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もしも願いがかなうなら  作者: 飛鳥 友
第7章 四竜の章3 青竜・天竜編
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第88話

                   4

『シュッシュッシュッ』『バシュッバシュッバシュッ』源五郎が矢を射て、雷大ガラスたちを射落としていく。

 的が大きいので、こいつらは弓矢の格好の獲物のようだ。


強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)!」

 レイが、雷大ガラスの羽を凍りつかせて、地面に落下させる。

『ドザッドサッドザッ・・・ザシュッ、ズボッ、バシュッ』落ちた大ガラスを俺が炎の剣で突き刺して、止めを刺していく。


 竹林で見通しが悪いため、急襲を受けやすいようだ、気を付けなくてはいけない。

 その後も雷大ガラスに加え、感電バトや感電雀の襲撃を撃退しながら進んで行く。


 やがて、辺りが真っ白い霧に包まれてきた。

 こうなると右も左もわからない、終いにはどっちの方角から来たのかすらわからなくなってきた。


「あれ?ここは一度通った場所ですね。

 目印に竹に結び付けておいた、赤い紐がありますよ。

 この結び方だと、さっきはこっちの方向へ進んで行ったはずですけど・・・。」

 リアカーを押しながら、源五郎が教えてくれる。


 うーん・・・、迷ったみたいだ。

 霧に包まれてからは、魔物たちの襲撃も収まったようでありがたいのだが、方向が定まらないのは困る。

 とりあえず、源五郎が指し示す方向とは違う方へ進んでみることにする。


「あれ?また同じところに来てしまいましたね。

 どうやら、同じところをぐるぐると回っているだけのようですね。」

 こんなことを繰り返して3度目、進んで行く方向を変えて見ても、結果は同じようだ。


 残された方向は一つ、来たと思われる方に戻って行く道だけだ。

 なぜならば、竹林は縦横に整列して自生しているので、リアカーを引いていては、斜め方向には行けそうもないからだ。


「仕方がない、中継車まで一旦戻って、今度は長いロープか何か持って出よう。

 ロープを竹に結び付けて進んで行けば、今まで通って来た方向がある程度分るから、いつの間にか戻ってしまうなんて事もないだろう。」


 もう一度、出直すつもりで足を速める。

 何時までも、時間を取られている訳にもいかないのだ。

 しばらく歩くと、前方に明かりが見えてきた。


 中継車のヘッドライトか?いや、それにしては数が多い・・・。

 霧の中に、うすぼんやりとした灯りがいくつも見えてきた。

 来た時には、そんなもの見た覚えもないので、不思議な感じがする。


 その明りにつられるように進んで行くと、段々と温かみのある明かりが見えてきて、それは建物の窓からこぼれる灯りという事が、分って来た。

 どうやら、この先に家があるようだ。自然と足の進みが早くなっていく。

 そこは、十数戸ほどの平屋が立ち並ぶ、小さな集落の様だった。


「こんにちは・・・、どなたかいらっしゃいますか?

 俺たちは冒険者で、魔物を退治して回る冒険をしています。

 道に迷ってしまった様なのですが、お力をお貸し願えませんか?」


 俺は、村の入口近くにある家の、扉越しに呼び掛けて見た。

 脇には小さな畑があって、キャベツっぽい形の葉物野菜や、大根のような根菜なども植わっているようだ。


『ギィー』

「こんな場所までいらっしゃる方は、珍しい・・・。

 道にお迷いになられたとか・・・、それはお困りでしょう。

 まずは、中へお入りください。」


 扉を開けてくれたのは、細身の身体つきの髪の長い美しい女性だった。

 彼女に案内されるがままに、家の中へと入って行く。


 こじんまりとした外観とは裏腹に、家の中は結構広く、案内された居間にスタッフ含めて7人がお邪魔したが、それでも家人用のスペースは十分確保されているようだ。


「まずはお茶でも飲んでくつろいでいてください。

 今、村の者を呼んできますので。」

 そう言い残して彼女は、玄関から出て行ってしまった。


 仕方がないので待っている間、出されたお茶とお茶菓子を頂く。

 それは日本茶そのもので、久しぶりに懐かしい香りを楽しむ。

 お茶菓子は、塩せんべいだった・・・、これは堪らん!


