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もしも願いがかなうなら  作者: 飛鳥 友
第6章 四竜の章2 地竜編
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第84話

                    14

 そうか、プレミアムの魔物たちの狙いは錦ナマズか・・・、そいつはまずい、地竜様へのお供え物が無くなってしまう。

『ダッ』俺は焦って、金色ゴリラたちに向かって駆け出す。


『シュッシュッシュッ』俺の傍らを源五郎の矢が追い抜いて行き、瞬時に数匹の金色ゴリラに命中・・・と思いきや『シュバッシュバッ』金色ゴリラたちは、右腕で簡単に射られた矢を振り落す。


「おりゃぁ」

『シュッパーン』『ピカッ』『ガキッ』会心の一撃・・・かと思われたが、金色ゴリラの体が、一瞬眩く輝いたかと思うと、脳天目がけて振り下ろした剣を右腕で受け止められた。


「たあっ!」

『シュッパーン』『ピカッ』『ズボッ』返す刀で、右わき腹を狙ったが、またもや体が光り、俺の一撃は腹に少しめり込んだだけで、止まってしまう。


『ドッゴーン』次の瞬間、強烈な右手の突出しを食らい、俺の体は後方へ吹き飛ばされた。

『ズザザザザザッ』「あいたたた・・・」


 洞窟の岩がごつごつと突き出た地面を削りながら、俺の体は数メートルは飛ばされ、目から星が出た。

 ダメージ半減でなければ、気絶でもしていただろうか、と思えるほどだ。


「りゃぁっ!」

『パッシュン』『ガキッ』『パシュパシュパシュパシュッ!』

 ツバサの初撃もブロックされたが、すぐに下からえぐるようにアッパー気味の一撃が炸裂。

 金色ゴリラの体は宙を飛び、頭から地面に落下する。


 そうか、攻撃をかわされても、溜めを作らずにすぐに次の攻撃に転じなければ、金色ゴリラクラスになると受けられてしまう訳か。

 そうなると、初撃を躱されたことを想定して、次の攻撃を考えておかなければいけないな・・・。


「たありゃっ!」

『シュッパーン』『ピカッ』『ガキッ』『シュパシュパシュパァーン!』これぞ会心の一撃、袈裟懸けに振り下ろした一撃を右腕でガードされるや否や、その反動を逆に利用して切先の方向を修正し、左肩口目がけて2撃目を入れる。


 金色ゴリラは、そのまま前のめりに崩れ、奴が再度光る前に2撃目を入れ、仕留めることができた。

 どうやら体が光るのは、鋼鉄化か何かわからないが、瞬時に体を堅くして、攻撃を弾き返す能力なのだろう。

 イエローマン達のような超人相手では、そのような防御すら効かなかったから、簡単に倒されていたように見えたのだろうが、俺達クラスでは簡単に倒せるような相手ではなかったようだ。


