66
黎明歴425年9月30日11時30分。
決勝の舞台、ギルド所有の無人惑星。その面積のほぼ全てが陸地で構成される大規模な乾いた荒野が広がる枯れた星である。
紫外線量や大気成分など、人類が生存する為の最低限度の環境は嘗ての入植時代のテラフォーミングによって調整されているが、生息する動植物の多くは乾燥を防ぐため日中は地下に潜っているため、生命の息吹がまるでない地表はとても寒々しかった。
無人惑星エリアA中央部。
荒野の広がる惑星内でも、エリアAは山脈や峡谷の少ない一面平坦な大地が広がる区画であった。
各自の端末のAR機能によって空中線で区切られた指定エリア内に《ウェットファイターズ》のメンバーは集合していた。
「武器や防具は、持っているだけでは駄目だからな。ちゃんと『装備』するんだぞ」
「はいはーい、アカギさんどう?ボクの戦装束、キマってる?」
傭兵団《ヴィンセントヴァルキリーズ》第三席にして流派:ムラクモの武芸者、現在はW.F.に出向中のアマギ・ハクアは、溌剌と声を上げ挙手した。
三回戦にて大きく破損し、特殊繊維やアカギ提供の新素材によって修復され、熾烈な特訓を生き抜き成長したハクアの要望に合わせて再調整された万能メイド服。
身体にフィットする紺色のボディースーツを基本に各種、武装懸架ラックを兼ねた装甲エプロンドレス、通信機器としても機能するホワイトブリム等々。腰の革剣帯には、主力武装である三昧至宝の《沙羅双樹》が佩かれていた。
何れもハクアの速度主体の戦闘スタイルを考慮し、防御よりも取り回しと軽さに重点を置いた装いである。
「無駄な装飾を排し必要不可欠な機能のシンプルな取り纏め、武器・防具共に使い易いよう装着位置も完璧に微調整されている。使い勝手を第一に考えた実戦的な装備だ」
「でしょでしょ?この戦装束、みっちゃんが選んでくれたんだ!」
短く切られたスカートの裾を持ってヒラリと嬉しそうに回って見せるハクアに、大きなトランクケースのような物に腰かけ端末を操作していたエマがぼそりと呟いた。
「スク水メイド服………?」
「エマさん、『スクミズ』って何?」
聞きなれぬ単語に、疑問符をハクアは浮かべた。
「いえ、私も詳しくは。昔見た、兄所有の旧時代の資料映像に今のハクアちゃんと似た装備がそう呼ばれていたような……確か、局地戦用装備だとかなんとか」
額に指をあて記憶を探るエマに、得られた情報からアカギは所感を述べた。
「生物の収斂進化の様なものか。今も昔も、似た様な環境・条件下では結局似た形状に道具は進化していく。おそらくは、過去にハクアと似た戦闘スタイルの使い手が、その『スクミズ』とやらを纏っていたのだろう」
「へぇ、ボクと同じ武芸者かな?同門の先達の方だったら、少し面映ゆいな」
胸元に手をあて、過去の時代に思いを馳せるハクア。
時代の変革、高火力かつ扱いの容易なブラスターの台頭や誰にでも強靭な身体を手にする事が出来る義体化技術の確立によって、武芸者は年々駆逐され続けている。それでも今現在に至るまで脈々と受け継がれてきた血脈が、白髪氷瞳の少女の心身には流れていた。
そして、その熱き血潮を宿し決勝の舞台に立つ武芸者は一人ではない。
「うっし、これで完璧」
闘技場所属Eランク闘士にして、流派:コンゴウを継承する若き大器、ケビン・リー。
少年もまた、二回戦でアカギから貸与された《ようがんグモのぶどうぎ》に加え、決勝用に新しく装備を追加した。
道着の上から纏う、一切の照り光沢の無い黒の羽織。袖あたりに白の差し色が入るのみでそれ以外は刺繍も飾りもまるで無い、黒地の衣。
腰には回復用のポーション等のアイテムを修めた携行ホルダー。
