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異世界転移系少女は友達が欲しい  作者: 夢河花奏
第五章、平穏が一番

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84/93

84、彼女の秘密

※テオドール視点

 お昼は生徒会のメンバーと一緒にご飯を食べることになっていたので授業終了後、皆で食堂へと向かった。話を他の生徒に聞かれないようにするため、食堂の端の方にある席を確保して他のメンバーが合流するのを待つ。俺たちの次にエリーちゃんが到着し、残すは三年組を待つだけになった。


 しばらくすると俺の姿をしたアイリスちゃんを連れてオーウェン達三年組が食堂へと入ってきた。客観的に俺を見るのは初めてだが、改めて見ても俺ってやっぱりかっこいい。隣のオーウェンやヘンリーに引けを取らないくらいの存在感を感じて少し鼻が高くなった。


 そんな俺の姿をよくよく見ると、髪型がいつもと違うことに気づく。あれってもしかしなくてもアイリスちゃんがやったのか…?何それめっちゃいいじゃんっ!あとであのヘアアレンジのやり方教えてもらおーっと。


 俺たちの座る席をようやく見つけたのかこちらに向かってくる三人。その通り道を開けるようにサーッといなくなる生徒たちはいつ見ても面白くて笑えてくる。


「ここにいたのか」


「全員揃ってる?」


 こうして全員が席に着くと早速食事を取りながらもお互いの様子を報告し合った。あっちはあっちで上手くやっているようで安心したが、授業中に俺の体で居眠りするアイリスちゃんを想像するとその現場を見られないことだけが少し惜しい。


「ところで…一年生たちはやけに疲れた顔してる気がするのは僕だけ?どうせテオ先輩、他にも色々やらかしてるんでしょ?」


 エリーちゃんは俺との付き合いも長くなってきたためか、俺の性格をよく知っている。もちろんその通りなのだが、ルーク君たちがそれをみんなに報告できるはずない。(アイリスちゃん)に迫られてドキドキしてました、だなんて。本人も目の前にいることだし余計に言えないもんね。


「べっつにー?何もしてないけど」


 すっとぼける俺に何を言っても無駄だと判断したらしいエリーちゃんは一年ズに同情するように憐みの目を向けた。


「…なんというか、頑張ってね」


 じゃあ僕はこれで、とエリーちゃんが席を立ったのを合図にしてそれぞれの教室へと戻ることに。それからも俺はさっきみたいにちょっかいをかけて目いっぱい反応を楽しんだ。

今日一日を通して分かったことの一つ目はアイリスちゃんは俺とは違って友達が多くないということ。クラスメイト達は俺に話しかけられて最初のうちはびっくりしていたけど、話してみれば全然普通だったしアイリスちゃんも声をかけてみればいいのに。


 二つ目は何気に男子からモテているということ。これは本人は気づいていないのかもしれない。彼女は家柄も悪くないし容姿も少し変わってはいるが整っている。おまけに男子(女子もだけど)とあまり関わらないミステリアスな部分が、異性の気を惹くのだろう。表立ってアプローチしてくる奴はほとんどいないけど、お近づきになりたいと思う異性は少なくないはず。


 三つ目、これはあくまで予想出しかないのだが…。彼女はどこか人にあまり執着しないようにしているみたいだ。親しい人が多くない、ということもあるけれど、それだけではない。彼女と一番仲が良いはずのソフィアちゃんにさえ、自分で決めたボーダーラインを守っている。俺は人との距離感が近い方だから、オーウェン達にするみたいに肩を小突いたり手を取って喜びを伝えたりと体の動きで気持ちを表すと、ソフィアちゃんは嬉しさと寂しさが混ざったような顔をした。俺とアイリスちゃんを比べているような、そんな感じ。きっと親友であるソフィアちゃんには、アイリスちゃんが本当の意味で気を許していないことが分かってしまったのだろう。彼女は何か隠している気がする。


 ま、それに関していえば俺も人のことは言えないか…。人に上手く取り入って自分の感情をごまかすのは俺の専売特許だからなぁ。


 彼女への興味が深まる一方で時は流れ放課後になる。俺たちは昨日同様に生徒会室に集まり、各々の過ごし方でくつろぐ。みんな気を張っていて疲れているのか、いつもはわいわいとしている生徒会室も今日は少しだけ静かだ。


 そんな中、生徒会室を訪ねて来たのはワイアット先生だ。先生なりに色々調べてくれたらしいけれど結局元に戻る方法は分からずじまい。俺は別に構わないけどアイリスちゃんの方は限界みたいで先生の話を聞きながら顔を青ざめさせていた。可哀想に思ったその時だ。急に俺たち二人の体から強い光が放たれたかと思った瞬間、見ていた世界が少し高くなった。これってつまり…!!どうやら元に戻れたみたいだ。


  喜ばしい反面、もう少し遊びたい気持ちもあったが元に戻れないよりはずっといいだろう、お互いに。


 この事件をきっかけに、アイリスちゃんとは前よりも少し仲良くなれた。思えばこの日を境に俺の気持ちの天秤が傾き始めていたのかもしれないが、それはまだこの先の話。

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