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第1話 貧乏なテイマーはゾンビ化する。

ゾンビ物です。

こんなんで良いなら感想をお聞かせ下さい。

 僕の名前はカジ・キマグロ、職業はテイマーだ。

他のテイマーと違い俺だけ一向に魔物を手懐ける事が出来ず、周囲の冒険者からは魔物一匹仲間に出来ない落ちこぼれのレッテルを貼られパーティー加入の貼り紙を出してる冒険者の元へ行っても役立たずにしかならないだろうから加入はさせられないと言われる始末。


「はぁ、何で僕は比較的安全な魔物すらテイム出来ないんだろ。」


 周囲を見渡すと僕以外のテイマーは、基本的にテイムしやすいスライムやウルフ、特にテイムが難しいドラゴンなんて連れている人もいた。


 一応、僕も冒険者ではあるけど底辺のFランクで簡単な依頼しか受注する事が出来ず今日もギリギリの生活の為、幾つか依頼を受ける事にした。


「はい、薬草摘みに鉱石の採掘、街のゴミ拾いですね? 毎日こんなに依頼受けて大丈夫? あんまり食べてないみたいだし無理しないでね?」


「大丈夫です、これくらい依頼受けないと生活出来ませんから。」


 僕は受付嬢のリナさんに依頼書を持って行き受注する、何時も思うけど僕と話す時だけ何でか少し顔が赤くなっているのは何故だろう。


 早速、近くの森に有る薬草をある程度摘み、洞窟へ入ってツルハシを振って鉱石を集め、街に戻りゴミ拾いを済ませると冒険者ギルドへ報告しに行く。


「リナさん、これで依頼全部終わりました。」


「うん、確かに! ごめんね、Fランクの依頼で渡せる報酬はこれっぽっちなの。」


「仕方ありませんよ、僕も報酬が少ない事は承知の上です。」


 報酬の銅貨9枚を手渡され、僕は何時もの様にパン屋に向かい使われないパンの耳を無料で提供してもらった。


「また来たわね、アンタいい加減にしなさいよ? 家で働いても良いってパパが言ってるのに何で断るのよ! 冒険者なんて辞めて家で働けば毎日会えるのに。」


「コラ、メイ! カジ君に迷惑かけないの! はい、何時ものね。」


「有難う御座います。」


 この子はパン屋の娘で名前はメイ、何時もツンケンしてて僕に冒険者を辞めろって言うけど小さい頃からの夢だから辞めたくないんだよね。


 パンの耳を貰うと僕はボロボロの小屋に入り、ゆっくりと味わいながらパンの耳を食べる、これが僕の私生活だ。


「うん、美味しい……。」


 日も暮れ暗くなって来た頃、街中に鐘の音が響き渡る。

何処かで火災でも起きてるのかと思い別段、気にせずに眠りにつき次の朝にはヤケに首筋が痛かった。


「うっ! なんだ、妙に首が痛い……寝違えたかな?」


 何だか朝早くから騒がしい、何があったのか道行く人に事情を聞こうと声をかけると青ざめた顔で助けを呼ばれてしまう。


「あの、すみません何かあったんですか?」


「ん、実はな……ひっ! 誰かああああ!! ここにもゾンビが居たぞおおおお!!」


「ゾンビ? 何言ってんだ、僕は人間だぞ?」


 その叫び声を聞きつけて国の兵士が二人程、僕に剣を構え明らかに戦闘態勢を取っており僕は逃げ出すが追いかけて確実に仕留めようとしているのが分かる。


「コイツか! 可哀想だが国の安全の為だ斬り捨てる!」


「う、うわああああ!!」


「逃げたぞ、追え!」


 僕は必死に逃げた、後ろから兵士が殺意剥き出しにしながら追いかけて来るのが分かる、だが何故だろう疲れを感じない汗を掻く感覚がしない街中をよく見てみると全身が紫色になっている人達が剣で斬られたかの様な後が有り、あちこちに転がっている。


「はぁ…はぁ…、どうにか撒けたかな?」


 兵士から逃げきった僕は近くの建物の窓に反射する自分の姿を見て驚愕する。


「何だよ……これ……。」


 そこに映っていたのは全身が紫色に変色し首筋には何者かに噛まれた様な歯型がくっきりと残っていた。


「まさか、僕はゾンビになったのか?」


「見つけたぞ! 観念するんだな!」


 放心状態の僕に後ろから兵士が斬りかかるが首筋に当たると剣の方が折れてしまい兵士はさっきまでの威勢は何処へいってしまったのか腰を抜かしヘタれる。


「ひっ、ひぃ……ば、化け物だ! 助けてくれてええええ!!」


「ま、待って! 僕は別に誰かを襲うなんて考えてないよ!」


「へ……? 言葉が通じるのか?」


「うん、そうみたい。」


 自分でもよく分からないけど、ゾンビてなった事で死の概念から解放され、肉体も有り得ないくらい強化されていた。


 どうやら、兵士曰く僕以外のゾンビは簡単に斬り捨てる事ができ調子に乗っていた事を包み隠さず話してくれた。


「ところで、何があったんですか? 至る所に死体が転がっている様に見えますが。」


「実は昨日、街中にゾンビの群れが襲撃してきてな。 あまりの多さに我々と冒険者達で対向してはいたのだが死人を出してしまい、この有様だ。」


「なるほど、でも何で僕だけ無事だったのか分からないですね。 意識だってあるし。」


 兵士から昨日あった事を聞いた僕は、この身体を受け入れ何時も通り平和な日々を送る事を決意する。


「そういえば、リナさんやメイはどうなったんだろ? 無事なら良いけど……。」


 まずはパン屋のメイの家に行くとメイのパパが頭を抱えて蹲って壁の端っこによりかかっていた。


「おじさん、大丈夫ですか?」


「…………。」


 おじさんは、何も応えないのでパン屋の中を探すとベッドに紫色の身体になっているメイが縛り上げられガタガタと拘束を解こうと動いていた。


「メイ……。」


 僕は何の気無しにメイに近付いてキスをするとメイの身体は紫色から元の肌色へと戻っていく。


「えっ、あれ? あたし何を? それに何で縛られてるの?」


「良かったメイ! 元に戻って!」


 僕はメイの拘束を解いて、パパさんの所へ連れて行くとメイとパパさんは涙を流しながら僕に感謝してきた。


「有難うカジ君、君にこんな力が有ったなんてどう御礼をすれば良いか。」


「そんな御礼なんて、当然の事をしたまでです。」


「アタシ、カジの為なら何でもするわ!」


「え? 今何でもするって?」


「ええ、カジ君が望むならね?」


 僕は自分の能力で人助けが出来るならと思い、ゾンビになった人々を救う為、メイとキスの特訓を一日中練習するのだった。

読んでくださり有難う御座います。

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