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もしも願いがかなうなら  作者: 飛鳥 友
第8章 四竜の章4 新たなる展開へ
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第100話

                        2

 今度は、俺からか・・・、えーと、どの魔物からだったか・・・。

『バサバサバサバサッ』大きな羽音を立てながら、鳥の群れが襲い掛かってくる。


「ポッポー・・・ポゥッポー」

 まずい、感電バトの群れだ・・・、前回とは出現する魔物は異なるようだ。

 俺はすぐさま雷の剣に持ち替えて、剣を天に向け振り回した。


『バリバリバリバリッ』すると、感電バトの放つ雷が、雷の剣に吸い込まれるように引き寄せられていく。

 うまい!やはり考えていた通りのことが起こった。

 雷の剣は雷の電気を蓄えて発するわけだから、いわゆる大きなコンデンサーのようなものであるはずだ。


 それは裏を返せば、雷撃の電気をこの剣で吸収することができると言う可能性を示唆する。

 ところが実戦では、そのような事を試すには勇気がいる。

 失敗して倒されるなんて、最悪の結果までには至らなくても、下手な使い方をして、剣が壊れてしまっては困るからである。


 その点、バーチャルであろうこういった試技は、色々な作戦を試すにはうってつけだ。

『ブンッ』さんざん雷パワーを吸収してから、大きく振りかぶって振り下ろす。

『バリバリバリバリバリッ』稲光が宙を走り、感電バト達を捉える。


「きゅーっ!」

 感電バト達は、無残にも雷に打たれて落下していく。


 こういった使い方ができると言う事は、炎攻撃であれば炎の剣で、更なる高温であればマグマの剣で、敵の攻撃をその特性の剣で吸収したのち、放出できるという事だ。

 新たな剣士としての戦い方を身に着けた気分だ。(まあ、あくまでも瞬時に対応できればということではあるが)


『シャキーン、スパパパアァーン!』続けざまにあらわれた影は、長い槍を振り回してきた。

 悪魔の尾ダイヤだ、しかも5匹も・・・。

 左からの攻撃を盾で受け止め、右のやつの攻撃は剣で受け止めた後、手首を返して脇腹を切り裂く。


『ズバッ、スッパアーン!』すぐに時計回りに反転して、後ろから突いてくる槍を躱すと、そいつを袈裟懸けに斬り捨て、『スパアアーン!スッパン!スパパパーン!』そのまま回転の勢いを殺さずに、残り3匹をほぼ一つの動作で斬り捨てる。

 一撃剣での特訓の成果が現れ、マグマの剣でも一撃で仕留める機会が多くなってきている。


『ドドドドドッ』すぐさま、地響きを立てて巨大な影が突進してくるのが見える。

 ヨロイサイの集団だ、1ダースはくだらないだろう。

 地面から十メートル以上の空中に居るはずなのだが、ヨロイサイの群れは、何もない空間を駆けてくる、しかも地響きまで立てて・・・。


 試しに、1メートルほどの足場の周りを探ってみたが何もない、足を踏み外せば、遥か下へ落下することは間違いがないだろう。

 この場に地面があるかのように走ることができるのは、敵方魔物に限定されるようだ。


 仕方がないので、出来るだけ前後に足を広げて身を低くし、盾を構える。

『ガヅンッ・・・ズパアン!』勢いよく突進してきたヨロイサイを盾で受け止め、マグマの剣を下側から突き上げる。


『ズッパアーン!ザッパーァアン!』素早く剣を引き抜くと、右を通り過ぎる奴の首を、一撃で斬り落とし、左側に突っ込んできた奴の脳天に一撃。

『ズッボォーン!ズッパアアアーン!』その後も、突っ込んでくる奴を受け止めては、一撃のもとに粉砕していき、巨大な黒い影は全て消え去った。


『ボワッ』『ボワッ』『バチバチッ』すると今度は、7色に変化するお化けが・・・、これも大軍で押し寄せてきた。

「うおっ・・・、あちちちっ」

 足元に炎を当てられ、慌てて飛び跳ねる。


『スパパアーン!スパアーン!スッパパーン!スッパアーン!』すぐさま光の剣に持ち替え、姿を見せた瞬間に7色お化けを切り裂いて行く。

『スッパアーン!スパアーン!スッパパパーン!スッパーン!』会心の一撃かどうかは別として、このくらいのレベルの魔物相手であれば、ほぼ一撃で粉砕することができる様になれたようだ。


