18話 doragonic redo④
見ると、ドラゴンの皮膚にはかなり多くの切り傷のようなものが見られた。
俺の拘束を破る時にできたものだろう。
しかし、それだけだ。
受けたダメージはそれだけだった。
俺はさすがに驚愕していた。
しばらくドラゴンを眺める俺を見て、やつは言い出した。
「拘束系のスキル...しかも、無理矢理解こうとすると自信が傷を受ける仕組みになっているのか...なかなか厄介なスキルを持っているな。しかし、頑丈な皮膚で出来ている我には、少し動揺を与えることしかできなかったようだ。」
「くっ...」
俺はほぼ無傷で拘束を解いたドラゴンに恐怖と、ある感情を抱いた。
〜こりゃ無理だわ。〜
それは諦めの感情。
そもそもやつは、俺の最大火力であるブラックサンダーを受けて、かなり余裕で耐えているのだ。
今の俺に倒せるすべが無い。
「どうしろってんだよ。」
俺はつい呟いてしまう。
突然崖の底に落とされ、何日も辛い思いをして、途中でスキルを手に入れられたのは嬉しかったが、それでも苦労して。
挙句の果てに、勝ち目の無いドラゴン。
「はは、ははは、ハハハハハハハハハ。」
笑ってしまう。どんなけ堪えても、笑いが出てしまうよ。
ドラゴンは気味が悪そうに俺を見る。
まるでゴミを見る目だ。
それでも俺は笑い続ける。
ただひたすら笑い続ける。
数十秒間笑ったあと、俺は涙を流した。
「なんなんだよ。俺の人生。なんなんだよ。なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだよ!」
俺は地面に向かって必死に叫ぶ。
「俺が何をした? 俺がなんの罪を犯した? 一体俺が誰に迷惑をかけた? なんでスキルが手に入らないスキルを手に入れただけで俺は死ななくちゃいけないんだァ!」
俺はただ叫んだ。
たった1人で叫んだ。
なぜ、今になってこんな愚痴を口に出しているのは自分でもわからない。
もしかしたら、目の前にいるドラゴンに、自身の事を知ってもらいたかったのかもしれない。
ぶっちゃけ傍から見ればただの情緒不安定だ。
だが俺は叫ぶ。
自身の境遇を嘆く。
「遂に頭が狂ったか...」
ドラゴンはそんな俺をしばらく見つめてから言った。
そして...
「仕方ない痛みのないよう、一思いに殺してやる。」
そう呟き、口の中にドラゴンブレスを貯めた。
そして、撃った。
ドカアアアアン!!!!!!!
申し上げございません。リアルが忙しいので、明日から2日ほど、投稿を休ませていただきます。




