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もしも願いがかなうなら  作者: 飛鳥 友
第2章 本当の始まり
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第24話

                 10

≪チャリーン≫という音と共に、中空から金属製の棒のような物が落ちてきた。

 源五郎が拾い上げると、どうやら鍵のようだ。

 賢者のトンネルの鍵を手に入れた。


 更に、鎧武者の胴体部分から、鋼の盾と鋼の胸当て、魔道士のローブが、兜の下からは雷の剣と雷の弓と雷の杖が現れた。

 雷の剣などは、もっと前から出現していてくれれば、もう少し楽に戦えただろうに・・・、と思ったが、まあ、勝ったのだからいい事にしよう。


 ありがたく装備を整えてから、階下のヒーリングゾーンで傷を癒し、封印の塔は攻略終了だ。


 塔の中の魔物の死骸に関しては、集めて埋めることはしなかった。

 なにせ、中ボスの鎧武者は各パーツに分れた状態でも数メートルの大きさであり、とても持ち出すことは出来そうもなかった。

 リアカーの入らない塔の中に関しては、勘弁してもらうしかないだろう。


 塔の入口の扉に鍵穴があったので、先ほどの鍵を使って見たら施錠できた。

 これで本当の封印の塔だ・・・と考えたが、もしかすると、この塔の鍵なのか?とも考え少々不安になって来た。

 しかし、これ以外に鍵はどこにも無かったろうし、宝箱も見逃したわけはない。

 まあ、駄目だったらまた戻ってくればいいや、と考え先へ進むことにした。


「ファブの港町の東側にあった遺体の数は、19体。チョボさんも含めると、20人が亡くなっています。

 更に、始まりの村の南側にあった遺体の数は、およそ30体、これは結構バラバラになっていたので、遺体の一部をなるべく重複しないよう数えたものです。


 その為、正確な数字ではありませんが、恐らく50人ほどが、異次元へ来てから亡くなったと考えられます。」

 歩き出してから、突然源五郎がメモ帳を取り出して話し始めた。


 ずっと何かを書き込んでいたのは知っていたが、死んでいった冒険者たちの数を控えていたのか。

 確かに、残った冒険者たちの数を把握することは、全員に元の次元へ戻れるよう願ってもらうよう依頼するには必要な事だ。

 さすが源五郎だ、きちっとわかってらっしゃる。


「そうか、100名限定というのが事実であれば、冒険者は俺たちも含めて、残り50人という事だな。」

 俺は、呟くように答えた。


「半分に・・・なってしまったのね。」

 レイも、悲しそうに目に涙を浮かべる。


 それからは誰も何も話さずに、ひたすら前を向いて歩いて行く。

 来た時同様、荒れ地を戻って行くと分岐に出た。

 今度はここを西へ向かう。


 草原を進んで行くと、いつものように虹色トンボと大バッタの群れが襲い掛かってくる。

 雷の剣を一振りすると、稲光を伴って剣尖が走り、電撃に巻き込まれて何匹もが同時に地べたに落ちて行く。

 雷の弓を用いても同様で、一矢で数匹を巻き込むことができた。



 雷の杖に至っては、それを振るだけで発せられる雷撃は、周囲数メートルの範囲のトンボやバッタを仕留めた。

 強力な魔物に関しては判らないが、小物に関してはずいぶんと楽に倒して行けそうだ。


 その都度穴を掘っては、魔物たちの死骸を埋めていく。

 暫く進むと、小高い丘があり、洞窟が口を開けて待っていた。

 間口が広く、リアカーごと入って行けそうなので、そのまま進む。


「南西の洞窟の奥底に眠る、ルビーの目の取得というクエストが入っていた。

 最下層まで行かなければならないようだね。」


 俺は、クエスト票を確認しながら、リアカーの後ろを押している2人に告げる。

 相変わらず、こぶヤモリやコロネサソリが襲い掛かってくるが、雷アイテムがあるので、群れをなしていても一撃だ。


 ふと思ったら、いきなり視界が変わった。

 なにか、足元に丸い円が描かれていたようで、そこに足を踏み入れた途端、別の場所へ飛ばされたようだ。

 足元を確かめると、そこには②の記号が・・・。

 もう一度、その②を踏んで見たが、何も変わらない。


 源五郎ともレイともはぐれたと思って、途方に暮れていると、すぐに目の前に源五郎が姿を現した。

 続いてレイも同様に現れた。