剛毛故、何も手を加えなければ勝手に逆立つ頭髪を後頭部で白磁の髪留めによって纏めた、ハクアと同じく速度を重視した装い。
現代を生きる武芸者にとって、仮想敵には越境者よりも数が多い光学兵器を装備した義体化人を対象とする。頑強性・射程距離で優る相手に対し、俊敏性と切り返しで攪乱し一気に懐に飛び込んで有効打を狙うのが定石。
決勝に参戦する二人の武芸者の装備の方向性が似通るのは、ある種当然の帰結であった。
「そう言えば、ケビン君知ってる?今、ネットで君、最終闘士とか呼ばれてるの?」
「なんだそのダサい名前は……」
ケビンの横に並んだハクアが端末で展開したのは、幾つかのネットニュースのサイトや大手のSNSであった。そこにはいずれも大会前は誰も注目していなかったEランク闘士の顔と名前が大きく踊っていた。
「ほら見てよ『新しい時代の風雲児!』、『全ては最終闘士に託された!』だって。まあ、ケビン君今、大会で唯一生き残ってる闘士だし、外様の傭兵に大会を荒らされるのを嫌ってる古参ファンとか企業に推されてるって感じかな~」
「けっ、知った事かよ」
前大会、傭兵のラファエル・レーヴィトが優勝を攫っている。
普段から興行で収益を上げている企業、開催される試合を観戦・応援し続けている者達からすれば、多額の賞金目当てに大きな大会にだけ参加してくる傭兵などあくまでも部外者であり、そう何度も最強の称号たる優勝の座を奪われるのは当然防ぎたい。
結果、決勝に参加している四チーム二十名の内、唯一闘技場に所属しているケビン・リーに白羽の矢が立ったのだった。
「あ、因みに、大人気の現チャンピオンを凍結粉砕してフローズンシャーベットみたいにしちゃったから、アンチも雨後の筍みたいにワラワラ沸いてるみたいだね。夜道は気を付けたほうがいいよ、最終闘士君?」
最新の映像加工技術により凛々しく美化された少年の顔を拡大表示しながら、ハクアはにやにやと笑った。
「どいつもこいつも勝手言いやがって」
つい先日までケビンがどれだけ苦境に立たされようとも見向きもしなかった社会が、今はこぞって義妹の治療費の為に戦う姿を美談と謳い、少年を飾り囃し立て偶像に祭り上げていく。
あまりの掌の返しに、ケビンは呆れるしかなかった。
同じく世間の注目を浴びているエマは、そんなげんなりとした少年に苦笑した。
「まあ、メディアの体質は圏内も圏外もあまり変わりませんからね。利用される代わりに、こちらもいいように利用してやる、位の心積もりでいるのがちょうどいいと思いますよ」
五帝との交渉以前、フラメル王国王女エマ・フラメルは、銀河連盟の非を打ち鳴らす為にいかにも悲劇のヒロインと言った体で報道されていた。
そして現在は逆に、これでもかと悪し様にこき下ろされている。
「為政者として罵詈雑言を浴びる事は覚悟していましたが、人を人心を操る女郎蜘蛛だの血に飢えた戦狂いだの好き勝手に言って―――――まったく、風評被害も甚だしいですね」
その憤慨の声に、武芸者二人は明後日の方向を向いた。
「…………どうしたんですか、視線を逸らして」
「あ~いや、その、エマさんの場合、完全にデマってわけでもないような……」
「まあ……ボクも同意かな~」
え~っと、とハクアは指折りを始める。
「新参の国なのにいきなり五帝を呼びつけて直接交渉を始める。新型船をチラつかせ五帝を内部分裂させて、ギルドを内乱状態に陥れる。おまけに各方面を巻き込んで圏外中の注目を集める代理戦争にまで発展させた。……これだけやらかしたら、全ての裏で糸を引いていた黒幕とか言われても不思議じゃないよ?」
「うっ………確かに……それは、そうですが」
当初、フラメル王国陣営としても全てを予測出来ていたわけでは無い。想定外の事態も多々あり、それらを何とか乗り越えてきた結果が今に繋がったに過ぎない。
