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もしも願いがかなうなら  作者: 飛鳥 友
第4章 自分の気持ち
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第44話

                     2

 鏡に通路が映りこんでいる場合があるので、時折激突してしまいそうになる為、手を伸ばして先の様子を伺いながら進んで行く。

 まさに、手探り状態だ。


 鏡に反射して、電波は通る・・・かどうかは分からないので、とりあえず曲がり角ごとに中継箱を付けて行く。

 魔物は、洞窟お約束の、こぶヤモリとコロネサソリが襲い掛かって来た。

 どちらも、火を吹いて襲い掛かってくるのだが、ツバサの敵ではなかったし、ツバサが撃ち漏らした魔物は源五郎やレイが倒して行く。


 洞窟とはいえ、鏡張りの反射があるせいか、少ない明かりで十分に視野が確保されるため、魔物の襲撃の際は助かる。

 これなら、さほど厳しいレベルではないと、少し気も緩んできた頃。

 最初に異変に気付いたのは、ツバサだった。


「あれ?あたしの胸の所が光ってる・・・。

 きゃあっ・・・」

 突然、悲鳴をあげてツバサが倒れた。


「ど・・・どうした?大丈夫かい?」

 すぐに源五郎が駆け寄って、ツバサを抱き起す。


 見ると、ツバサの左肩部分の道着が、黒く焦げたようになっている。

 急いで、その部分に直接薬草を当ててやっているようだ。


「どうした?攻撃を受けた様子もなかったし、大体、敵の魔物の姿も見えなかったぞ。」

 俺は、周囲を見渡し警戒するが、動く影すら確認できない。

 飛び道具だろうか・・・、いや、何かが飛んできた音すら聞こえては来なかったはずだ。


「最初は胸のあたりに淡い光が当たったのが見えたですが、すぐに強い光に変わって・・・、瞬間的に体をひねったのですが、避けられませんでした。

 まだまだ修行が足りませんね。」

 何とか体を起き上がらせて、ツバサが俯く。


「いや、不意打ちのようなものだから、仕方がないよ。

 とうやら、レーザーのような殺人光線を出せる魔物が居るのだろう。

 恐らく、鏡の反射を利用して、姿を見せずに狙っているのだと思う。


 だから、最初はマーカーのような弱い光を発射し続けて、ターゲットがうまくそのエリアに入ったら、攻撃用の強い光線に切り替えるのだろう。

 鏡の洞窟の利点を生かした攻撃のようだ。


 飛び道具といっても、反射して曲がって来るし、姿を見せずに正確に狙ってこられるから、こちらとしては打つ手がないね。

 一旦洞窟の外へ出よう。」


 そう言って、俺は1時的な退却を指示する。

 なにせ、2ヶ月は先に発生するであろうクエストなのだ。

 相当高レベルな戦いが予想される。


 入り組んだ洞窟でも、分岐のたびに源五郎が進んだ道の方向へ地面に矢印を書き込んでいたので、迷わずに最短ルートで戻ることができた。


「いやあ、参りましたね、姿を見せないスナイパーといったところでしょうか。

 こちらのマシンガンをお貸ししましょうか?」

 いつもの、インカムを付けたテレビスタッフが、洞窟から出た俺たちをお出迎えだ。


「いや、それよりも、スプレー缶はないか?