 どうやら、俺と同じところを踏んだようだ。


「どうなっているんでしょうね。」

「分らん、しかし、逆方向には動かないようだ。」


 俺は、②を踏んでも何も変わらないと、教えてやった。

 仕方がないので、やみくもにではあるが、先へ進んでみる。

 注意して観察していると、先の方にうっすらと光輝く円が地面に描かれているのが見て取れる。


 すかさず、口裂け蝙蝠の攻撃が・・・。

 どうやら、分岐の場所では魔物の攻撃が激しいようで、上に注意を向けさせることが狙いか。

 蝙蝠を全て倒してから注意深くその印を見ると、③と描かれている。


 どうやら、数字が描かれているようだ。

 さっきは②で今度は③だ、間違いはないだろう、俺は迷わずその円の中に足を踏み入れる。

 すると、またも別の場所に飛ばされたようで、足元を見ると、④と描かれている。


 飛んだ先では、数字が増えるのか?

 すぐに、源五郎とレイが現れる。

 そのまま進むと、今度も③と描かれた円に出くわす。


 訳も分からずにその円を踏むと、足元には②が描かれていた。

 あれ?数字が増えていくのではないのか?とか考えていると、①の数字の円が目に付く。

 源五郎たちが後ろを付いて来ていることを確認しつつも、その円に足を入れる・・・、すると、目の前が明るくなり、先ほどの洞窟の入り口に来ていた。


 足元を見ても、何の印もない。

 源五郎と、レイも、姿を現して、出口を見つめて不思議そうにしている。


「どうやら、踏んだ順番によって、数字が増減していくようだな。

 ①を踏むと、②に移動して、③を踏むと④に移動する。」

「あれ?でもさっきは③を踏んだら②に出ましたよ?」


「それは、④の後に③を踏んだからだ。①→②の後に③を踏むと④へ移動するが、その後③を踏むと②へ移動してしまった。

 すなわち、④の後に③→②という訳だ。更に①を踏んだら、出口へ到達という事だね。」

 俺は、なんとなく瞬間移動のダンジョンの定義が分ったような気がしていた。


「だとすると、①→②の後は③→④で次は⑤→⑥ですね。その次は⑦→⑧だ。」

 源五郎も、納得とばかりに、手を叩く。


「そうだ、奇数数字を順に踏んで行くのが正解と考える。

 じゃあ、もう一度挑戦してみよう。」


 中へ入って少し進むと、最初に踏んだ円の場所に、リアカーが置き去りにされて居た。

 そう言えば、飛ばされるのは人だけで、リアカーは飛ばされなかったのか。

 仕方がないので、脇へ寄せて置いた。

 帰りに回収して帰ろう。


 予想通り、最初の円は①だ、そこを踏むと、②の場所へ到達する。

 先ほど同様に進み、③を踏んで④に現れる。

 更に進むと、③と描かれていたので、Uターンして逆方向へ進む。


 先ほどは道を間違ったのだ。

 しつこく襲ってくる口裂け蝙蝠の群れを倒してから、今度は⑤と描かれた円があったので、それを踏むと、⑥へ出た。

 次は⑦を探して歩き回る。


 大体、見当がついて来た、魔物たちが群れている所が、移動の仕掛けがある場所なのだ。

 そうして、⑦→⑧、⑨→⑩と辿って行く。

 そうして⑯まで来た時、目の前がキラキラと光輝く空間に出くわした。


 赤く光るそれは、巨大なトカゲの目だった。

 ピュッ、いきなりトカゲの長い舌が伸びてきて、レイの腰に絡み付く。

 すかさず俺が雷の剣で舌に切りつけるが、弾力のある舌に弾き返されてしまう。


強火炎弾(パチ)

 レイが唱えると、レイの体を大きな炎が包み込む。


 堪らず、トカゲの舌はレイの体から離れ、大きな口の中へ巻き取られて行った。

 シュッ今度は源五郎がその開いた口目がけて、矢を射る。

 バチッと音がして火花が奴の口元で弾ける。


 堪らず奴は背を向けて逃げる体勢・・・と思ったらそうではなく、太く長い尻尾で攻撃してきた。

 ごつごつと岩肌のような凹凸が付いた尻尾を、左右に振りながら俺たちを追いこんでくる。

 逃げてばかりはいられないので、俺はその尻尾の先から一気に奴の頭まで突っ走ろうと駆けあがったが、途中身をよじられて、俺は体勢を崩し地面に叩きつけられた。


 ピュッ、飛んでくる舌を何とか鋼の盾で受け止めると、柔らかそうな奴の下腹目がけて剣を突き刺す。

 意外と俊敏な動きで、俺の剣を寸でのところで躱し、トカゲは大きく後方へはね飛んだ。

 シュッ、シュッ大きく跳ね上がったトカゲの腹目がけて、源五郎が放つ矢は、しかし奴の前足に全て払われてしまう。


強火炎弾(パチ)