ただ、事実を列挙し、客観的に自身を俯瞰した時、エマにも完全な事実無根だとは否定しきれなかった。
「何、悪名は無名に勝る、だ。誰にも知られていないところから、ここまで注目を集めたのなら、それは立派な進歩だ」
頭に置かれた優しくも力強い分厚い手の感触に、エマは思わず顔を綻ばせた。
「君が本当はどんな人間かは、君の家族や仲間、そして俺が知っている。辛くなったら吐き出してしまえばいい、愚痴くらいなら俺が幾らでも付き合う」
「アカギさん………はい、その時はよろしくお願いします」
あ、いいなーという外野の声を聞き流し、エマは最初から会話の最中も止める事の無かった端末へ操作を終えた。
《completed!》
そんな電子音がトランケースの様な黒い塊から響くと、エマは腰を上げて立ち上がった。
途端、ただの鞄に見えた物体に変化が起こる。表面に無数の亀裂が走り、隙間から覗くのは複雑な機構を有した機械の内部構造。数百数千のパーツが連動し、内からせり出してきたのは、縦に並んだ三つの接続端子であった。
「すいませんハクアちゃん、接続を手伝ってもらっていいですか?」
「いいよー、その黒いのが例の装備?」
「はい、人材発掘で圏外中を飛び回っていた時に使っていた《コロコロくん》を王国の技術部に無理言って突貫で戦闘用に仕上げてもらった物です。急造品なので自動装着機能がまだ組み込まれてなくて」
ハクアは重量のあるオプションを腰を入れ両手で持ち上げ、接続端子をエマの装着している防護服の背骨あたりにあるハードポイントへと押し当てた。
オプションから延びた固定拘束具による装備の保持が行われ、端子を介してシステムの同期が一秒未満で終了する。
ハクアが手を離すと重心が後ろに傾いたことで二、三度エマはよろめいたが、直ぐに防護服側が調整を行い身体を安定させる。
「ハクアちゃん、ありがとうございます。これで私も準備万端ですね」
十代のメンバー三人の内二人が軽装を選択した中で、エマ・フラメルの装備はその真逆を選択した。
過積載ギリギリまで追加装甲や外部アクチュエーターを追加した全身武装の多機能防護服。
基本の専用インナーのカラーが黒、骨格フレームが白であるため、オプション無しのノーマル状態の多機能防護服は『骸骨』などとも呼ばれる事があるが、エマの纏うそれは盛大に『肉付け』されていた。
追加した装甲パーツには、悪条件下でも機能し続けるタフネスと整備のしやすさが多くの傭兵に愛用されている老舗メーカーの純正品を採用。
全身に、薄い装甲を幾重にも折り重ね防御力を高めた積層装甲。破損時には使用不能になった部分のみを破棄することでデッドウェイト化を防ぐ設計であり、一定の防御力を保持し続ける機能は現代の全身鎧。
一番の特徴はたった今背骨のハードポイントに接続された巨大な箱の様な背嚢。全身装備で身長がかさ増しされているエマの約半分程の大きさを誇り、比例して重量も相当重く追加したアクチュエーターなどで何とか上下前後のバランスを保持していた。
他にも様々な各種装備が追加されており、多機能防護服を着ていると言うよりも、機械の塊の中にエマという人間を押し込んでいると言った方が正しい有様であった。
これ等の兵装は全て、エマ・フラメルの脆弱さに起因する。
『戦士』、武芸者、傭兵。陣営を問わず、この戦場に集った者達はいずれもが、戦いを生業とする玄人だ。
単純な戦闘能力は言うに及ばず、生死を分ける咄嗟の判断力、過酷な戦場を生き抜く知恵。一年弱の士官学校での基礎訓練、実戦は半年前に経験したばかり。ここ一週間の特訓で地獄を味わったエマだが、それでも何もかもが足りていない。
万物を支配する力、《黒の王》と言う鬼札は持っていても、それ以外の手札がエマはあまりに貧弱であった。
