第84話
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そうか、プレミアムの魔物たちの狙いは錦ナマズか・・・、そいつはまずい、地竜様へのお供え物が無くなってしまう。
『ダッ』俺は焦って、金色ゴリラたちに向かって駆け出す。
『シュッシュッシュッ』俺の傍らを源五郎の矢が追い抜いて行き、瞬時に数匹の金色ゴリラに命中・・・と思いきや『シュバッシュバッ』金色ゴリラたちは、右腕で簡単に射られた矢を振り落す。
「おりゃぁ」
『シュッパーン』『ピカッ』『ガキッ』会心の一撃・・・かと思われたが、金色ゴリラの体が、一瞬眩く輝いたかと思うと、脳天目がけて振り下ろした剣を右腕で受け止められた。
「たあっ!」
『シュッパーン』『ピカッ』『ズボッ』返す刀で、右わき腹を狙ったが、またもや体が光り、俺の一撃は腹に少しめり込んだだけで、止まってしまう。
『ドッゴーン』次の瞬間、強烈な右手の突出しを食らい、俺の体は後方へ吹き飛ばされた。
『ズザザザザザッ』「あいたたた・・・」
洞窟の岩がごつごつと突き出た地面を削りながら、俺の体は数メートルは飛ばされ、目から星が出た。
ダメージ半減でなければ、気絶でもしていただろうか、と思えるほどだ。
「りゃぁっ!」
『パッシュン』『ガキッ』『パシュパシュパシュパシュッ!』
ツバサの初撃もブロックされたが、すぐに下からえぐるようにアッパー気味の一撃が炸裂。
金色ゴリラの体は宙を飛び、頭から地面に落下する。
そうか、攻撃をかわされても、溜めを作らずにすぐに次の攻撃に転じなければ、金色ゴリラクラスになると受けられてしまう訳か。
そうなると、初撃を躱されたことを想定して、次の攻撃を考えておかなければいけないな・・・。
「たありゃっ!」
『シュッパーン』『ピカッ』『ガキッ』『シュパシュパシュパァーン!』これぞ会心の一撃、袈裟懸けに振り下ろした一撃を右腕でガードされるや否や、その反動を逆に利用して切先の方向を修正し、左肩口目がけて2撃目を入れる。
金色ゴリラは、そのまま前のめりに崩れ、奴が再度光る前に2撃目を入れ、仕留めることができた。
どうやら体が光るのは、鋼鉄化か何かわからないが、瞬時に体を堅くして、攻撃を弾き返す能力なのだろう。
イエローマン達のような超人相手では、そのような防御すら効かなかったから、簡単に倒されていたように見えたのだろうが、俺達クラスでは簡単に倒せるような相手ではなかったようだ。
一撃剣自体が、プレミアアイテムだったから、そのままでも攻撃力は今までの剣に比べて格段に大きいのだろう。
だから、それを会心の一撃と勘違いしていたようだが、今のが会心の一撃のようだ。
「りゃぁぁっ!」『パシュパシュパシュパシュッ!』
ツバサの素早い攻撃が炸裂し、金色ゴリラの体が宙を舞う。
うーん、もしかすると、先ほどの攻撃は俺に戦い方を教えるために、わざと受けられたのかも知れないな・・・。
「たりゃっ!」
そう思いながら、次の金色ゴリラへ向かって行く。
『ポチャッ』すると、金色ゴリラたちは、それまで左手で放さず持っていた錦ナマズを、地面に落とした。
どうやら状況がまずいとみて、本気で戦うつもりのようだ。
『シュッシュッシュッシュッ』
源五郎の矢が、金色ゴリラたちに襲い掛かって行く。
『パシュッパシュッパシュッ』金色ゴリラたちは、今度は両手を使って矢を振り払う。
「とぉりゃぁっ!」
『シュパシュパシュパシュッパーン!』俺の右わき腹をえぐるようなアッパー気味の一撃が炸裂し、金色ゴリラの体が、真っ二つに切り裂かれる。
源五郎の矢に気を取られていたおかげで、俺の下からの攻撃が決まったようだ。
「たぁりゃっ!」
