16話 doragonic redo②
「人間、敢えて言おう。我は今より貴様を殺す。何しでかすかも分からない得体の知れないものを放っておく訳には行かないからな。もし死にたくないのならば、必死に耐えるが良い。まぁ無駄な努力だろうがな。」
ドラゴンはそう言って、再び地面に潜る。
俺は、ただ突っ立って、ドラゴンが地面の中から攻撃してくるのを待った。
戦いは始まっていた。
人間の中でも、貧弱な俺vs魔物の中でも、最強と呼ばれている生物ドラゴン。
最強vs最弱。
なんて理不尽な。
この世界は、俺のことが嫌いなのか?
俺がしばらく当たりを警戒していると、突然横からドラゴンが顔を出した。
「そこかっ!」
俺は体をねじって間一髪避ける。そして、地面に倒れる。
やつは、再び地面に潜った。
「危ない...あと腕一つ分横だったら、俺今頃食われてた...」
自分で言っておきながら、かなり背中がゾッとした。
本当にギリギリだったのだ。
今までスキルを獲得できなかった俺は、勿論回避系のスキルを持っていない。
今のは恐らく生物の本能で避けられただけで、実際次の攻撃を避けられる自信はない。
「相手の存在感が大きいのは、不幸中の幸いか。おかげでギリギリ攻撃を避けられてる。」
しかし、やつと俺の力量差は天と地。
こんな状態がいつまでも続くはずがない。
何か打開策を考えないと。
そう考えていると、再びやつが顔を出した。
次は俺の真下だ。
「そう何度も避けられると思わない事だ。」
俺は必死にジャンプする。
火事場の馬鹿力と言うやつか?
その時のジャンプの高さは、スキルもないのにびっくりするほど高かった。
高さは、普通の人のジャンプの3倍。
さすがに俺もびっくりした。
おかげで、すぐにドラゴンの口の中に落ちるのは免れた。
しかし、その程度の力じゃあ、ドラゴンには通用しない。
やつの口の中には魔力が貯まり、何か魔法攻撃が放たれかけようとしていた。
「これは...!」
「ドラゴンブレス。これは、我らドラゴンが持つ、魔法スキルだ。これをくらった人間はまともに生きていられん。死ね!」
やつの口には、もの凄いエネルギーが溜まっていた。
見ただけで分かる莫大なエネルギー。
それが爆発すれば、きっとここら辺は吹き飛んで、地上に影響を及ぼすだろう事が予測できるくらい莫大なエネルギー。
俺は完全に勘づいた。
これ食らったら、本当に死ぬな。
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