プロローグ
世の中の善悪は、大衆がどう判断するかで決まる。万引き、殺人、強盗、など毎日数え切れない犯罪が起きている。それは本当に「悪」だったのか?そんなもの定かではない。わざわざあの事件など今更掘り返すつもりも無い。
「終わったな…。」
「え……。」
その低音のか細くどこか強いその声を聞いたのはあれで最後だった。凍えそうな吹雪の中、1人で黙々と歩き続ける。いつもなら太陽が真上にあるはずなのに月が上がっている様だった。やっと見えてきたいつものコンクリートの建物、これが私の仕事場だ。周りと何も変わらないただのビルだが私の心安らぐ場所...ではない。
子供の頃から居場所など無かった。あるのは孤独な現実だけ、だがそんなもの気になどしていない。孤独は気持ちが楽だ。誰にも迷惑も情も与えることは無いからだ。そして感謝も。そんな私に変わったのは「アレ」が起きてからだ。
「朝だよー!」
という母親の声もなく1人で起きる。寝坊などしてことがない。ましてや遅刻など。
「行ってきます。」
小さな声で言うが、何の反応もない。いつも通りだ。そんな事当たり前になっていて今更反応があった方がおかしいとさえ感じている。周りには楽しく友人と昨晩のテレビの話などを話題に盛り上がりながら学校へ行く。その横を静かに抜かそうとする人が、1人。その瞬間、さっきまで盛り上がっていた2人組が目の色を変えた。朝から元気なやつだ。そいつの胸ぐらを、つかんで拳を頬にぶつけ倒した。そして、何事もなかったかのようにまた話を盛り上げている。
教室では2人組が5.6人となって騒いでいる。これもいつも通りだ。そして無言のまま席に着く。
ここまでだった。
「イツモドオリダッタノハ...」