それを埋めるための、全身装備。
自身が弱いならば全力で道具に頼ろうと言う開き直り。戦闘を装備に丸投げすることが彼女の戦術であり、強者が集うこの戦場に立つ唯一の方法であった。
「さて、後は猿さんだけですね」
エマが視線を向けたのは、先程から黙して語らず少し離れた場所でひたすらに合掌の体勢で瞑想にふける男、全身をしなやかながら張りのある筋肉で覆われている巨漢、猿だった。
生きるか死ぬかの決戦を間近に控えながらも高揚も逸りもなく、あるがままに現実を受け入れているその様は、まるで鎮座する巌。
静かなるその身は、寸鉄すらも帯びていなかった。
闘技場内の俗語で言うところの裸一貫。
無論、V.V.の服飾担当が容易した司祭服めいた長丈の服やケープを着ているため、本当に全裸と言う訳ではない。
ただ、一回戦では同じく裸一貫で戦い抜いたアカギもこの場では、可変式外套を模した《せんきのコート》や愛剣の『カネツグ』などでしっかりと装備を整えている。W.F.以外のチームの選手も同様に現時点で用意できる最高の装備を身に纏っているだろう。
誰も彼もが武装・兵装で身を固める中、その身一つで立つ様は誰よりも異常だった。
それでも、W.F.のメンバーは誰一人としてその無防備な姿に不安を憶えていない
知っているからだ、寡黙なる男が最も力を発揮するのがこの姿である事を。
不動であった瞼が上がると、猿は深く息を吐いた。
大地と一体化していた意識を再び己の身体に染みわたらせ、活力を四肢に奔らせる。アカギ達の傍にまで戻ってきた時、その顔は穏やかだった。
「どうやら、確認するまでもなく完璧に仕上がっているようだな、猿」
突き出された『戦士』の拳に、小気味良く拳が返される。
「ああ、頭がこれ以上ないくらいにクリアで、身体には力が満ちている。敢えて言おう、蟲の能力強化など今の私にとっては枷でしかなかったと」
脳に蟲を植え付けられていた後遺症で過去の記憶が定かではない猿だが、頭で忘れても身体が憶えていた動作があった。
それが、合掌。おそらくは、骨身に浸透するまで反復し繰り返されてきた定型。
猿にとって、両手の掌を合わせるその動作は、祈りであり感謝であり、誓約であった。
瞑想を併用することで身体のコンディションを最高潮にまで引き上げる。
決勝の戦舞台に集った一人一人の顔を見渡し、アカギは頷いた。
「よし、じゃあ今回の作戦の最終確認だ」
黎明歴425年9月30日、午前12時04分56秒。
光学兵器の超高熱で数多くのドローンが蒸発しても、五分未満の時間で現地からの映像を復旧させたのは、大会運営委員会が投じた設備費用の高額さとスタッフ一同の奮闘故か。
再びドローンが映し出した現地の映像を映し出した時、観客達は息を呑んだ。
その思いを代弁するかのように、司会のロビンソンが叫ぶ。
『こ、これは何たる局地的大破壊!今、惑星上に広がっているのはかのインフェルノなのか!?』
完全に溶解しきり、煮え滾った大地。地獄の窯をひっくり返したかのように泡を立ち昇らせた、あらゆる生物の生存を認めない死の地平線。
光の雨が降り注いだ後には、地上の悉くが昇華されていた。
分かり易く五分前との比較映像も流され、よりその凄惨な変貌に多くの者は驚愕の表情を浮かべる。
その中でただ一人、眉一つ動かさずに腕と足を組んで大広間のソファで試合状況を観察する男がいた。
「さて、これで後腐れなく終わってくれれば一番スマートなのですが」
その冷たい視線は、周囲に映像が展開されている無人惑星の3Dモデルへ注がれている。
五帝若手筆頭、ザイ・コンウェイ。
たった今、決勝で起こった出来事を端的に表すならば、『大会名物・開幕ぶっ放花火』である。