 壁とかに色を塗るやつなんだが・・・、こんな形で・・・。」

 俺は、この星にも塗料のスプレー缶があるかどうかわからないので、とりあえず地面に絵をかいて説明してみた。


「ああ、ありますよ、テレビの取材の時など、背景が寂しければ色付けしますから。

 でも、今持っているのは映像を重ねるためのクロマキー用なので、緑の1色しか準備していませんが・・・。」

 スタッフは、そう断わりながらスプレー缶を箱ごと中継車から持ってきてくれた。


「ああ、ありがとう、色は何でも構わないんだ。

 あるだけ貰いたい。」

 俺はそう言って、スプレー缶の箱をリアカーに積んで、とりあえず、1本ずつ皆に持たせた。


「全ての鏡にスプレーする必要性は全くない。

 何枚もの鏡に反射させて狙ってくるのだから、そのうちのどれか1枚だけでも色を付ければ、それ以降は狙ってこられなくなるわけだ。


 だから、所々の壁を塗りつぶしていくだけでいい。

 しかも、綺麗に塗る必要性もない。

 反射させないためだから、少し離してスプレーを吹き付けて、鏡の光沢を低減するだけでも格段に威力が落ちると思う。


 ゆっくりと塗りながら、進んで行こう。」

 そう言って、再度ダンジョンにチャレンジだ。


『カラカラカラカラ・・・プシュー』ツバサと源五郎が、少し進むたびに壁の鏡を塗りつぶしていく。

 ツバサは、こぶヤモリたちを軽快なフットワークで倒しながら、壁を塗って行く。

 なんか、見た目はちょっと楽しそうだ。


 レイと俺がはるか前方を警戒する。

 すると・・・、はるか向こうの方に、何やら動く影が・・・、その姿には見覚えがあった。

 始まりの村の南にあった、封印の塔の外にたむろしていた小悪魔たち・・・・、しかし、色は白いので、鏡の洞窟内では、目立ちにくい。


「レイ、魔物だ!」

 俺が叫び、レイもうなずく。

 白小悪魔の頭に生えている2本の触角のような先が光る。


爆裂雷撃(ビカ)!」

 同時にレイも魔法を唱える。


「危ない!」

 俺は体当たりでレイの体を壁に突き飛ばした。


『ヒュン!』という音がしたかどうかは不明だが・・・、レイのいた辺りの真後ろの、スプレー缶で塗ったばかりの壁が、真っ黒く焼け焦げた。

 ほぼ同時に、『ドーン』という衝撃音と共に、はるか先の小悪魔の体が眩く光り、その場に崩れ落ちた。


 やったのだ、壁を塗りこめられて行き、攻撃方法を失った白小悪魔が、直に見て狙いを定めようと姿を現したがために、何とか倒すことができたようだ。


「1匹だけとは限りませんね。

 壁は塗り続けましょう。」

 源五郎が、リアカーに空のスプレー缶を置くと、新品の缶を振りながら言った。


 その後も、度々襲い掛かってくる白小悪魔たちを打ち倒しながら、先へ進んで行く。

 姿さえ現せば、源五郎の弓でも倒すことは出来たし、時にはツバサが驚異的な速さで瞬間的に間を詰めて、打ち倒すことも出来た。


 さすがに、俺の出番はなさそうなので、雑魚魔物退治を主体に頑張ることにした。

 暫く進むと、行き止まりの広い空間に出た。

 その空間の端には、ピンク色の光を発する場所がある。


「ヒーリングゾーンだな。一旦休憩しようか。」

 そう言って、俺達はピンク色の光に包まれて、身も心もリフレッシュした。

 ところが、ヒーリングゾーンを出た途端、真っ白な板のようなものが襲い掛かってくる。


「えぃやー!」

 すぐさま、ツバサがそいつに向かって、回し蹴りをかます。

 しかし、その攻撃は空振りに終わり、ツバサのすぐ後ろに、瞬間的にそいつは移動した。


「おりゃ!」

 俺が、マグマの剣で切り付ける・・・が、その攻撃も空振り、またもや俺の背後に瞬間的に移動する。


爆裂雷撃(ビカ)!」

『ドーン!』という衝撃音がするが、すぐにその影は別の場所へ瞬間的に移動している。


『カラカラカラカラ・・・プシュー・・・プシュー』突然、源五郎が周りの壁にスプレーを塗りたくり始めた。


「りゃっ!」

 それから、ツバサが飛び蹴りを食らわせると、そいつはクルクルと錐揉み状に回転しながら、地面に激突した。


「あ・・・当たった・・・。」

 ツバサの顔に笑顔が浮かぶ。

 そいつは、小悪魔の顔だけを切り取って拡大したような、いわゆる悪魔の面だった。


「どうやら、鏡の反射を利用して、瞬間的に移動できるようですね。

 鏡を塗ってしまえば、怖くありません。」

 源五郎が、スプレー缶片手に叫ぶ。


 再びふわりと浮かび上がった、悪魔の面の目が光る。


「危ない!」

 俺はツバサの体を、体当たりで突き飛ばし、代わりに俺が眩いばかりの強い光に包まれる。

(やられた・・・が、痛みはない、即死だろうか・・・これでは復活の木の葉も無理か・・とか薄れゆく意識の中で考えて行く・・・が、あれ?)


