第10話 仲間(?)に裏切られてダンジョンの危険地帯へと落とされた俺。手に入ったユニークスキル『魔法創造』で、魔物の国作ります。
「嘘だろ...? 魔物が死んでる。どうして?」
魔物の死体を目の前にして、おれは言う。
気づけば俺の右手からは黒い煙が発生していた。
ついでに、紫色の雷も。
なんだ?
何が起こった?
俺はぼーっと魔物の死体を見つけた。
「ブラック...サンダー...」
俺は不意にそう呟いた。特に深い意味はない。
ただ何となくそう呟いただけだ。
しかし俺がその呪文(?)を呟くと、俺の右手から、黒に近い紫色のイナズマが発射された。
「うぉおお!」
俺は頭が混乱する。
それと同時に、頭の中に謎の声が鳴り響いた。
『条件が達成したことにより、スキル『魔法創造』と
それに付属してスキル『魔法』を入手しました。また、スキル『魔法創造』により、魔法『ブラックサンダー』を作成しました。魔法『ブラックサンダー』はスキル『魔法』と統合されました。』
「なんだ...この頭に鳴り響くような声...これがいわゆる精霊の声ってやつか?」
俺は独り言を言いながら頭の中で記憶を探る。
そういえば昔、母さんから聞いたことがあった。
スキルを獲得する時、自然と頭の中に精霊の声が聞こえてくる事を。精霊の声が聞こえた直後、スキルボードを開くと、不思議なことにスキルが習得できている事を。
俺は生まれてからスキルを手にしたことが1度もないので、今まで知らなかったが、きっとこれが精霊の声なのだろう。
なんとも感情の籠っていない声だ。
俺はそっと自分の右手を見る。
そして、拳を握りしめる。
行けるかもしれない。
もしかしたらこの洞窟から出られるかもしれない。
俺のスキルボードに突然表示された2つのスキル『魔法創造』と『魔法』。
恐らくはスキル『不明』の影響で、こんなよく分からない事態が起きているのだろうが、今はそんなことどうだっていい。
生きよう、必死に。
生きよう、全力で
「そうさ...。何でこんなことにも気付かないのだろうか? 本当に母さんに感謝しているのなら、俺は生きなくちゃ行けないんだ。本当に母さんに感謝しているのなら、俺は死んでは行けないんだ。」
俺は目の前にある魔物の死体を、持っていたナイフで切りつける。
質の良いナイフではないので、歯の通りが悪いが、俺は必死にナイフで魔物の肉を切り取った。
そして食った。
魔物の血もしっかりと飲んだ。
さすがに不味かったが、何も食わないよりはマシだ。
そして俺は自分に言い聞かせるように叫ぶ。
「1番の親孝行は、生き続けることだ。俺は生きて生きて、次こそはちゃんとした冒険者になるッ!」
これが俺の決意。
これが俺の目的。
こうして、俺の深層探索が始まった。
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