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吸血鬼な幼女様と下僕な俺  作者: K・t
第四部 童話調:はじまりのおはなし編
56/60

第八話 ……ない!

第七話の続きです。

「つまんない!」


 イリスは叫びました。


「フォルトがいないのなんてヤダーッ! うわぁあぁぁん」


 ルフィニアにしがみつき、大泣きに泣いています。

 ついにはルーシュに「お兄ちゃんのばかぁっ」とまで言ってしまいました。


「なんだと? 俺にも考えがあってだな……」


 でも、兄は妹に弱いものです。

 びえぇぇぇん! と激しく泣く様子を見せられては、仕方ない、戻してやるかという気持ちになってきました。

 しかし、くるりと振り返ると、そこにもうイリスの姿はありません。


「お、おいっ、待てイリス!」



 イリスはフォルトの元へ走りました。はぁはぁと息があがります。


「全く、なんで庭の手入れまでやらなきゃいけないんだ?」

「フォルトっ!」


 見つけました。

 ぶつぶつと文句を言いながら掃除をしているのは、フォルトに間違いありません。

 ただし、そこにいたのはイリスがよく知るフォルトではありませんでした。


「あの、イリス様? どうしてここに……?」

「っ!!」


 イリスは衝撃で声が出ません。それでも、なんとか振り絞ります。


「しゃがんで! はやくぅ!」

「は、はい?」


 フォルトが命令されるままにしゃがむと、イリスはフォルトの背中を見て言いました。


「あぁぁぁああぁ、かみが、髪がないよ~っ!!」

「ハゲみたいに言わないでくださいよ」


 そうです。

 あの長かった金の髪が、首の辺りで短くスッパリと切り落とされていたのです。


「ふーん、切ったのか」

「わっ、ルーシュ!? ええい、近寄るなっ」


 イリスを追って、ルーシュもやってきました。

 けけけ、と笑い、こう付け加えます。


「お前、出戻り決定な」

「はぁ? 出戻りぃ?」


 すぐそばでは、イリスがまだ「髪がないぃ!」と大声で叫んでいます。

 ルーシュが真剣な顔で言いました。


「安心しろ。髪のことならこっちで何とかするから」

「そんなことは聞いて無いっ!」

第九話に続きます。次で一区切りの予定です。

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