「お待たせいたしました。

 村の物を呼んでまいりました、この辺りの地理に詳しいものもおりますから、お役に立てると思います。」

 彼女が連れて来たのは、4人ほどのうら若き女性たちだった。


 全員が細身の体型で、細面のその顔は典型的な日本美女のようだ。

 しかも、東南アジア辺りの民族衣装のような、ワンピースの衣装に身を包み、うす手の布は体の線が透けて見えるかのようで、更に腰のあたりまで切れ込んだスリットから覗く生足は、ミニスカートから見える足よりもはるかになまめかしく感じられた。

 彼女の知り合いだからなのか、全員が女性で男性は1人もいないようだ。


「失礼ですけど、この村の名前は何というのですか?

 我々は、ヨーリキーの村経由でここまでやってきましたが、この辺りには村というか集落はないと伺っていましたけど・・・。」


 まずは、この村が目的の青竜の里だったらありがたい。

 そうでなくても、幻の村の名前ぐらいは知っておきたいものだ。


「ここは、村というよりも小さな集落で、名前などございません。

 ただこの地に住む数家族が、寄り添って暮らしているだけの場所です。」

 この家の主人の女性は、そう言いながら微笑んだ。


「ああ、そうでした・・・、すっかりお世話になりながら、自己紹介を忘れておりました。

 俺は、冒険者でシメンズというチームのサグルというものです。


 この彼は源五郎、彼女はレイ、そのまた向こうの彼女はツバサと言います。

 彼ら3人と俺と合わせて、チームを組んで冒険をしています。


 それからさらに、こっちに居るのは、冒険者ではなく、俺達の冒険の様子をテレビ中継するためのスタッフで・・・。」

 俺がカメラや照明のスタッフを次々と紹介していく。

 と言っても、時折入れ替わるスタッフなので、名前を知っているほど親しい訳でもなく、カメラマンとか照明さんとかいう風に紹介して行っているだけだ。


「そうですか、冒険者の方々・・・、勇ましいですのね。」

 そう言って彼女は、なぜかやさしい笑顔を見せた。


「私はこの集落の世話係を仰せつかっております、トシミと申します。

 彼女はナガレ、この周辺の地理に詳しいものです。

 彼女はサダミ・・・」

 トシミさんは、連れてきてくれた村人たちを紹介してくれた。


「そうですか・・・、ナガレさん。

 我々は、青竜に関する村を訪ねて参りました。

 青竜の里というらしいのですが、この辺りにそのような名前の里というか、集落があるのをご存じありませんか?」


 俺はストレートに聞いてみることにした。

 別に隠すような事でもないし、また、彼女たちだって、知っていれば行き方くらい教えてくれるだろう。


「せ・・・青竜の里ですか?はい、それは・・・。」

『ゴンッ』ナガレさんが話しはじめたところ、隣のトシミさんが彼女の脇腹に肘鉄をくらわす。


「うっ・・・うん・・・!」

 そうして咳払いをして、横目で彼女を睨みつけた。


「いっいえ・・・、その様な村の名前は、聞いたことがありません。」

 すぐにナガレさんは、肩をすぼませながら、小さくなって答える。


「申し訳ございません、どうやらご期待には沿えなかった様ですね・・・。

 まあ、本日はもう遅いですから、狭いところですがお泊りになって体をおやすめ下さい。


 但し、どの家も小さなあばら家ですから、一度に大人数をお迎えすることは叶いません。

 ですので、各家におひとりずつ・・・、ああでも女性の方たちは、お二人を一軒でお泊めすることができます。」

 トシミさんがそう言いながら頭を下げる。


 ほうそうか、もうそんな時間か・・・、と思いながらスタッフの方へ眼をやると、確かに放送時間が差し迫っているので、急いで編集を中継車でしている所らしい。

 今日の放送分は映像が溜まったから、もういいと言う事のようだ。


 お祈りの時間に集合する場所を決めて、それぞれ泊めていただけるお宅へ、案内されていく。

 俺はそのままトシミさん宅で泊めていただけるようで、源五郎はナガレさん宅へ、レイとツバサはサダミさん宅。

 テレビスタッフはそれぞれ、別の家へとまねかれて行った。


 それにしても、女性ばかりのようだがいいのだろうか?

 大体、トシミさん宅の居間だって結構な広さがあるのだから、俺達全員がそこで雑魚寝だって構わないのだ。

 その方が、彼女達の身にとっても、安全ではないのか?