玉石混交な大会予選で比較的多く観られ、開始直後多数の選手が短慮や逸りから後先を考えず一斉に光学兵器を発射することによりおこる事象。
ただし、トーナメントによって間引かれ、勝ち抜いた強者と強者がぶつかる決勝戦では初手は手の内の探り合いから始まる場合が多い事から発生するのは非常に稀。
その通例の逆張りを、コンウェイは選んだ。
惑星一つを丸ごとを戦場にし開始位置が決まっている関係上、各チームの距離は最初約二千八百kmもの開きがある。人類の母星に存在したと言う極東の島国ならば、ほぼ横断出来てしまう距離。この事実が本格的な戦闘は試合後半に集中し序盤、しかも開幕直後から仕掛けてはこないだろうという考えを助長する。
誰もやらない事に進んで挑んできたからこそ、コンウェイの躍進がある。通例をなぞるだけの者が、若くして五帝の地位にいるはずもない。
意表を突いた奇襲攻撃を実現するために用意されたのは、呆れるほどの大量兵器。
高高度の衛星軌道上から敵性施設を光線にて正確に穿つ攻撃衛星群。W.F.の開始地点であるエリアAを挟み込むようにエリアBとエリアDの境界線際に旧時代の万里の長城の如く建設された大量破壊兵器を有した巨大軍事施設。
これらの設備・施設をたった一週間で準備して見せたのは、コンウェイの辣腕あってこそ。
国家予算にも匹敵する費用を極々短期間で捻出し、関係各所に無理を通して無茶な施工日程を完遂させた。
無論、若き五帝とて無傷ではない。
交渉の為に所有していた幾つかの巨万の富を生み出す資源惑星や企業を手放し、各方面にも今後へ長く波及する大きな借りを作った。
それでも、ザイ・コンウェイは一切後悔をしていない。この程度の損失は最初から想定の範囲内。敵全員が一ヵ所に集まりどれだけ大火力で薙ぎ払っても味方への被害を恐れる必要のない最初で最後の機会。二度とないビックチャンスを逃すほうがより大きな損失であると、判断した。
そして、それと同時に血を吐き身を削って放った奇襲による全てが決するとは欠片も考えていなかった。
精々、敵の手の内が少しでも明らかになれば良い、一人でも大きなダメージを与えることが出来れば大金星であるという認識。
逆境の土壇場で大笑いし状況をひっくり返して見せたエマ・フラメルと言う怪物が、この程度の策略で終わるはずもない。
どう出る、とコンウェイは厳しい眼つき観察を続けていると、メイン司会であるロビンソンから驚きの声が上がった。
『おおっと、これは!一瞬でW.F.が全滅したかと思ったが、端末からの信号が消えてねえ!アイツ等まだしぶとく生き残ってやがる!』
選手各自の端末から発信される位置情報から現在地を特定し、一番近くにいたドローンがカメラを向け近づいていく。
三つの影が、モニターの端から端へ一瞬で駆け抜けた。直後に凄まじい音の衝撃と共に機器の画面には亀裂が走り撮影していたドローンが機能を停止する。
超音速。
時速千二百km、音の壁を優に超え衝撃波を撒き散らしながら三つの影が赤熱するエリアより逃れ地上を疾走していた。
無事だった複数の遠巻きドローンが速度を計測。受信した個別識別信号と照らし合わせ、会場のARモニター上に三つの影の正体を映し出した。
『ヒャッハァ!なんだコイツ等、ゴキゲンなスタイルだなオイ!』
最新の高画像化システムにより鮮明かつ明瞭な輪郭と質感で大々的に映し出されたのは、巨大なボードに乗り地上を超音速で滑走するエマ、ケビン、ハクアの三名であった。
午前12時10分00秒:残存状況。
Wet Fighters(○○○○○)
Metal Troop(○○○○○)
Lucky Strike(○○○○○)
Grave Vulture(○○○○○)




