いつか帰ってやる」


一言名残惜しく街の名前を呟いて、雨の草原に足を踏み入れたのだった。

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