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第十六話:『進展複数』

「…おや」


朝で会ったステラは怪訝な顔をする。


「もしや、私のスキルを…?」

「あはは、わかりますかね…?」

「ええ、そりゃあ」


悪くは思われてないようだが…どうだったろうか。

自身のスキルを…というのは、実際どういう気分か。


「お気を悪くしたなら…」

「いえ、そういう事は無いのです…ただ…とっても不思議な気分です、私…」


神妙そうな顔をしてて…どうなのだろう?

多分、悪いわけでは無い…のだろうが。


「もしかして、とは思ってたのですが…どうです?この視点は」

「慣らしていくのはとても大変だなぁ、と」

「でしょう?4歳まで歩くのも困りましたよ」

「なので、片目だけ」

「まぁ」

驚いて、微笑む。


「賢いやり方ですね、片目だけなら確かに便利な範疇です」

「使いこなせるかはまだまだなんですがね」

「出来ないなんてことはないですよ」


…どうやら良かったらしい、うん。


「しかしまぁ、そうやって体を改変…というのは自身以外にもできます?」

「ふうむ…他者に試した経験はないですね…」

「じゃあその、もし可能だったら体験してみたいですね」

「スキルをです?」

「ええ、やはり普通の視界、憧れますから」


成程、それは…確かにそうだろう。

彼女は長らくこの視界だけで生きて来たのだ。

だとしても可能ならば普通に見通す事だってしたかっただろう。

なにより、ソレが出来れば彼女の実力の助けにもなる。


「試してみますね、これからになりますが」

「ええ、楽しみにしていますよ?」

「…じゃあ、今日はどうしましょうか?」

「では昨日と同じで、クエストやってきましょう」


まぁ、何はともあれ強くならないとだ。

そうじゃなきゃ、アイツらに何の報いも与えられないしな。


 ⁝


少し先、ダンテの奮闘の最中も何も変わりのないトンストン。

アルド・ミーシャは特段変わりない日々の中に居る。


「入ります」

「どうぞ」


ギルドマスターの部屋に入る一人の姿。

青い髪の靡かせて、ボウガンを背負う…


「アメリア、どうかしたかな」

「ああ、ダンテと勉強会の予定だったのですが…」

「…!」


アメリア・グリアース、【ナイトユナイト】のレンジャーだ。


「ダンテは…奴は退職したよ、少し前に」

「…?」

「まぁ、向いていなかったのはわかるだろ?」

「…ふむ」


ミーシャに軽く汗が伝う、ダンテを無能と決めていた彼にはその人間関係など把握していない。

アメリアはダンテの数少ない友人であり、彼女もまた彼を買って幾度か手ほどきをしていた。

少しでも知っていればわかるだろう、ダンテは何も言わず約束をぶっちはしない。


「まぁいいです」


こくりと頷き彼女は退出した、ミーシャも一息つく。

まぁ、すぐに忘れられていくだろうと高を括っていたが。


「…ダンテ、何があったんだ?」


彼女はレンジャー、その中でも精鋭に値する実力者。

家が無くなり、約束は無しで、痕跡も無い。

ならば異常があったのは確かだ、その要因は…。


「そういえば、カルロの奴が見慣れない鍵を持っていた…

…少々休暇を貰うか、奴に何かあっても嫌だしな」


ボウガンを背負い、部屋に書置きを残して彼女は出発する。


「まさかとは思うが、あのミーシャの様子だ…」


その目は、狩人らしく鋭いまま。

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