 目を開けたら、視界に飛び込んできたのは、ツバサやレイが悪魔の面に攻撃を仕掛けている姿だった。

 そうか・・・、俺の鋼の鎧は金属製で光沢があるから、レーサー光線も乱反射してしまい、威力は激減してしまうのだ。


 そうと分れば・・・

「俺は奴らの光線は平気なようだ、俺が片付ける。

 反射した光に当たらないよう、俺の後方に回ってくれ。」

 そう言って、俺は剣を構えた。


 レイたちがすぐに、後ろへ下がって行く。

『ピカッ』悪魔の面の目が光るタイミングに合わせて、俺は駆けだして思い切り振りかぶると、真っ二つに切り裂いてやった。


「目でも取り出せば、光線銃として使えないかしら。」

 地面に転がっている悪魔の面を眺めながら、レイが呟く。


 確かに、その目はダイヤモンドのように光り輝く宝石のようだ。

 念のため、剣先でえぐって取り出しておく。


「本日はご苦労様でした。

 とりあえず、先ほどの大きなお面との対決シーンまでを本日分として放送します。

 その後、今日のお祈りの時間には連絡しますから、それまでは休憩していてください。」


 突然、インカムにテレビスタッフから無線連絡が入った。

 そうか、もうそんな時間か・・・、俺達は魔物の死骸をリアカーに積むと、各自の袋から弁当を出して夕食をとる。


「まだ、洞窟は分岐がありそうだから、今日の所はここで泊まりだな。

 ヒーリングゾーンに入っていれば、敵も襲っては来ないだろう。

 テントは持ってきていないが、それでいいな?」


 俺は、弁当を食べながら、レイとツバサの方へ向き直る。

 2人とも、こっくりと頷いた。

 放送が終わって、今日のお祈りが終わると、そのままヒーリングゾーンで就寝だ。

 


 翌朝、夜も明けないくらいの時間から出発だ。

 交代ではなく、全員が就寝したので睡眠時間は十分だ。

 火吹きこぶヤモリや、コロネサソリを倒しながら進んで行く。


 途中から、火吹き蝙蝠も混じって来て、数も増えたが大変とは感じなくなってきた。

 分岐点まで戻ってから新たな道を進んで行く。


 勿論、洞窟壁面の鏡はペンキで塗りつぶし、時折襲ってくる小悪魔に注意しながら進む。

 そうして洞窟最深部に辿りつくと、そこには全身が透明で向こう側が透けて見える、クリスタルで出来たような武者が剣を構えていた。


爆裂雷撃(ビカ)!」

『ドーン』という雷鳴と共に、クリスタル武者が稲光に包まれるが、少し動きを止めた程度で、勢いよくこちらの方に向かって来た。


『カキーン、シャキーン』俺のマグマの剣と、切先が交差する。


「おりゃーっ!」

 ツバサが、壁を蹴って高く舞いあがると、側面から回転蹴りをクリスタル武者の側頭部に食らわせる。


『ガキン!』しかし、鈍い金属音がしただけで、ツバサの方がそのまま跳ね返される。


『シュッシュッシュッシュッ』源五郎が矢を射かけるが、全て堅いクリスタルに弾かれてしまう。

『シュパッ』ツバサがキックをあきらめ、氷の爪に切り替えて攻撃を仕掛ける。

「ぐぅおーっ!」

 しかし、クリスタル武者の振り回した左腕に跳ね飛ばされて、洞窟の壁に激突してしまう。


爆裂火炎弾(ボウ)!」

 レイが、マグマの杖を振りかざし、増幅された火炎弾を放つが、クリスタル表面に煤を付けた程度の効果しか得られない。


強冷凍(カチ)!」

 今度は、武者を凍りつかせようとしたようだが、武者は意に介さずに暴れ続けている。

 その後も様々な魔法を試している様子だが、動きを止める事すらできてはいない。


『ジュパッ』マグマの爪を用いて鎧の表面をえぐってみるが、やはり大きな効果はない。

 蹴り技の方が、威力は大きいのだが、硬い装甲のクリスタル武者、生身の体のキックではツバサのダメージの方が大きい。


 段々と、攻撃が手詰まりとなってきて、みんなの顔にも疲労の色が見えてきた。

 何とかしなければ・・・そう、一度の攻撃だけの効果を見ているからいけないのだ。

 繰り返し攻撃を仕掛けて効果が得られるのは・・・。


「まずはマグマ系の高温攻撃だ!」

『ジュパッ』俺が叫び、ツバサが再度攻撃を仕掛ける。


『シュッシュッシュッ・・・ジュッ』源五郎も、マグマの弓に変更したようだ。

爆裂火炎弾(ボウ)!」

 レイの魔法もさらに加わり、連続攻撃を仕掛けて行く。

 クリスタル武者に、目立ったダメージは感じられないがお構いなしだ。


 それでも、しつこくマグマ系の攻撃を仕掛けて行くと、心なしか、クリスタルの色が、赤く光りだしてきたようだ。

 もう少しだ、俺もマグマの剣を振りかざし、弾かれても構わずに連続攻撃し、直撃を食らわせる。



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