『シュッシュッシュッ』『ドッゴーン!』すかさず、次の獲物に剣を振り上げ、金色ゴリラが身構えたところに源五郎の矢が脳天に命中。
金色ゴリラはそのまま仰向けに倒れた。
うまいぞ、これぞ連係プレーだ。
「魔法力増強?(ダブル)・・・・爆裂雷撃!」
レイが唱えると、極太の閃光が洞窟内にきらめき渡る。
先ほどから、何回か光っていたのはこれだったのか・・・。
金色ゴリラは、瞬時に移動して稲妻の直撃を避けているのだが、それでも行動範囲を狭められ、バラバラに分断されている様子だ。
「とぅっ!」
そんな中をツバサが駆け回り、飛び蹴りや一撃ナックルをかましていく。
「おりゃぁぁーっ!」
『シュパシュパシュパシュッパーン!』雷に気を取られていた1匹に俺の一撃が決まり、金色ゴリラはそのまま地面に沈んだ。
「ふうっ・・、ようやく倒せたな。」
十数分ほどで、数匹いた金色ゴリラは、全て地に臥した。
『ぴちゃっぴちゃっ』洞窟の地面には、金色ゴリラたちが捕まえていた錦ナマズが元気に飛び跳ねている。
「おっとっとっとっ・・・」
それを源五郎が捕まえては、袋に詰めて行く。
「奴らの分を横取りの様で気が引けるけど、本来ならこの洞窟に居るべき奴らではないですから、いいですよね。
全滅したら困るから、元気そうな奴らは池に戻しておきましょう。」
源五郎が明るく笑いながら選別して、数匹を池に戻す。
「5匹も持っていけばいいですよね。」
「ああ、そうだな。」
錦ナマズがどんな攻撃力を持っていたかは不明だが、簡単に手に入れることができたのは幸いだ。
「これって・・・。」
ふと、洞窟の隅の方で下を見ていたレイが、きらめく金属製の物を拾い上げる。
錦ナマズの骨に混じって、どうやら指輪のようだが、どうしてこんなところに・・・。
「恐らく、金色ゴリラたちが食った残骸だろう。
錦ナマズの体の中に入っていたと考えたほうがよさそうだな。
食えないから、骨と一緒に吐き出したのだろう。
海竜の時のアンコウナマズのように、何か特典のある指輪かも知れないぞ。」
指輪を眺めるレイの元に、皆が集まって来た。
「弁当箱の絵が彫られていますから、回復系のアイテムですかね。」
「恐らくそうだろう、体力と魔法力、両方回復するとありがたいな。
一番魔法力を使う、レイが付けているのがいいだろう。」
俺は、指輪をそのままレイに付けさせることにした。
「まだ、こっちにもありますよ。」
ツバサが、反対側の奥で叫ぶ。
どうやら、金色ゴリラたちが食い散らかした残飯の中に、指輪が含まれているようだ。
洞窟中を探したら、合計42個の指輪が見つかった。
うーん、こんな大量に錦ナマズは食われてしまっていたか・・・。
池の中に何匹生息していたのか不明だが、危ないところだった。
全員が一つずつ指輪を付けることにして、後は他の奴らに配ればいいだろう。
テレビスタッフたちと協力して、なるべく岩が少ない地面を掘って、金色ゴリラたちの死骸を埋める。
硬い洞窟の地面に穴を掘るのは重労働だったが、それでも、こんな大量の死骸を外まで運び出すのはもっと大変だろう。
ついでに、小さな穴を掘って、錦ナマズの骨も埋めてやった。
奴らも、まさか魔物たちの餌になるとは思っていなかっただろう。
洞窟を後にして、地竜の里へ向かう。
「お疲れ様でした、すぐに編集にかかります。」
待ち構えていたテレビスタッフが、ビデオのメモリを受け取ると、忙しそうに中継車の中へと引っ込んで行った。
もう夕方だ、放送まであまり時間がないので、焦っているのだろう。
「おお、これは錦ナマズ・・・、しかも5匹も。
お供えは1匹だけで良かったのだがのぅ・・・。」
ムツじいさんが至極残念そうに上目づかいで、俺の顔を眺める。
「仕方がないのだ、洞窟内は魔物たちが一杯で、錦ナマズを食おうと捕まえていた。
