8話「鳴き声」
「やめよーぜー? 絶対飲めねーってー」
急遽発足された《彷徨絵空にコーヒーを飲ませようの会》の初回活動が行われることとなった。
「飲んでみないとわかんないでしょ。ほら、行くわよ」
「せっかく楽しい放課後なんだからよ。もっとハイでポップでセンセーショナルなことしよーぜ?」
「例えば?」
「え? あー……ボブスレーとか?」
「道具と場所を用意できるならそれで許してあげるわ」
一蹴。
足早に教室を出て行く桜花ちゃんを慌てて追いかける。
ぶーぶーと文句を言いながらも後ろからついてくる絵空ちゃんがなんだか可愛かった。
「駅前のスタバでいいわよね?」
「うん。いい……みゃん!」
廊下でつまづいた。
へ、変な声出ちゃった。
後ろを振り向くとにやにやとしながら絵空ちゃんが近付いて来ていた。
あ、絶対からかわれる。
「おやー? いま謎の生物の鳴き声がした……びるわ!」
絵空ちゃんもつまづいた。
なんとか体勢を立て直した絵空ちゃんと目が合う。
「あは……」
「ははは……」
「あはははは!」
「はっはっは! いえーい!」
ハイタッチ。
ぱぁん、と良い音が響き渡る。
「なにやってんのよあんたたちは……」