 レイが放つ巨大な炎の玉も、同様に弾かれる。


 同時に駆け出した俺は、奴の前足をかいくぐり、懐へ飛び込んだ。

 そうして渾身の力を込めて、奴の腹目がけて剣を突き刺す。


「ギャオースッ!」

 もんどりうって巨大トカゲがひっくり返った。


 やった、ようやく仕留めた・・・。

 俺は、鋼の剣先を使って奴の両目をくりぬくと、それをクエスト用袋に入れた。


 後は来た時と逆に数字を辿って行けばいいのだが、それでは洞窟内の全ての魔物が倒せないので、無理に道を間違って、何度も同じ道を通っては、洞窟内の隅々まで網羅し、ようやく出口に着いたのは、もう太陽が一つになってからだった。


 俺たちは、乾燥肉を平らげると、その場でキャンプを張り、交代で眠ることにした。

 周囲の魔物も、ほぼ退治しつくしたし、居たとしても夜は動きそうもないので安全と考えるが、何が起きるか分らない。


 一度死んで学習して・・・などとは言って居られないのだ。

 今日はお呼びがかかるかもと、見張りの時に期待をしていたが、テントからレイが出てくることはなかった。

 お疲れなのだろうか・・・。


 翌朝、体力に加えて魔力も回復が必要と考え、各自、道具屋御用達の弁当を袋から取り出して食べた。

 賢者のトンネルに向けて出発だ。

 途中、道が大きく右へ曲がっているが、方向的にはあっている大丈夫だ、道なりに進んで行く。


 暫く進んで行くと、左前方に大きな湖が見えてきた。

 同時に、虹色トンボと大バッタの群れも襲い掛かって来た。

 やはり、この辺りは魔物が多い。


 しかも、強い魔物は湖に生息しているため、弱い魔物たちも草原であれば食べられずに生きていけるという事か。

 イエローマンは魔物退治にやって来てはくれなかったのだろうか。

 難なく魔物たちの群れを駆除して、まずは貸ボート小屋へ行ってみる。


「ようこそ、貸しボート屋です。

 潮干狩りはボートに乗って、南の浅瀬へ行けばできます。

 ぬっしーが生息しているのは、この湖全体ですが、深い中央部分が住処です。」

 前回同様、受付嬢が中へ入った途端に話しかけてきた。


「いや、俺たちは既にぬっしー退治のクエストは済ませているんだ。

 今日はちょっとした確認にやってきた。」

 俺は、かわいらしい顔をした受付嬢に、笑顔で答える。


「ボートは1日一人200Gになります。」

 あくまでも、ボートを貸し出したいという事だろうか、次元移動してからは、生活が懸かっているのかも知れない。


「いや、そのボートの貸し出しにも関わるんだが、この湖に生息するぬっしーとかメガフジツボなどの魔物は、一般の人たちがボート遊びをするのに危険だろうから、実はイエローマンに退治してもらうようお願いしたんだ。

 それによって、ボートを借りる冒険者たちが減り、ここの売り上げが落ちるかもしれないが、村人たちを危険には曝せない。


 しかし、ここへ来る途中、虹色トンボや大バッタなどの雑魚魔物たちに出会った。

 イエローマンは、ぬっしー退治にはまだ来ていないのかい?」

 俺は、多少申し訳ない気持ちは持ちつつも、依頼した内容が遂行されているのか確認してみた。


「はい、既にイエローマンさんがやってきて、ぬっしー3匹とフジツボもどきに加えて、飛びピラニアの全駆除をして行きました。

 おかげさまで湖の危険生物がいなくなり、いつでも村人たちがやってこられると言って、帰って行かれました。


 まぬけ貝に関しては、危険はないという事でそのままにしておくとおっしゃっていました。

 また、虹色トンボなど、草原の魔物に関しては、冒険者様たちの狩猟の邪魔は出来ないので、そのままにしておくから、早急に退治願うともおっしゃっていました。」


 受付嬢が明るい笑顔で答えてくれる。

 そう言えば、飛びピラニアなんてのもいたなあ・・・、それに、湖に潜む魔物以外は自分たちで何とかしろと言っていたような気が・・・。

 まあ、村に残してきた奴らがまだいるから、雑魚魔物たちは、そいつらの為に残しておくか。


「そうか、分ったありがとう。

 虹色トンボたちは、何日か経ってやって来る、冒険者たちが一掃してくれるはずだ。

 ぬっしーたちが退治されたと聞いて、安心したよ。じゃあ、また。」


 そう言って、貸しボート小屋を後にする。

 さあ、賢者のトンネルだ。



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