 自分の間合いというか、射程範囲がなんとなく感じることができ、その中に7色お化けが姿を現した瞬間、自然と体が動いて、敵を斬り倒していく。

 目で見てから動こうとしているのではなく、反射的に体が動くのだ。


 以前とどこが違うかと聞かれても、答えることは難しいのだが、なぜか綺麗に剣が振りぬけて行く。

 綺麗に相手の体を切り裂く手ごたえは、やはり快感だ。


「はぁはぁはぁ・・・」

 気持ちよく剣を振るってはいるのだが、さすがに数が多く、息が切れてきた。

 さあ、次なる相手は・・・?と思っていたら、そのまま足場は下がって行く。


「数ある冒険者の職種の中から、剣の道を究めんとするものよ。

 そなたの力は見届けた。

 剣の技だけではなく、敵の攻撃を受け止める防御能力にも秀でた才能を感じた。


 よって、第2種剣士合格と認め、ここに天空の盾を授けるものとする。

 この盾は、敵の攻撃の種類によって形状や耐性を変え、常にそなたの身を守るだろう。

 更なる高みを目指せ。」


 遥か上空には、髪の長い美女の姿が映し出され、認定試験合格の証書としての盾が舞い降りてきた。

 中央に竜のマークがあしらわれ、煌びやかで豪華な装飾が施されている。


 すぐにクリスタルの盾を袋に仕舞い込むと、天空の盾を装備してみる。

 その厚みの割には驚くほど軽く、しかも左手に吸い付くようにフィット感がある。


『ゴゴゴゴゴッ』次に足元がせり上がって行ったのは、源五郎だった。

『バタバタバタバタッ』『シュッシュッシュッシュッシュッシュッ』彼は、感電バトの群れが近づいてくる前に、全て撃ち落としてしまった。


『シュッシュッシュッシュッシュッ』更に次なる魔物が出現した瞬間に的確に放たれた矢は、3匹の悪魔の尾ダイヤの眉間を捉えていた。

『ズゴッ』『シュッ』『バシュッ』『シュッ』悪魔の尾が突いてくる槍を躱しながら、すかさず放つ矢が、残りの2匹を捉える。

 今度も瞬く間に、5匹の魔物を葬った。


『ドドドドドドッ』続いてヨロイサイの群れが出現。

『シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ』凄まじいまでの勢いで、矢継ぎ早に矢が発射されていく。

『ドーンッ、ドーンッ、ドドーンッ』眉間を貫かれた先頭を走るヨロイサイが倒れ、後続が巻き込まれて突進してくる列が乱れる。


『シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ』すかさず雨のように矢を射かけて行き、足が止まったヨロイサイを仕留めて行く。

『シュッシュッシュッシュッ』『ドンッ、ドーンッ、ドン、ドン』その後も休まず射掛け続け、簡単に最後の一頭まで倒してしまった。


『シュッシュッシュッシュッ』またもや悪魔の尾ダイヤが出現かとおもったら、尾の形が違うスペードだ。

『キンッキンッキンッ』『カッ』源五郎が放った矢を槍で払うと、目から光線を発してくる。


 おいおいいいのか?南部大陸で初めて出会う魔物のはずだろ?

 そりゃ、俺達はインチキして超人たちに連れられて、南部大陸へ行ってしまったし、天空の里での特訓では、こいつらの相手もしたさ。


 しかし、この段階の試技に出てくるレベルの魔物なんかじゃ決してないはずだ。

 どうしてこんなことに・・・、しかも結構数がいるから源五郎1人だけでは・・・、と思ったが


『シュッシュッシュッシュッシュッ』「強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)!」『シュッシュッシュッシュッ』

 源五郎が、魔法を唱えながら矢を放つ。

 すると、矢の先に出来た氷の結晶が大きく成長し、鏡のように光線を反射する壁を魔物との間に作ると、その隙間を縫うようにして、2撃目の矢が悪魔の尾スペードに向かって一直線に飛んでいく。


 一撃目は先端に、空気抵抗となる鏡が張られて減速、障壁の役目に加えて目くらましにもなり、2撃目が的確に敵を捉える。

 まさに、攻防一体となった形だ。

『シュタッシュタッシュタッ』一度の攻撃で、3匹の悪魔の尾スペードの眉間を貫いた。


『シュッシュッシュッシュッ』「強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)強冷凍(カチ)!」『シュッシュッシュッシュッ』

