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もしも願いがかなうなら  作者: 飛鳥 友
第6章 四竜の章2 地竜編
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第75話

                    5

「ああ、クエスト番外編とかで、ターリキー町での1日として最後の方に放送されている奴らの事だろ?

 海での魔物退治ばかりで間延びするから、目新しい事をするためにわざと別れたのかと思っていたぜ。

 そいつらの代わりを募集中という訳か。


 今この地には、4チーム16人が来ていて、残りはヨースル近辺の魔物たちを一掃するために残っている。

 そいつらもいずれはこっちへ来るとして、それでも一緒に行けるのは今のところは2チームだけだ。

 ファブのギルドの受付嬢は、とりわけ美人だったから、また会えるのはうれしいね。」


「おお、2チームも来てくれるのは大変ありがたい。

 また、4時間交代で回ることができる。」

 俺は、そいつに向かって右手を差し出し、結局そいつのチームと、もう1チームが一緒に来てくれることになった。


 こういったことも日々のテレビ放送のおかげだろう、俺達の日常が放送されているので、いちいち説明しなくても、冒険の進み方を、みんな理解しているのだ。

 そのうちに、シメンズだけの冒険ではなく、みんなが参加しての冒険だと言う事になってくれるとありがたいと、つくづく感じる。


「チーム戦闘集団 リーダーのジャックナイフ、レベルはSだ。」

「チーム協奏曲 リーダーのフルートだ、レベルはT。」


 アロハレベルもレベルTに上がっていることだし、特段、彼らに遅れを取っていると言う事もなさそうだ。(ちなみに、ツバサも昨日レベルRに上がった。)

 荷物をまとめて宿を引き払ってもらい、船に戻って、さあ出航だ。



「東部大陸が見えたぞー。」

 見張りの船員が大声で叫ぶ。


 チコリを出向して3週間目の事だ。

 洋上での魔物退治のレベルはそれほど高くはなかったが、それでも長期間という事もあり、俺達のレベルも一つ上がって、俺を含め3人はレベルOで、ツバサがまた一つ上がってレベルQになった。


 レベル的には、ついに折り返し地点と言ったところだ。

 まあ、これより先は、今までよりもなお一層到達レベル間隔が広くなり、上がりにくくなるのだろうが・・・。


 他の冒険者たちも、レベルを一つずつ上げて、RとSに上がっている。

 これにより、シメンズが分れて他チームと編成し直す必要性は無くなった。

 彼らは元のチーム編成になっても、外海での洋上のクエストを引き受けられるレベルにまで成長したのだ。


「海図を見る限り、目的地は大きな川をさかのぼった先だ。

 この船で川を遡上できるかい?」

 海図を手に、船長に相談する。


「見たところ、川底が浅すぎてこの軍艦じゃ入って行けないね。

 すぐに座礁してしまう。

 今、接岸できる場所を探しているから、そこから川伝いに移動するしかないね。」


 うーん、船のまま行けると楽だったのだが仕方がない。

 まあ、余り楽ばかりしていると、人間碌な事にはならないから、いいのかも知れないが・・・。

 なにせ、このところ洋上での雑魚魔物の相手ばかりで、少し体がなまり気味だ。


 2チーム加わってくれたおかげでシフトも楽になり、腹回りの贅肉が気になりだしたところだ。

 河口脇の砂浜の一部がえぐれていたところを見つけ、そこに船尾から着岸してから板を渡して、中継車ごと上陸することができた。


「じゃあ、君たちは引き続き北極海の魔物たちを一掃してくれ。」

 船に残った3チームは、ブルーマンと一緒に引き続き洋上での魔物退治だ。


 彼らにもヘッドカメラとインカムを装着して、専属のテレビスタッフを付けて、毎日のクエスト状況を放送するらしい。

 これにより、ターリキーの町の分と、3元中継が放送できると、テレビスタッフも喜んでいた。


 そのうちに、この星中の町でのクエストが放送されるようになり、オラが町のクエストなんてコーナーに、なるのではないかと、俺は苦笑いを浮かべる。


 気になるのは、ギルド部屋に寄ってみたのだが、この地に関するクエストが発生していなかったことだ。

 受付嬢に聞いてみても、明確な答えは返ってこなかった。

 やはり持ち場区分などあって、ギルド部屋のクエストは洋上に限られるのだろうか。


「じゃあ、出発だ。」

 久しぶりの中継車での旅が始まる。

 見渡す限りの荒れ果てた平原で、所々に樹木がある以外は建物など見当たらない。


「あれ?ここって・・・、前に見たことがありませんか?」

 暫く川沿いのルートを走ったところで、ふと源五郎が呟く。


「ああ、デジャブという奴だろ?

