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第15話 doragonic redo①

次の場面で、俺はそっとドラゴンに近付こうとする。


そして、その時に気づく、俺の足が、さっきの何倍も重くなっていることに。


俺は驚いて下を見る。


しかし、さっきと変わった様子はない。


今の俺の様子を見て、ドラゴンは横から口を出し始めた。


「ようやく気づいたのか? 足元の違和感に。」


やつは得意げに鼻を鳴らした。


俺は状況が理解できない。


先程から足が重くなっている理由はわかっている。


泥だ。


泥が、俺の足を引きづっているんだ。


だから、だいぶ動きずらい。


それは分かる。


しかし、時間が経つにつれて、俺の足の重さの割合が増えていっている理由が俺にはわからなかった。


だってさっきから変わったことは何もないのだ。


状況は先程からずっと同じなのだ。


なのに、足の重さだけは、どんどん重たくなっていく。


俺の握っている手からは、少しづつ汗が滲み出ていた。


「まさか、この泥って...」


俺が言いかけた時、ドラゴンは遮って答えを言った。


「この泥は我の持つスキル『液地』の効果のひとつ。『液地』は、岩を溶かし、液体に変え、その中を泳ぐことが出来るスキルだ。故に、時間が経つにつれて、また、貴様が我に近づくにつれて、岩はとけ、貴様はより動きにくくなる。」


「なんだよそのスキル!」


竜は、上から俺を楽しそうに見下す。


一方俺は、苦し紛れに竜を見上げる。


やつのスキル『液地』、ズルすぎるだろ。


要は、相手の動きを封じる上に、地面の中から不意打ちを与えられるスキル。


しかも、場所が洞窟なら、360°全て岩に囲まれているので、どこからでも不意打ちを打ち放題。


拘束と不意打ち。


これほど相性の良い攻撃を、ひとつのスキルでおこなえてしまうのは、さすがに強すぎる。


「なぜ手の内をばらしたんだ?」


俺はドラゴンに向かって話しかけた。


「逆になぜ、ばらしたら行けないのだ?」


やつはそう返して続けた。


「 我は強い。いやお前も、こんな深層にまでたどり着けるのだから、ある程度は強いのだろうが、我とは天と地の差がある。そもそもこんなスキルを使わなくとも、我はお前を容易く殺せる。だから、別に持っているスキルがばれようとも我には一切のデメリットがないのだ。」


俺は苦笑いした。おそらくやつは、俺を家に入ってきた害虫くらいにしか思っていないのだ。


もし、自分の家に虫が入り込んだら、人はどうするだろうか?


もちろん無視する人もいる。


しかし、鬱陶しいと思い、すぐ殺す人も多いはずだ。


それと同じだ。


やつにとっての俺は、人間にとっての虫でしかないのだ。


虫は鬱陶しい。だから殺す。


やつにとって俺は鬱陶しい害虫。だからやつは俺を殺す。


俺の背筋には寒気が走っていた。



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