第21話 スキル『不明』!?
俺がドラゴンと我慢比べを始めて数時間、俺は『ブラックサンダー』を打ちまくったていた。
「ちくしょう...ちくしょう...」
だが、1つそこで思ったことがある。
こいつの体がんじょうすぎたろ...!
この数時間の間、俺は容赦なくひたすらに『ブラックサンダー』を撃ちまくった。
そこら辺の魔獣ならば、瞬殺出来てしまう魔法だ。ケンタロスでさえも、一撃ではないにせよ直ぐに決着は着いた。
なのに、このドラゴンは数時間この魔法を受け続けても死なない。
というか気絶すらしない。
「さすが最強の魔物。全然死なないな。」
俺は話しかける。
「ぐぅぅぅおおおおお。お願いします。やめてください。ご主人様ァあああ!」
気づけばドラゴンは敬語になっていて、まさかの俺をご主人呼ばわりするようになっていた。
それでいいのか? ドラゴン。プライドもくそもない。
しかし、さすがに3時間も経てば、俺も考えを改めるようになってきた。
このまま魔法を撃ち続けるのは、最善の策なのだろうか?
あとどれ位『ブラックサンダー』を撃ち続ければやつが倒れるのかもわからないし、いつ俺の魔力が尽きるのかもわからない。
なんならドラゴンは俺の事をご主人様と呼び始め、さっきはなんでも言うことを聞くとか言い出してたし。
ぶっちゃけ、あの時は冷静じゃなかったからドラゴンを殺す事に固執してたが、もうすっかり俺の頭も冷えた。
このまま『ブラックサンダー』を撃ち続ける意味もあまりないのかもしれない。
もし俺の魔力が尽きたら、反撃に会うのは確実だし、逆にデメリットの方が大きいのかもしれない。
そう思い始めてから30分後、俺は『ブラックサンダー』を撃つのを辞めた。
そして、またドラゴンに話しかける。
「俺も精神的に疲れたから攻撃は辞めてやる。だからお前も反撃するのはやめろ。1度停戦にしよう。」
「反撃なんて滅相な、どうか我の無礼をお許しください、ご主人様ぁぁ。」
いや、さすがに心が折れすぎだろ。
生物って死に追いやられるとこうなるのか?
俺はそう思いながら、頭をかく。
不意にドラゴンが言葉を発した。
「ところでご主人様、どうしてあなたはこんなところにいるのですか?」
はぁ?
さっきまで自分を殺そうとしていた相手に質問するとか、どこにそんな余裕があるのだろうか?
疑問に思いながらも俺は答えた。
「落とされたんだ、崖から。仲間だと思っていた奴らに。」
「やはり、そうでしたか...」
ドラゴンは何やら心当たりがあるかのように言葉を返した。
「やはりってどういう事だ?」
俺が気になって質問すると、ドラゴンは体を休めて答えた。
「ご主人様。恐らくあなたは、『不明』というスキルをお持ちなのではないでしょうか?」
「持ってるけど...?」
「やはり。スキル『不明』は人間には嫌われているので、よく暗殺されることがあるのです。特に宗教の問題で、協会の人間にはよく思われておりません。ご主人様、先に言っておきましょう。あなたは将来魔王になる素質を持ったお方です。」
ドラゴンは、俺の目を見て言った。
「え? 魔王?」
俺は思わず返す。
「ええ。伝承で聞いた事はあるでしょう。魔王とは最強の力を持つ生物の1人で、自身の目的のために手段を厭わず、我々魔物の頂点に立つべき存在です。」
「いやいやちょっと待って。なんで俺に魔王になる素質があるんだよ。俺人間だよ?」
「スキル『不明』とは、進化するスキルです。いずれ魔王、または勇者へと進化します。だから『不明』というスキルを持っているあなたは将来魔王となるお方。あなたには魔王になる素質があります。」
「え? 俺将来魔王になるの? いやでも説明を聞く限り勇者にもなれるのか?」
「いえ、もう勇者は無理だと思われます。先程ご主人様は魔王にしか手に入らないスキル『生存』を使っていましたから、多分もう半分魔王になりかけてます。」
「まじかよ。」
俺は肩を落として言った。
魔王って、悪の帝王とか呼ばれてるやつだろ?
さすがに俺でも、その常識はある。
なんで俺なんかが...
「てか、もしかして、途中からお前が俺の事ご主人様とか呼んでたのって…」
「我があなたに使えるべき存在だと悟ったからです。ご主人様。いえ魔王様。我の名はアクシンズロット。どうぞ先ほどまでの無礼をお許しください。そして、あわよくば、我を第1の下僕として従うことをお許しください。」
いやぁ、申し訳ない。ほんとうに申し訳ない。
ここ最近全然投稿できていませんでした。
とりあえず今回は今後あと1週間くらいは更新できないと伝えるために話を更新させて頂きました。
ブックマークに登録してくれた24名の皆さんにはほんとうに申し訳ない限りです。
今後もどんどん物語を展開していきたいと思っているので、連載打ち切りという訳ではありませんことをご承知願いたいです。