 一撃剣自体が、プレミアアイテムだったから、そのままでも攻撃力は今までの剣に比べて格段に大きいのだろう。

 だから、それを会心の一撃と勘違いしていたようだが、今のが会心の一撃のようだ。


「りゃぁぁっ!」『パシュパシュパシュパシュッ!』

 ツバサの素早い攻撃が炸裂し、金色ゴリラの体が宙を舞う。

 うーん、もしかすると、先ほどの攻撃は俺に戦い方を教えるために、わざと受けられたのかも知れないな・・・。


「たりゃっ!」

 そう思いながら、次の金色ゴリラへ向かって行く。

『ポチャッ』すると、金色ゴリラたちは、それまで左手で放さず持っていた錦ナマズを、地面に落とした。

 どうやら状況がまずいとみて、本気で戦うつもりのようだ。


『シュッシュッシュッシュッ』

 源五郎の矢が、金色ゴリラたちに襲い掛かって行く。

『パシュッパシュッパシュッ』金色ゴリラたちは、今度は両手を使って矢を振り払う。


「とぉりゃぁっ!」

『シュパシュパシュパシュッパーン!』俺の右わき腹をえぐるようなアッパー気味の一撃が炸裂し、金色ゴリラの体が、真っ二つに切り裂かれる。

 源五郎の矢に気を取られていたおかげで、俺の下からの攻撃が決まったようだ。


「たぁりゃっ!」

『シュッシュッシュッ』『ドッゴーン!』すかさず、次の獲物に剣を振り上げ、金色ゴリラが身構えたところに源五郎の矢が脳天に命中。


 金色ゴリラはそのまま仰向けに倒れた。

 うまいぞ、これぞ連係プレーだ。


「魔法力増強?(ダブル)・・・・爆裂雷撃(ビカ)!」

 レイが唱えると、極太の閃光が洞窟内にきらめき渡る。

 先ほどから、何回か光っていたのはこれだったのか・・・。

 金色ゴリラは、瞬時に移動して稲妻の直撃を避けているのだが、それでも行動範囲を狭められ、バラバラに分断されている様子だ。


「とぅっ!」

 そんな中をツバサが駆け回り、飛び蹴りや一撃ナックルをかましていく。

「おりゃぁぁーっ!」

『シュパシュパシュパシュッパーン!』雷に気を取られていた1匹に俺の一撃が決まり、金色ゴリラはそのまま地面に沈んだ。


「ふうっ・・、ようやく倒せたな。」

 十数分ほどで、数匹いた金色ゴリラは、全て地に臥した。

『ぴちゃっぴちゃっ』洞窟の地面には、金色ゴリラたちが捕まえていた錦ナマズが元気に飛び跳ねている。


「おっとっとっとっ・・・」

 それを源五郎が捕まえては、袋に詰めて行く。


「奴らの分を横取りの様で気が引けるけど、本来ならこの洞窟に居るべき奴らではないですから、いいですよね。

 全滅したら困るから、元気そうな奴らは池に戻しておきましょう。」

 源五郎が明るく笑いながら選別して、数匹を池に戻す。


「5匹も持っていけばいいですよね。」

「ああ、そうだな。」

 錦ナマズがどんな攻撃力を持っていたかは不明だが、簡単に手に入れることができたのは幸いだ。


「これって・・・。」

 ふと、洞窟の隅の方で下を見ていたレイが、きらめく金属製の物を拾い上げる。

 錦ナマズの骨に混じって、どうやら指輪のようだが、どうしてこんなところに・・・。


「恐らく、金色ゴリラたちが食った残骸だろう。

 錦ナマズの体の中に入っていたと考えたほうがよさそうだな。

 食えないから、骨と一緒に吐き出したのだろう。


 海竜の時のアンコウナマズのように、何か特典のある指輪かも知れないぞ。」

 指輪を眺めるレイの元に、皆が集まって来た。


「弁当箱の絵が彫られていますから、回復系のアイテムですかね。」

「恐らくそうだろう、体力と魔法力、両方回復するとありがたいな。

 一番魔法力を使う、レイが付けているのがいいだろう。」

 俺は、指輪をそのままレイに付けさせることにした。


「まだ、こっちにもありますよ。」

 ツバサが、反対側の奥で叫ぶ。


 どうやら、金色ゴリラたちが食い散らかした残飯の中に、指輪が含まれているようだ。

 洞窟中を探したら、合計42個の指輪が見つかった。

 うーん、こんな大量に錦ナマズは食われてしまっていたか・・・。


 池の中に何匹生息していたのか不明だが、危ないところだった。

 全員が一つずつ指輪を付けることにして、後は他の奴らに配ればいいだろう。


 テレビスタッフたちと協力して、なるべく岩が少ない地面を掘って、金色ゴリラたちの死骸を埋める。

 硬い洞窟の地面に穴を掘るのは重労働だったが、それでも、こんな大量の死骸を外まで運び出すのはもっと大変だろう。


 ついでに、小さな穴を掘って、錦ナマズの骨も埋めてやった。

 奴らも、まさか魔物たちの餌になるとは思っていなかっただろう。

 洞窟を後にして、地竜の里へ向かう。