 今までに見た景色とどことなく似通っていて、一度来た場所のような気になるっていう。

 まあ、この星にはよくある景色だから、そういった錯覚だろう。」

 俺は、そう言いながら周りを見回し、成程と頷く。


「いえ・・・、そう言った訳では・・・、あの・・・。」

『キッキィー』突然車が急ブレーキをかける。


「何か襲ってきます。」

 ドライバーが指さす前方には、真っ黒い塊が浮遊していて、まっすぐにこちらに向かってきている。


「うん?鳥人か?いや、違うな、鳥人にしては色が黒すぎる。

 それに、なんか手に持っているし、尻尾も長いな・・・。」

 それは、羽の生えた人型の生き物で、手には先端が3本に分れた槍のようなものを手にしている。


「とりあえず、応戦だ。車がやられるとまずい。」

 俺たちはすぐに車から降りて、迎え撃つことにした。

『シュッシュッシュッ』すぐに源五郎が矢を放つが、相手の動きは素早く、簡単に躱されてしまう。


強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)!」『ドサッドサッ』

 レイの魔法で、数匹の魔物が翼を凍らされて、地面に落ちる。

 すると一団は分裂し、俺達の上方に散らばった。


「来るぞ!」

 俺達を包み込むようにして展開した奴らは、一気に襲い掛かってきた。

『シュッシュッシュッシュッシュッ』源五郎が回転しながら円周状に矢を連射して、少しでも集団をばらけさせる。


「おりゃぁー」

 先頭で襲い掛かってくる奴目がけて、俺は炎の剣を振るう。


 見ると、羽と思っていた翼は、蝙蝠のように骨組みを薄い膜で覆ったような形をしていて、細身の胴体と手足には長い指が生えている。

 そうして真っ黒な尻尾は異様に細くて長く、その先端はダイヤ型をしているようだ。


 垂れ下がった鼻と、ぎょろりと大きな目にとんがった耳、大きく裂けたような口と、いわゆるおとぎ話などに登場してくる、悪魔然と言った格好だ。

『キィーン!』『グザッ』相手の左肩から袈裟懸けに斬りつけた俺の第一撃は、三つ又の槍で弾かれたが、返す刀で水平に腹をえぐる。


「ぎゃあーっ!」

 ダイヤ尻尾の悪魔は、左わき腹を押さえながら上空へ逃げる。


「ぎぃやーっ」『ガギッ』今度は前後の高い位置から、三つ又の槍を俺の頭部目がけてついて来た。

『ゴツッ』前からの槍は盾で防いだが、後頭部に一撃を食らい、前によろめく。


「りゃぁーっ」

 俺は、2撃目を食らわないよう、振り向きざまに水平に剣を振りぬいてみた。

『スカッ』『ゴンッ』しかし俺の一撃は空振りし、さらに、またもや後方から槍で小突かれる。

 暗黒の兜の強度で何とか持っているが、何発も食らうのはまずい。


「おりゃぁっ」

 俺は、高い位置の頭部や胴体攻撃をあきらめ、宙に浮かんでいるダイヤ尻尾悪魔のひざ下をめがけて、剣を水平に回転しながら振った。

 重い剣を振り上げていたのでは、とてもスピードについていけないからだ。


「ぎゃあーっ」

 意外と効果があるようで、攻撃されたダイヤ尻尾悪魔は、浮かんでいられなくて地に降り立ったところを

「おりゃあー・・・」

 すかさず俺が切り付けていく。


「たぁりゃっ」

 上空から狙いを定めて急降下してくるダイヤ尻尾悪魔の攻撃をかわしながらツバサが跳躍し、逆に上方から踵落としをさく裂させる。

『グギャッ』ダイヤ尻尾悪魔は小さな悲鳴を残し、地面に叩きつけられた。


強冷凍(カチ)!きゃあっ!」

