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終わりの始まりの章 1

あれから1か月がたった。

弘樹はまだ見つかっていない。それを幸いととるか、不幸ととるかは誰もわからなかった。

捜索範囲は大きく広げられたという。

しかし、国外に出た形跡がないこと、また、弘樹名義の口座からの引き出しがないことから

そう遠くには行っていないだろうというのが、大方の考えだった。

弘樹の行きそうな場所は、すべて安倍家、もしくは他の六家がマークしている状況だ。

ゆきは、あの数日後、安倍家を出て、自分の家に戻った。

探す手伝いをしようにも、中途半端な自分には何もできない。できるのは、邪魔にならないようにするだけだ。

たまに、朱音に会って、状況を聞いているが、毎回話は、何も進展しなかった。

「もしから、あれね。富士の樹海あたりでくたばってるのかもしれないし。」

苦笑いを浮かべながら、朱音がぼやいていた。そう思ったほうが、楽なのかもしれなかった。

「だって、考えてごらんよ。兵糧攻めだよこの状態。」

手持ちの金銭がどれほどが分からないが、1か月たっているのだ。逃げ回るにも限界がある。

「ありがたいことに、皇子たちの「暴力的な感情」はほとんど消えているけど。」

その前に、手持ち物資が切れて、最期を迎えていてもおかしくない。

「ゆきちゃんのほうはどう?」

朱音が目を細めて尋ねた。

「おかげさまで。なにも協力できないのが、申し訳ないですけど。」

「いいのよ。そうやって、弘樹のことを覚えてくれているだけで、助かる。」

そういうと、朱音は、少しだけ頬を緩ませて、笑みを浮かべた。


***********


油断、というか忘れてくれてるみたい。

そうそう、いろいろありすぎて、そこまで頭が回ってないのよ。

そういう意味では好都合。

え?大丈夫だって。皇子ならまだしも、相手はたんなる人だよ。

しかも、お目付け役は今はいないし。

・・・あぁ。けど、神って生き物は、人間のやり取りにはそう簡単に手を出さないでしょ?

気づかれる前に、やっちゃえばいいんだし。そういうの得意だって知っているじゃない。

はいっ。口はきちんと封じますっ。

・・・えーぶりっこしてないってば。

そういうこと言うと、分けてあげないよ。


「生きた、新鮮な孤血を」


***********

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