第4話 ダンジョン
それは、酒場で次の依頼の相談をしている時の話...
「ダンジョンですか?」
ロックの言葉に、俺はそう返した。
「ああ。聞いた事くらいはあるだろう?別名モンスターの巣。モンスターがうじゃうじゃいる洞窟なんだ。次はそこに行こうと思ってるんだ。」
ロックは淡々としゃべり続ける。
その内容に、俺はなんとも言えない感情に襲われた。
ダンジョンって、聞いた事あるけど、高ランクの冒険者が行く場所なんじゃ...
最低ランクの冒険者である俺がそんな所で生き残れるのか?
ロックの説明を聞いて、俺はついそう思ってしまった。
冒険者には7つのランクがある。
E、D、C、B、A、S、SS
Eランクが1番下で、SSが1番上。
もちろんランクが高ければ、実力が高いわけで...
ダンジョンに潜るのは、最低でもCランク冒険者であるというのが世の中の常識だ。
要は、俺がダンジョンに潜るのは相当な場違いなのである。
俺が行きたくないなぁ心の中で文句を言うと、表情に出ていたのか、
「そんな嫌な顔すんなよ。」
とロックに笑われた。
俺はため息をひとつ着いてから、
「あの俺、戦闘系のスキル何も持ってないんですけど、大丈夫なのでしょうか?」
と他のパーティーメンバーに聞く。
前提として、スキルは努力して手に入れるものだ。剣なら剣、槍なら槍。
もちろん人によって差はあるが、それなりの努力をすれば、戦闘系のスキルは得ることができ、またその上位スキルだって得ることだってできる。
剣術だけとっても、スキルは30個以上あるのだから、初歩的な物なら誰だってすぐに手に入れられるはずだ。
つまり何が言いたいかというと、普通、戦闘系のスキルを一切持っていないなんてことはありえない。
少なからず、誰しも、生活する内に嫌でも手に入るものなのである。
だから、戦闘系のスキルを一切持っていないなんて言葉を発すると...
「えぇぇ!?持っていないなんてこたぁねぇだろ」
「持ってないんじゃなくて、弱いだけなんじゃないの?」
「そんな事あるのか。びっくりィィィィィイイ!!」
当然こういった反応になる。
そしてこれが、俺が冒険者ギルドでゴミ扱いされる最大の理由である。
元々持っている謎のスキル『不明』の影響なのか、俺は生まれた時からスキルを覚えた事がない。
いくら練習してもスキルを獲得出来ないのだ。
努力しても無駄。
なら俺はどうしろって言うんだよ。
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