「お疲れ様でした、すぐに編集にかかります。」

 待ち構えていたテレビスタッフが、ビデオのメモリを受け取ると、忙しそうに中継車の中へと引っ込んで行った。

 もう夕方だ、放送まであまり時間がないので、焦っているのだろう。


「おお、これは錦ナマズ・・・、しかも5匹も。

 お供えは1匹だけで良かったのだがのぅ・・・。」

 ムツじいさんが至極残念そうに上目づかいで、俺の顔を眺める。


「仕方がないのだ、洞窟内は魔物たちが一杯で、錦ナマズを食おうと捕まえていた。

 魔物たちを倒した後、元気なものは池に戻したが、死にかけていた奴を持ってきた。

 但し、死んじまっていた奴じゃない、あくまでも生きていた奴だけを持ってきたつもりだ。」

 ムツじいさんにいきさつを説明する。


「まあ、いいじゃないか、お供え物が多くて海竜様が喜ぶことはあっても、お怒りになられることはないだろう。

 動きが俊敏で、なかなか捕まえることができないと言われている錦ナマズ、1匹だけでも貴重なのに5匹とは喜ばしい事だ。


 しかし、多くの錦ナマズを捕まえて来たとしても、褒美の宝物は変わらんぞ。」

 そう言って三四郎は2つの宝箱を持ってきた。

 一つ目を開けると、中には小さな指輪が・・・。


「回復の指輪だ。

 歩いている時や、戦っている時など、行動していると、体力や魔法力が少しずつ回復していくという、大変ありがたいアイテムだ。


 これからの冒険をこなすには、必須なアイテムと言えるだろう。

 主に戦闘する奴とか、魔法を駆使する奴とかに持たせると効果が大きい。

 一つしかないから、心して使え。」


 三四郎はそう言って胸を張る。

 その指輪には、弁当箱の絵が刻まれている。

 やはり、錦ナマズに含まれていた指輪のようだ。


「あっ・・・ああ、そいつは貴重な指輪だね。

 ありがとう。」

 すでにたくさん持っているよと言う訳にもいかないので、ありがたがって頂いておいた。

 もう一つ目を開けると、そこには1枚の大きな鱗が・・・。


「こいつは、この村の宝の一つである、地竜の鱗だ。

 地上の中で最も硬く、この鱗を貼りつけた物も、最高強度を誇るようになると言う言い伝えがある。」

 ほう、こいつが地竜の里でのクエストアイテムか・・・、これで先へ進む道筋が開ける。

 ありがたく頂戴した。



 もう時間も遅いので、この日もそのまま地竜の里に宿泊することになった。

 村では、地竜様に祈りをささげる祭りが始まったようだ。

 日本の村祭りさながら、キャンプファイヤーのように巨大なやぐらを組んで火を熾し、火の粉が飛び交う中で、神事が行われている。


 ムツじいさんが、神主さんのように祈祷を捧げながら、祭壇に供物である錦ナマズを供える。

 祝詞のように大声を張り上げながら、天に向かってお祈りしている最中、里の人たちは中央の巨大な焚火を囲んで、盆踊りのようにぐるぐるとまわりながら踊りを踊っている。

 どこか、懐かしい情景だ。


「あんたたちが、この祭りが滞りなく執り行えることへの最大の功労者だ。

 ぜひ、祭りに参加して行ってくれ。」


 三四郎さんに、無理に駆り出されて、俺達も一緒に踊りの輪の中に入って行く。

 屋台は出ていなかったが、祭りの途中で野菜や肉の煮物のような鍋が振る舞われて、腹いっぱいごちそうになった。


 祭りがひと段落した頃、今日の冒険の放送が始まった。

 その放送の後、中継先が切り替わり、見慣れた風景が映し出される。

 どこかの港町・・・、ファブだ。


 琥珀の直方体に閉じ込められたヤンキーパーティとαテレビスタッフ及びグリーンマンの体が、元ギルドの建物の中へと収容される。

 イエローマン達超人が、約束通り彼らの体を運び入れてくれたのだ。


 そうして最後にテロップが・・・、いつの日か魔神が倒されて、彼らが解放されますように・・・、と書かれていた。

 最後に、いつものようにお祈りの時間が来た。


 今回から、ヤンキーパーティたちが琥珀の檻から解放されますように、という願いも追加されたようだ。

 しかし、当事者全員が願わなければならないと言うルールから言うと、魔神が倒されない限り、開放されることはないだろう。

 そんなことは皆も分かってはいるのだろうが、願わずにはいられない。



                   続く


さあ、琥珀に閉じ込められた、ヤンキーパーティやグリーンマンたちはどうなるのでしょうか?また、ホワイトマンは復活できるのでしょうか?


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