第000話 プロローグ
あなたは、初めて買ってもらったゲームのことを覚えていますか?
お父さんやお母さんに手を引かれ、パッケージを手に取ったあの日のことを覚えていますか?
お小遣いを貯めて買ったのでしょうか? それとも、誕生日のお祝いに買ってもらったのでしょうか?
操作に慣れず、ボスに何度もやられて。
悔しくて悔しくて、夜更かししてレベルを上げて再挑戦して。
そしてついに勝ったあの日の感動を、覚えていますか?
友達と騒ぎながら対戦をした人もいるかもしれません。
一人でコツコツとその世界観に浸った人もいるかもしれません。
もしかしたら、そのゲームをきっかけに友達ができた人もいるかもしれません。
成長したあなたは、もしかしたら忘れているかもしれない。
今も家のどこかに、そのゲームは残っていますか?
もうプレイはしないからと、売ってしまったでしょうか?
勉強が忙しくなったり、社会に出てゲームをやる暇がなくなって、離れてしまったのでしょうか?
でもきっと、ほら。
心の片隅に、記憶は必ず残っていて。
あの少年時代の思い出は、色あせずにあなたたちを待っているはずです。
タイトル画面を見た時の興奮。
友達と攻略法を教えあったあの日。
たかがゲームに本気になれたあの頃。
エンディングに涙した昔日の思い出──
さあ。もう一度だけ、冒険を始めよう。
あの日の記憶に想いを馳せて。
純粋な少年時代に身を委ね。
ドキドキとワクワクに満ち溢れた、あの世界へ。
そう――
僕たちはあの頃、誰もが勇者だった。
RE/INCARNATER
第一幕 英雄再誕