 よこしまな考えを持った者はいないと信じてはいるが、それはそれ・・・、俺も含めて男が多い訳だし、何よりも悩ましげな服装に加えて、抜群のプロポーションと美しい顔立ち。

 更には、スリットから覗く生脚・・・、これはもう、平静を保っていられる自信は、まずないと言っていい。


 かといって自分たちは危険ですから、一人ずつにはしない方がいいですよなんて言えるはずもなく・・・、そんなことしようもんなら、すぐさま村から追い出されてしまうだろう・・・、仕方がないので、言われるがまま従う事にした。


 各人荷物を置いた後、再度トシミさん宅へ集合して、夕飯をごちそうになる。

 タケノコ料理ばかりかと思われたが、ふんだんな山菜や肉などの豪華な料理が振る舞われ、更には酒のような飲み物まで・・・、こんなにお世話になっていいのだろうか・・・、それとも、後で料金が請求されるような、ぼったくりの宿か?


 そんな訳はあるはずもなく、宴は楽しく続き、祈りの時間は彼女たちも一緒に祈ってくれた。

 受信機がないそうなので、スタッフにお願いしてテレビを配布してもらいましょうなんて提案をした後、各人お世話になる家まで戻って行き就寝。


「うん?・・・」

 俺は、布団とは違う重みを感じて、ふと目を覚ます。


 少し飲んだお酒も手伝ってか、床に入った途端に爆睡状態だったらしく、布団どころか寝間着まではだけてしまったようで、脇腹の辺りがスースーする。

 しかし、俺の胸の辺りには、何やら温かみのあるやわらかいものが当たっており、布団を丸めて抱き付いてでもいるのか?と、自分の体勢を改めて確認しようと、手足の状態を意識する。


 同時に鼻腔を通して感じられる、いい香りの正体も・・・、ついでに、時折接触してくる、唇に当たる柔らかいぬくもりも・・・・。

 レイか?レイなのか?人様のお宅にお邪魔していると言うのに、ちょっと不謹慎じゃないか?

 と、一瞬よぎったが、いつもとは違う香りと息遣いだ。


「わわっ・・・。」

『ダンッ』次の瞬間、俺は自分に覆いかぶさっているものを押しのけ、ベッドから飛び降りた。

 俺の体にかかって来ていた圧力は、レイとは違う女性の体の物だと、はっきりと気付いたからだ。


「起こしてしまいましたか・・・、いえ、勝手にさせていただくのも失礼とは思いましたが、余りに気持ちよさそうに眠っていらっしゃったもので・・・。

 ここは女性だけの小さな集落、訪れる旅人もめったにございません。


 何卒、我らを助けると思って、夜伽をお願いいたします・・・。」

 そう言ってその影は頭を下げる。


 焦ってカーテンを引くと、窓から差し込む月明かりに照らされた姿は、まぎれもなくトシミさんの物だった。

 昼間見た、抜群のプロポーションそのままに、透け透けのレースで出来たガウンを羽織っただけで、下着すら身に着けていないその姿は、まさに垂涎の一言に尽きる。


「もっ・・申し訳ありません・・・、お・・・俺は・・、ご期待に沿えるような・・・、いっいえ・・・・、役に立たないという訳ではないのですが・・・、俺には心に決めた人が・・・、というか、冒険者として魔物たちを一掃する旅を行っておりまして・・・、その、ダンジョンを巡って・・・」


 あまりの事態に、俺の頭はパニック状態で・・・、自分でも何を言っているのか分からなくなっている。

 そのまま、寝室を飛び出して、更に玄関から家の外へ裸足のまま逃げ出す。

『ガチャッ・・・ダダッ』すると、隣の家からも飛び出してきた影が・・・。


「わわっ・・・、ぼっ・・・僕は・・・。」

 源五郎だ・・・、源五郎がパンツ一枚だけで飛び出してきたようだ。


「りっ・・・リーダー・・・。」

 源五郎は、やはりパンツ一丁の俺の姿を見つけて、ほっとしたように近づいてきた。

「参ったね・・・。」

 俺もにっこりとほほ笑む。


「大変申し訳ございませんでした、はしたない真似をいたしましたこと、お詫び申し上げます。」

 明かりが灯った玄関先には、服を着たトシミさんの姿があった。


 いえ、こちらこそ・・・、いい目の保養になりました。

 その後、俺と源五郎は一つのベッドで構わないと申し立て、トシミさんの家のベッドで二人で眠った。


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