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掌編小説集5 (201話~250話)

重大な出来事

作者: 蹴沢缶九郎

「まさか…そんな事が…」


地理学者である田中は、長年の自身の研究で導き出した重大な結果を知り、思わず声を漏らした。そんな様子の田中に、助手の近藤が聞いた。


「先生、一体どうしたと言うのです」


「いや、実は重大な事がわかったのだ…。今から約二億五千万年前、地球上の全ての大陸は、元々パンゲアという一つの大陸であった事はお前も知っているな」


「はい、もちろんです。そして、パンゲアは長い年月を経て分裂、大陸移動をし、現在の大陸の形となった…」


「うむ、その通りだ。当然に今現在も大陸移動は行われている」


「はい。しかし、それが重大な事と何か関係あるのですか?」


「おお有りだ。私の導き出した研究結果によると、このまま大陸移動が続けば、三億年後の日本は、北海道が沖縄の位置にある事がわかったのだ!!」


「へぇ…」


「そして沖縄はイースター島の位置に移動しており…」


「ほぅ…」


「それだけではないぞ、本州は南極の位置にあるのだ!!」


「ふうん…」


田中の熱弁にも、近藤はあまり興味のなさそうな、気の抜けた返事をし、いまいち事の重大さが伝わっていないようだった。


「お前にはこれがどんなに重大な事かわからないのか!! いいか、本州が南極の位置にあるという事は…」


まだ言い終わらない田中の言葉を近藤が制す。


「先生、お言葉ですが、自分の生きていない三億年も未来の事など僕の知った事ではありません。その時代を生きている人間が考えれば良いのです」


と、その時、「グゥ~」と田中の腹の虫が鳴り、近藤は笑いながら言った。


「そういえば、お昼がまだでしたね。さあ、僕達はこれから食べるお昼の事を考えるとしましょう」

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