魔物たちを倒した後、元気なものは池に戻したが、死にかけていた奴を持ってきた。
但し、死んじまっていた奴じゃない、あくまでも生きていた奴だけを持ってきたつもりだ。」
ムツじいさんにいきさつを説明する。
「まあ、いいじゃないか、お供え物が多くて海竜様が喜ぶことはあっても、お怒りになられることはないだろう。
動きが俊敏で、なかなか捕まえることができないと言われている錦ナマズ、1匹だけでも貴重なのに5匹とは喜ばしい事だ。
しかし、多くの錦ナマズを捕まえて来たとしても、褒美の宝物は変わらんぞ。」
そう言って三四郎は2つの宝箱を持ってきた。
一つ目を開けると、中には小さな指輪が・・・。
「回復の指輪だ。
歩いている時や、戦っている時など、行動していると、体力や魔法力が少しずつ回復していくという、大変ありがたいアイテムだ。
これからの冒険をこなすには、必須なアイテムと言えるだろう。
主に戦闘する奴とか、魔法を駆使する奴とかに持たせると効果が大きい。
一つしかないから、心して使え。」
三四郎はそう言って胸を張る。
その指輪には、弁当箱の絵が刻まれている。
やはり、錦ナマズに含まれていた指輪のようだ。
「あっ・・・ああ、そいつは貴重な指輪だね。
ありがとう。」
すでにたくさん持っているよと言う訳にもいかないので、ありがたがって頂いておいた。
もう一つ目を開けると、そこには1枚の大きな鱗が・・・。
「こいつは、この村の宝の一つである、地竜の鱗だ。
地上の中で最も硬く、この鱗を貼りつけた物も、最高強度を誇るようになると言う言い伝えがある。」
ほう、こいつが地竜の里でのクエストアイテムか・・・、これで先へ進む道筋が開ける。
ありがたく頂戴した。
もう時間も遅いので、この日もそのまま地竜の里に宿泊することになった。
村では、地竜様に祈りをささげる祭りが始まったようだ。
日本の村祭りさながら、キャンプファイヤーのように巨大なやぐらを組んで火を熾し、火の粉が飛び交う中で、神事が行われている。
ムツじいさんが、神主さんのように祈祷を捧げながら、祭壇に供物である錦ナマズを供える。
祝詞のように大声を張り上げながら、天に向かってお祈りしている最中、里の人たちは中央の巨大な焚火を囲んで、盆踊りのようにぐるぐるとまわりながら踊りを踊っている。
どこか、懐かしい情景だ。
「あんたたちが、この祭りが滞りなく執り行えることへの最大の功労者だ。
ぜひ、祭りに参加して行ってくれ。」
三四郎さんに、無理に駆り出されて、俺達も一緒に踊りの輪の中に入って行く。
屋台は出ていなかったが、祭りの途中で野菜や肉の煮物のような鍋が振る舞われて、腹いっぱいごちそうになった。
祭りがひと段落した頃、今日の冒険の放送が始まった。
その放送の後、中継先が切り替わり、見慣れた風景が映し出される。
どこかの港町・・・、ファブだ。
琥珀の直方体に閉じ込められたヤンキーパーティとαテレビスタッフ及びグリーンマンの体が、元ギルドの建物の中へと収容される。
イエローマン達超人が、約束通り彼らの体を運び入れてくれたのだ。
そうして最後にテロップが・・・、いつの日か魔神が倒されて、彼らが解放されますように・・・、と書かれていた。
最後に、いつものようにお祈りの時間が来た。
今回から、ヤンキーパーティたちが琥珀の檻から解放されますように、という願いも追加されたようだ。
しかし、当事者全員が願わなければならないと言うルールから言うと、魔神が倒されない限り、開放されることはないだろう。
そんなことは皆も分かってはいるのだろうが、願わずにはいられない。
続く
さあ、琥珀に閉じ込められた、ヤンキーパーティやグリーンマンたちはどうなるのでしょうか?また、ホワイトマンは復活できるのでしょうか?




