表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移系少女は友達が欲しい  作者: 夢河花奏
間章、深まる絆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/62

54、楽しいお茶会

「今日は皆集まってくれて感謝する。今回のお茶会は、体育祭の打ち上げ兼アイリス、ソフィアの生徒会入りを祝しての歓迎会でもある。そういう訳だから目一杯楽しんでくれると嬉しい。アイリス、ソフィア、こちらへ来い」


 会長にそう言われ、二人で顔を見合わせながら進み出ると、生徒会の印でもある腕章を手渡される。つまり今回の働きを見て、認めてくれたってことだよね!!


「ありがとうございます。これからも精一杯努めさせていただきます」


「ありがとうございます!少しでも役立てるよう頑張ります!」


 そう口々にお礼を言うと先輩たちがおめでとうと祝福の言葉をかけてくれた。そっか、ようやく生徒会のメンバーになれたんだな。喜びに感動していると、どこからか良い香りがしてきて急にお腹が空いてきた。そういえばちょうどお昼時だしお腹が空く頃合いだ。甘い香りと共に入室してきたのはルーク様とディラン・キャンベルだ。ディランが銀色のワゴンを押しながら皆へ着席を促す。


「皆様、お待たせ致しました。準備が整いましたので私が給仕させていただきます。どうぞ着席なさってください」


 その言葉に従うように皆一斉に席についた。なんだか意外だ。貴族の坊ちゃんは給仕なんてしないと思ってたから自らの手でお茶を淹れている姿に驚きを隠せない。加えて決して付け焼き刃などではない、手慣れた様子を凝視していると顔を顰められた。


「…何か?」


「…いえ、なんでもありませんわ」


 私の中でディランの印象は正直あまり良くない。ルーク様に忠実な番犬が故に、向こうもこちらのことをよく思っていないだろう。あの目はぜったい、主に群がるハエみたい思っているに違いない。


「よーしっ!じゃあこれで晴れて正式な仲間になったことだし、ちゃんと俺たちのことをファーストネームで呼んでね!生徒会のメンバーはお互いのことをファーストネームで呼び合う決まりなんだ!」


「「………。」」


 なんだその意味の分からない決まりは。またこの人が勝手に言ってるだけじゃないのか?


「…正しくはファーストネームで呼ぶ権利があるというだけだ。他の生徒と区別出来るようにな。だからもし嫌じゃなければこれからはそう呼ぶといい」


「会長がそう言うなら」

「分かりました」


 なんだ、オーネット先輩の嘘じゃなかったのか。確かに先程会長はこの腕章を渡す時に私たちのことをファーストネームで呼んでいたな。てっきり聞き間違いかと思っていたがそういうことなのね。


「えぇ!?俺の時は無反応だったのにオーウェンが言った時だけ反応するなんでおかしいよっ!?」

 

「テオ先輩、うるさいっ!」


 一人優雅にお茶を楽しんでいたホーシン先輩もといエリック先輩が横から声を上げる。


「まあまあ落ち着いて。それにしても彼女たちが入ってくれたことで賑やかになってよかったね。みんな楽しそうで何よりだよ」


 と、ヘンリー先輩が宥めた。彼の纏う雰囲気は常にふわふわしていて、なんだか見てるだけで癒される気がする。男性にこんなことを言うのは失礼かもしれないがガタイがいい割に可愛くて男性っぽくない。その証拠にソフィアまでもが先輩と話す時は顔が強張っていないのだ。


「そういえばカイルって先輩方と知り合いなの?」


 話題を変えるようにこそっと尋ねると、


「そうだな、家同士の繋がりである程度関わりはあるよ。それを言うとアイリスの家がおかしいんだ。学園に入る前までは何してたんだ?」


 そんな私たちの会話が聞こえたのか、隣の席のソフィアが食いついて来た。


「あっ、それ私も聞きたいと思ってたんだ!学園に入る前までアルベルン伯爵家の娘なんて全然知らなかったし、良ければ教えてくれない?」


「そんなに面白い話はないと思うけど、至って普通の家庭だよ」


「そんなことないって!アルベルン伯爵家は何かと謎が多いんよね。俺も聞きたいなー?」


 先輩方からも興味深々な目線を向けられて、私は仕方なく今までの経緯を話した。この容姿のために両親がなるべくアルベルン家の人間以外と関わらないように配慮してくれていたこと、アルベルン家に拾われる前の記憶がないこと、私の契約精霊のことなどetc…。


「アイリス…。だいぶ苦労して来たんだね。私も少しその気持ちわかるよ」


「なるほどねぇ…。アイリスちゃんを社交場で見ない理由がようやく分かったよ!伯爵が色々手を回してたってことか」


「それにしても記憶がないというのは不便だろう?少し嫌なことを話させてしまったか?」


「お気遣いありがとうございます。ですが覚えていないことは気にしていません。それに私は伯爵に拾われて幸運でした。

 次はは皆さんの話を聞かせて欲しいです。私、意外と知らないことが多いみたいですので」


 こうして私の言葉をきっかけにここにいる皆が一人ずつ家庭事情を聞かせてくれた。


 まずは会長、ルーク様。この二人については私もよく知っている。センシア王国の第一王子と第二王子だ。

 カイルはフレディクト侯爵家の一人息子でお父上は元聖騎士団長。ディランはキャンベル公爵家の末っ子で、お父上はなんとこの国の宰相様だ。また、カイルとディラン、ルーク様は幼馴染である。


 次はテオドール先輩。彼はオーネット公爵家の長男で下に妹さんがいるみたい。ヘンリー先輩はローレンス伯爵家の次男で、エリック先輩はホーシン子爵家の長男であるが、二人のお姉さんがいる。ソフィアの家庭は元商人からの成り上がりで現在は準男爵家の一人娘。


 …情報量が多過ぎる。というかみんな癖が強すぎるよ。私が入学前に必死で暗記した覚えておくといい貴族の名前一覧に家名が全員載ってるだろ、これ。いちいち"メモリアル・ブック"を開くのが面倒だからしないけどね。


「気が早いかもだけどそろそろ中間試験があるよね〜。俺テストとかってきらーい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