プロローグ
お初にお目にかかります。
琉斗といいます。
投稿はほぼ毎日するつもりでいます。
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誹謗中傷などはお控えください。
その日は酷い雨だった。
私はゴクリと唾をのむ。
「なあ、死ねよ」
それは中等部の頃から私を嫌っている東宮綾音だ。
いいとこのお嬢様で、誰にでも優しく誰からも好かれている。
だけど、綾音は私のことが嫌いらしい。
おかげでずっといじめられっ子だ。
そして今私は窮地に立たされている。
紅羅架麻衣15才。
目の前にはゴウゴウと唸る川。
激流と呼ぶにはちょっと、威力が足りないが、雨のおかげで流れが早い。
「ど、どうしてこんなことするの?」
私は綾音の袖を掴んで必死な抵抗していた。
たとえ頭を押さえつけられていようと、同じ女子の力ならなんとかなる・・・・・・はずだった。
「あんたが、悪いんだろ!!!」
普段どんなに怒っていても、そんな言葉使いはしたことがない綾音が私の足を持ち上げた。
橋から身を乗り出す私はグッと川に近づく。
「死ね!死ねよ!」
「やめて!いやぁあああ!!」
ふわりと体が軽くなった。
足が宙に浮く。
あ、死ぬんだ。
そんな言葉がストンと胸に落ちる。
理解した途端恐怖が遠のいて、少しだけ悲しくなる。
「綾音、やめて・・・」
その言葉は川の音と綾音の高笑いにかき消された。