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突然の誘い

 次の日。

 今日もまた、図書館で一人静かに本を読んでいた。

 本を読みながらでも君のことを考えてしまう。考えないようにしているつもりなのに、ちょっとしたことで君を思い出す。そして今日も思う。来てくれるかな、と。

 そんなとき、戸を勢いよく叩く音が聞こえた。私は少しびっくりした。胸の内を神様にでも見透かされたのかと思った。

 じいやがすぐさま戸を開ける。


「エリー、今度の日曜日出掛けよう!」


 そこにいたのは予想通りコウノスケだった。

 しかし、話の内容は予想もしてないような話だった。コウノスケが私と出かけよういうのだ。

 来週の日曜日は城で舞踏会が行われ、町の人々はほとんど居なくなるらしい。


「それならエリーも一緒に出掛けてくれるかなと思ってさ。」


 そうだ、確か以前にも似たようなことがあった。コウノスケの師匠がお城に呼ばれて正式な休みがもらえたから町に出掛けようという誘いだったはずだ。

 でも、私はそれを断った。私が魔女であることで嫌な思いをするならまだしも、コウノスケにまで迷惑をかけたくなかったから。

 別に僕はかまわないよと言ってくれたが、私がどうしても嫌だと言って断ったのだった。

 でも、今回は人がそこまでいないから行ってくれるかもという思いで来たらしい。

 行きたい。それが私の素直な感想だった。

 コウノスケの話を聞いている内にいつの間にか想像していた町を歩ける。しかもコウノスケと一緒に。そして、周りのことをそこまで気にしないでいい。

 最高だ。


 でも…果たして本当に行っていいのだろうか。

 いくら人が少ないと言っても、少なからず人はいるわけだろう。それに、ほんのはずみで私が魔女だってばれたら…

 コウノスケは私の不安を感じ取ったのか私の両手をつかんで笑顔で


「大丈夫だよ、僕が何があっても君を守るから」


 と言った。

 唐突に聞いている方が恥ずかしくなるようなセリフと魔法がかかった笑顔でのダブル攻撃に私は、たまらずノックアウト。すかさず目線をそらし「いいよ」という返事だけをした。


 その後、コウノスケは師匠に頼まれていた買い物をしに行くという理由で帰って行った。

 私は図書館でしばらく赤くなっていたのちに少し考え始めた。


 コウノスケに離れてほしいのなら行くべきではないんじゃないの?

 いや、ここはあえて行くことで魔女といるとどうなるか思い知らせてやるべきだ

 それならいっそのこと普通の休日に行けばいいのでは…

 いやいや、悩むも何も行きたいなら行きたいでよくないの?好きなんだったら好きだって素直になった方がいいって

 それができてたら今まで苦労してないでしょ。だからこうして今も悩んでるんじゃん

 そんな難しいことでも無くない?コウノスケが行こうって言ってるから行く。これで問題ないじゃん


 私の中で私が何人にも別れ、激しく言い合いをしている。


 さっさと距離置けよ

 いっそ嫌われたらいいのでわ

 このままが続くならこれでよくないの?

 いい加減素直になりなって


 様々な意見が頭を飛び交う。

 どうすればいいんだろう。

 私はその日読もうと思って出しておいた本の山に、一切手を付けることはなかった。


 次の日。

 私は一日丸々費やして何とか答えを出した。

 私の答え、それは―――

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