 更に次の攻撃で、残る3匹の悪魔の尾を片付ける。

 俺の心配など、杞憂に過ぎなかったことがはっきりした。


 そうして、戦いが終わった源五郎がゆっくりと降りてくる。

「数ある冒険者の職業の中から、狙撃手ともいうべき射者を目指す者よ。そなたの・・・・」

 またまた上空に、髪の長い美女の姿が映し出され、源五郎の認定結果を告げる。


 そうして、天空の射者の盾というのが舞い降りてきた。

 左腕に装着するタイプで、普段は腕の太さ分しか幅がないが、肘を折って構えると、上半身を覆い隠す大きさに瞬時に変形するようだ。


『ゴゴゴゴッ』続いて、レイの足場が持ち上がって行く。

『バサバサバサバサッ』「爆裂冷凍(カッチ)爆裂冷凍(カッチ)爆裂冷凍(カッチ)!」

『ボタッボタッボタッボタッ』魔物の羽音がした途端レイが唱えると、周囲が真っ白く変化し、感電バト達を凍らせて落下させた。

 いわゆる、瞬殺である。


 続いては、悪魔の尾ダイヤと思ったら尻尾の形が違う、ハート形だ。

 まずい、あいつらは雷の魔法を・・・

爆裂雷撃(ビカ)爆裂雷撃(ビカ)爆裂雷撃(ビカ)爆裂雷撃(ビカ)!」『バリバリバリバリバリバリッ』


 電磁波を帯びた、青白い稲光のカーテンが悪魔の尾の群れを包み込む。

 俺の心配など吹き飛んでしまうくらい鮮やかに、一瞬早く発せられた、レイの魔法の勝利である。

 もしかすると、色々な種類の魔物が出現することを想定して、瞬時に対抗できるよう、あらかじめ準備していたのかも知れない。


 続いて金色ゴリラの群れと悪魔の尾スペードの群れがあらわれたが、レイの強化された魔法の敵ではなかった。

 特に雷系の魔法の威力が増しているようにすら感じられた。


 そうしてレイも認定合格し、天女の盾を貰った。

 形からして、天空の盾と変わらないようだが、色目がピンク系である。


『ゴゴゴゴゴッ』最後は、ツバサだ。

『バサバサバサバサバサッ』『バリバリバリバリバリッ』『シュタッ』足場に雷が落ちる瞬間、高く舞いあがったかと思うと、そのまま宙を舞い感電バト達を回転蹴りで一蹴。


 そのまま、息も切らさずに足場に着地した。

 彼女の場合は、足場が狭いとか、高いとか低いとかは関係が無いようだ。

 その名の通り、ツバサが生えているかのように、華麗に宙を舞い獲物をしとめる。


『バリバリバリバリバリッ』『シュタッ』続く、悪魔の尾ハートの群れも同様。

 一度の舞で6匹の悪魔の尾を片付けてしまった。


 続く、金色ゴリラの時には、ゴリラの体を壁代わりに蹴ってさらに高く舞いあがると、回転しながらマグマの爪を振り回し、一度に3匹の金色ゴリラを粉砕した。


 更に、悪魔の尾スペードの群れをも簡単に粉砕。

 そうしてツバサも認定合格し、天空の拳士の盾を貰った。

 この盾も源五郎の物と同様、腕に装着するタイプで、構えると形状が切り替わるようだ。


「冒険者たちよ、更なる高みを目指せ。」

 上空に映し出される美女の姿が消える。


「無事に全員合格できたね、高いところだけど、源五郎もレイも慣れてきたようだね、良かった。」

 認定が終了してほっと一息といったところだ。


 それにしても、みんなのレベルの向上は目覚ましいものがあるようだ。

 俺の時だけ、レベルが低めの魔物ばかりで、申し訳ない気持ちだ。

 状況が分っていたこともあり、足場が上昇することに対して、うろたえずに済んだことも、魔物たちを寄せ付けず打ち倒せた要因の一つと考えられるだろう。


「まあ、この場所での試技は、バーチャルだと言う事が前回で分っていたから、高いところに登っても、恐怖心はそれほど起こらなかったわ。


 これも、天空で長い間特訓をしてきたおかげかしらね。

 冷静な目で相手を見ることができるようになって、余裕ができて来たわ。」

 レイが笑顔を見せる。


「僕も、試して見たかったことが試せたのでよかったです。

 天空の特訓では、団体戦だったので、まずは確実に相手を葬る事だけを考えていたから、なかなか新しい戦法を試せませんでした。


 今回は個人戦なので、気楽に試すことができて良かったです。」

 源五郎が、半ば興奮気味に話す。


 おやおや、今回の試技に合格しなかったら、スペシャルアイテムがもらえなかったかも知れないと言うのに、それよりも、チームで戦っていて迷惑をかける方を嫌うと言うのか・・・、律儀だねえ。


 俺の場合は、天空での特訓時に試すことができる、適当な相手がいなかっただけなのにね。

 まあいいでしょ、とりあえず結果オーライだしね。


「じゃあ、戻るとするか。」

 長い登り階段を、元気よく駆け昇って行く。



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