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異世界転移系少女は友達が欲しい  作者: 夢河花奏
第三章、生徒会のお仕事

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32、この出会いは偶然?それとも

「なぜって言われても…僕は生徒会のメンバーだからね。ここにいることになんら不思議はないよ」


 私とルーク様が会話をし始めたことに不満を抱いたのか、先程の天使が会話に加わった。


「ちょっとちょっと、何僕をおいて話を進めちゃってるのさ!!っていうか、この子たち誰なの!?ルークの知り合いなわけ?」 


「そうですね、僕のクラスメイトたちです。こちらはアイリス・アルベルン嬢と、ソフィア・ミッチェル嬢ですよ」


「申し遅れました。私アイリス・アルベルンと申します。先程はとんだ失礼を。許していただけますか?」


「あっ、えっと…ソフィア・ミッチェルと申します。よろしくお願いいたします…」


 ルークに促されるままに挨拶を済ました。隣のソフィアは先程まで私と口論していた時の勢いはどこへやら、借りてきた猫のように大人しくなってしまった。


「ほんとドアの前に突っ立ってるなんて馬鹿じゃないの?怪我したらどうするのさ!…というか大丈夫だよね!?女の子に怪我させるとかありえないし。僕はエリック・ホーシン2年。生徒会の会計をやってる。よろしく」


「さあ、皆の挨拶が済んだことですし、アイリスさんたちの要件を聞きましょう。君たちは何か用があってきたんだよね?」


 そうだった、そうだった。本題を忘れるところだった。


「少しお尋ねしたいのですが、こちらに生徒会長はいらっしゃいますか?生徒会勧誘のお手紙を頂いたのですけど…」


「あぁ!!!もしかして会長が言ってた期待の新人って君のことか!なるほどね。残念だけど会長は他の仕事があっていないんだ。まぁ、せっかく来たんだし少しゆっくりしていけば?」


「まさか、兄さんが直々にスカウトした子がアイリスさんだったなんて。知らなかったなぁ。ということは今後もっと長い付き合いになりそうだね。これからが楽しみだよ」


 そんな会話を聞きながら今まで一言も発っさなかったソフィアがついに口を開いた。


「あの、すみません…私は付き添いで来ただけなので、この辺りで失礼しま、」


「それなんだけど、良ければ君も生徒会を見学していってよ。現在生徒会は人員不足でね、人が増える分には困らないし」


 そう言ってルークがソファを私たちに勧めてきた。なんだかよく分からないけど、ソフィアも一緒に生徒会へ入らせようと企んでいた私には渡りに船、ということで生徒会の仕事を見学する流れになった。


 とは言っても生徒会室に人が少ない。キョロキョロ見渡していたのがバレたのか、天使先輩もといホーシン先輩が説明してくれた。


「本来ならもっとメンバーがいるんだけどね。次の学園行事で準備することが沢山あるから、先輩たちは出かけてしまってるんだ。だから残った僕たちでこういった書類仕事をしてるわけ。あーあ、僕も書類仕事じゃなくて、そっち側が良かったなぁ」


 机に山ほど積まれた紙の束をヒラヒラと振りながら軽い調子で答えるホーシン先輩。

 先程ルーク様が人員不足と言っていたけど、確かにこの量の書類仕事が溜まっているのなら本当に人手が足りないのだろう。この光景を見て不思議に思ったのか、ソフィアがおずおずといった感じで二人に尋ねた。


「…あの、そもそもなんで生徒会は人員不足なのですか?生徒会のスカウトを断るような生徒なんて、あまりいないのでは?」


 その言葉を聞いた途端、ルーク様と先輩が目を合わせ、一人は苦笑いを浮かべ、一人は可愛らしい顔を顰め、同時に重く深いため息をついた。


「それは痛いところをつかれたな。実はね、何度か生徒をスカウトしてはいるんだけど、」

「会長がことごとく却下するから集まらないわけ!!!もう、なんなのあの人!!!!」


 なんでも生徒会のメンバーに加える最終決定をするのが生徒会長で、その生徒会長のお眼鏡にかなう人材がなかなかいなのだとか。そのため今の生徒会は少数精鋭方式で踏ん張っているらしい。なんとも可哀想に。


「僕はもともと生徒会に入るつもりはなかったんだけど、先輩方から泣きつかれてしまってね。仕方なく付き合ってあげているんだよ」


「だから、君がきてくれて本当に助かった!!アイリス、っていったっけ。会長直々にスカウトするってことは相当優秀なんでしょ!」


「えっと、それはどうなんでしょう?」


 先輩からの強い圧に押されながらも、そんなに期待値を上げられては困ると思い、肯定はしなかった。それだと言うのに、


「ええ!もちろんです!アイリスは他と比べて実力が飛び抜けているんです!!!入学テストでも一位でしたし!!」


 と、興奮した様子でソフィアが喋り出した。おのれ〜!!さっきまでは大人しくしていたくせに!!!余計なことを!!!


「そうだね、彼女の実力は僕も保証しますよ。特に実技テストの時は驚かされてばかりでした」


 なんてルーク様が援護射撃をするもんだから、先輩の顔がどんどん明るくなっていった。


「へぇ、ルークが言うんならそうなんだろうね。なら今日からでも生徒会に入って僕らの負担を少しでも減らしてくれるとありがたいんだけど。そもそもここに来たんだから、生徒会に入るつもりではいたんだよね??」


 凄みのある笑顔で念押しされ、断るにも断れない空気が流れた。…まあ、そもそも入る予定ではあったしいいんだけど、先輩の目がもう逃がさないとでもいいたげな、獲物を見つけたライオンのように光った。


「もちろん入るつもりではいましたけど、この子も生徒会に入れていいですか?」


「アイリスは会長からスカウトされてるからいいけど、君はどうかな。そもそも実力がないんじゃ生徒会に向いてないし」


 先程までギラついていた目が興味を失ったかのように急に冷めた。まあ、そう言われても仕方がない。先輩にとって私たちは初対面であり、スカウトされた私とは違って、ソフィアに至っては実力も分からない唯の一般生徒に過ぎないからだ。


「まあまあ先輩、そう言わずに。生徒会が人員不足なのは先輩も身をもってわかっているでしょう?

 こういうのはどうでしょうか?次の学園行事の運営を彼女にも手伝ってもらい実力を確かめる、というのは。兄には僕から伝えておきますから」


「…そういうことなら、まぁいいか。じゃあとりあえず今日から君たちは生徒会見習いとして動いてもらうよ。まずは、この書類の処理の仕方を覚えてもらう」


 そういう訳で初日だというのに時間いっぱい書類仕事を叩き込まれて今日という一日はあっという間に過ぎていった。




 なんか、思った以上にハードかも。私これからやっていけるのかしら…トホホ……。

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