 至近距離から放ったレイの魔法は成功したが、空中で体を入れ替えたダイヤ尻尾悪魔に、のしかかられてしまう。

 まずい危険だ。


「うおぉぉーっ」

 俺はすぐに駆け寄り、悪魔の脇腹目がけてぶち当たり、突き飛ばす。

 周り中、一気に襲い掛からんとダイヤ尻尾悪魔が群がってきている。


強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)!」『ドサッドサッ』

 レイの魔法で、周囲のダイヤ尻尾悪魔が地に落ちた。


『グザッグザッグザッ』俺はすかさずそいつらの元へ駆け寄り、炎の剣で突き刺し止めを刺す。

 空中では素早い動きの奴らも、翼が使えなければ、その細い手足では地面を蹴って飛び上がることも出来ないのだろう。

 ほぼ無抵抗の奴らを相手にするのは気が引けるが、相手の数が多いので、きれいごとなど言ってはいられない。


『シュッシュッ』「わわっ・・・」

 矢を射かける源五郎の所にも、肉弾戦を試みるダイヤ尻尾悪魔が、飛びかう矢にめげずにのしかかろうとする。

 まずい、今度は源五郎の元に駆け付けようとするが・・・


『ドサッ』源五郎に襲い掛からんとしていた悪魔は、そのまま横に崩れ落ちる様に仰向けになった。

 腹には無数の矢を受けているようだ、源五郎がすかさず連射したのだろう。 


「はあはあはあはあ・・・。」

 20分ほどはかかっただろうか、ようやく10匹ほどのダイヤ尻尾悪魔を退治し終えた。


『ドドドドドッ』クエストアイテムかも知れないので、ダイヤ尻尾悪魔の尻尾でも切り取っておこうかと考える間もなく、灰色の巨大魔物の群れに囲まれる。

 4つ足で、突き出た鼻先の上に角がある、いわゆるサイのような魔物だ。


 しかし、よく見ると、そいつの前足の肩口には、垂れ下がった板状の皮膚が。

『シュッシュッシュッ』『カンカンカン』源五郎が射た矢は、全て板状の皮膚に弾かれてしまった。

 いわゆる、盾というか鎧に覆われている魔物のようだ。


 数十頭の群れは、中継車を背にした俺達を取り囲むと、こちらを向いて狙いを定めているかのようだ。

 うーむ・・・、一気に押し寄せられても、躱すことは出来そうもない。

 なにせ、中継車を壊されては大変だ。


『タタタタタッ』「たありゃぁっ!」瞬間ツバサが駆け出して、集団中央の一頭目がけて飛び蹴りだ。

『ドン!』『ズザッ』頭頂部に思い切り蹴りを入れようとすると、頭をすぼめて肩を出して、鎧のような皮膚で弾き返されてしまう。

 流石のツバサも、そのまま弾き飛ばされてしまった。


『ダダダダッ』「おりゃぁー!」『カッキーンッ』

 俺も駆け出して、ツバサが攻撃した数頭隣のヨロイサイ目がけてマグマの剣を振るうが、これも鎧のような皮膚に弾かれてしまう。


『ザザッ』『ビュッ』『グザッ』何とか、足を踏ん張り体勢を立て直すと、今度は下側から突き上げる様に、剣を突き刺して見る。

『ズザッ』両前足の中央部分の胸元を突き刺した一撃で、ヨロイサイは地に臥せった。

 どうやら体の表側というか上部は、鎧に守られていて防御力が高いようだが、腹部分はそうでもなさそうだ。


「ツバサっ・・・、上からでなく、下から攻撃しろ。

 こいつらの腹は、それほど硬くない。」

 俺が叫ぶと、ツバサもうなずく。


「たありゃぁーっ」『ダダッ、バシュッ』ツバサの前蹴りが炸裂した。

 胸を蹴り上げられ、のけぞった顎を更に蹴り上げられたヨロイサイは、脳震盪を起こしたのか、フラフラだ。



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