第十八話:『岩の巨人と人の狩人』
ゴーレム。
石の塊、或いは泥人形が自立しているような生物。
生物かは疑いたくなるが生物。
昇格依頼として与えられたのはゴーレム討伐だ。
奮い立つ石柱、大凡弱点がなさそうなこの化け物だが。
実はその正体は真菌の類であり、磁力を操作する能力を扱い岩石を纏っている。
岩を纏っているのは防御と栄養補給の兼用であり。
吸いつくした岩が崩壊し粉塵に変わったものを纏っている故に。
真菌を覆い隠してその正体を隠している。
「硬いですね…!」
「ええ、全く大変だ!」
ゴーレムは一体でいいが、しかしその一体を倒すのはそれなりに厳しい。
その蓄積した粉塵によって刃を通しずらく、弱点の真菌には攻撃を通し難い。
「とは言え、削れてはいる…持久戦ですね」
「うれしくはないんですけど!」
岩石は削れていく、だがこちらの攻勢もそう永遠に行えるわけじゃない。
むしろ体力消費の激しいステラの分が悪い。
ダンテは持久力で言えば相当だが、1:1でゴーレムと戦うのは厳しい。
「どうにか一点削り、そこを切り抜く…それが勝機ですかね」
「ともすれば…どうにか俺が!」
鋼鉄に変えた枝手の鋭角で岩石を打ち砕く、どうにか真菌の肉体を狙うしかない。
ゴーレムの岩石はすべて使い捨てだ、削ってもダメージは0に等しい。
だが、勝機に繋がるなら意味が無いわけでは無い!
…しかし相手もまた無力ではない。
危機を感じる真菌が、磁力を強くする。
それで影響を受けるのは他でも無くダンテだ。
「…腕が!?」
スキルを解除して腕を磁力から解放する、しかしそれは矛を奪われる事。
鋼鉄でなくては岩石を削るのは相当に難しいのだ。
「よくやりますね、コイツ」
「どうするか…!」
岩石を挟んでは分析は出来ない、このままじゃ…。
思考を巡らせたその瞬間だった。
轟音、炸裂、貫通。
岩の塊が一瞬で爆散する。
一線の鋼の槍としか思えないような何かが、高速で突っ込み。
巨人の脇腹を砕いたのだ。
これは…。
「アメリアさん!?」
巨大な連発式ボウガンの弦を引くその姿は確かにアメリアだった。
「矛が足りてないようだな、ダンテ」
「…貴女は」
「どうも、世話をかけていたようだな」
もう一発、巨人の右肩をぶっ飛ばす。
恐ろしいまでの火力だが、本来連発式のボウガンではその火力は出ない。
精鋭の狩人たる彼女は、狙撃の腕故に魔物の弱点を正確に打ち込み破壊するのだ。
「さっさと仕留めろ、私が打ち倒したら意味がないだろ」
はっと向き直し、露出した真菌の肉体に硬質化した腕を突き刺す。
分析さえすれば磁力だって…!
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名:ゴーレム 学名:マグシャシュ
[解析項目]
肉体:〇
能力:〇
精神:×
???:×
⁝
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よし、本体だ…なら!
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《磁力操作》
・磁力を発生/増減させる
・??????????????????????
⁝
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「見つけた…!」
手を翳して、スキルを発動する。
魔力の総量ならこっちが勝っている、それは"出力"で勝てるって事だ!
瞬間ゴーレムを構成する岩がすべて離れて、粉塵がくずれていく。
磁力を乱されて、体を形成することが不可能になるのだ。
その瞬間を見逃さなかったのがステラだった。
彼女は、地を蹴り走り出し。
「見ずとも見える」
抜刀、もはや守りない体は真二つになる。
「ゴーレム、取った!」
飛び出したステラがそう宣言する。
昇格任務は此処で達成された…が。
「…えっと、どうもアメリアさん」
「ああ、どうも」
久々の出会いの方が、気がかり何度あった。
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