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第一章

帰り道。

優花がうるさいが相手にしてるいるとキリが無いので優花を無視して帰宅している。

もちろん家が近い優花は帰る方面はほぼ同じ。

なので、後ろからは文句を言いながら優花がついて下校している。

「だからー!……って、アレ?……何で私、怒っているんだっけ?」

何故か怒っている理由を途中で忘れているようだ。

「あぁー、もう!でも……まぁ、いいか。」

「……。」

昔からそうだったが優花の性格はいい加減すぎる。

まぁ、日常は常に適当だが、ここ一番というときだけは、いつもしっかりと考えているようだ。

高校入試の時に最後まで進路を決め迷っていたらしいが……。

「そういや、お前なんでこの学校を選んだんだ?」

ふと、疑問になったので足を止めて後ろにいる優花に問い掛ける。

優花はもともと頭は良い方だった。

俺たちが今通っている高校は、そんなにレベルは高くない。

優花だったらもっと上の学校に入学もできたはずだろう。

「えっ……。うーん」

何故か優花の顔が赤くなった。

「あっ……と、樹はどうして?」

慌てたように、こちらに振ってくる。

「俺か?俺は家から一番近いし、私立にしては授業料もやすい、おまけに校則も軽い」

「……。うわぁー…。めちゃくちゃ適当。」

「悪いかよ」

「いや、別にいいんだけどね。樹らしいし。でも、もっと…ほうこら、なんかでっかい夢なんてないの?あの学校のあいつと殴りあいたいとか!」

「それは……はたして夢か?それに、それだったら同じ学校に入らなくてもいいだろう」

優花はたまにわけのわからないネタを振ってくる。

しかも、その内容の八割は熱血系。

何といったって優花の自慢話で一番最初に出てくる話は……

「私は、はじめの一歩と明日のジョーは全部初回発行で買ってるのよ」らしい。

マニアックなのですごさは俺にはわからない。

まぁ、しいていえば……よくそんな昔の漫画を初回盤で集めていられるなってことだ。まず、年令的にありえない。

まぁ、そんなこと俺としては、どうでもいいことだが。

「で、なんで優花はこの学校選んだんだ。」

「それは……えっと、乙女の秘密ってことで」

「なんだそれは……まぁ、いい。さっさと、帰るぞ。」

そう言って、再び歩き出そうとした瞬間。

地面と空が一瞬逆になったかのような揺れが生じる。

「っ……!」

バランスが保てないくらいの揺れ。

何なのかはわからないが妙な感覚におそわれる。

「……」

「樹?どうしたの怖い顔して?」

気がつくと目の前に優花の顔がある。

優花は平然としていて何事もなさそうだった。

「……。いや……ちょっと気分が悪くなっただけだ。」

「大丈夫?すごくふらふらしているよ」

足元にバランスが保ちずらい。

「……。気にするな。」

「うん、わかったけど。気を付けないと危ないわよ。顔なんだか青白いし」

「あぁ……。」

そう返事を返して足を進め直し下校を再開した。


香瀬樹。

それは何の変転もない普通の少年。

……のはずだった。

しかし、突如の変異……人には無い感覚を身につけてしまった。

人レベルでは感じ取れない、別次元の感覚。

超音波とかの類とも別の感覚。

生きものに感じ取れないものを感じ取る力。

切っ掛けは五年前だった。………。



五年前。

まだ小学生のとき。

俺の体の異常が起きた。

ある日の放課後。

普通にいつも通りに学校をおえ学校からの帰り道。

友達と別れ俺は一人で下校していた。

何の変転も無い普通の帰り道……だった。

しかし、異変はいきなりのものだった。


「くっ……。」

突如、耳の中に響き渡る音に襲われる。

「うっ…うわあぁ!!」

ノイズ音のようなおかしな感じの音に脳内を掻き回される。

何が何なのか、わからない。

ただ、体に巡る痛みを堪えきれない。

体をうつぶせにして苦しく声をあげていた。

……。

どれくらいか痛みを堪えていると次期に音は消えていった。

「はぁ、はぁ、はぁ。……。」

呼吸を整えてゆっくりと立ちある。

すると……。

目の前には一人の女の人が立っていた。

女性は、こちらの目と合うと口元だけの笑みを作った。

女性はまるでこちらのすべてを知っているかのような顔をしている。

「……。」

女性を見ると不思議な感覚に捕われられた。

恐いようで、危ないような、恐怖感。

泣きたくなるようで、悲しくなるような。

なんともいえない感覚。

「きみ……そっか。きみがそうなのか」

女性は一人で納得したかのようにうなずいた。

「誰……?」

震えながら口を開き言葉にする。

「うーん。内緒かな。別に怪しいものじゃあないわ。……って言ったら嘘になるけど、きみには何もしない。安心しなさい。」

あいまいな返答が返ってくる。

安心していいのか?

それは、安心しろと言われても無理な話だ。

まず、目の前にいる女性は形としては立派な女性だろうが、この存在的なものとしては人としてのものか疑ってしまうほどの異様さを感じさせる。

俺は女性に対して身構えた態勢をとった。

「ん……。そっか、私を警戒しなくちゃいけないレベルのものとして認識したのか。まだ覚醒したばかりとは言え、さすがはExtraordiary Death lineの称を継ぐものね」

「エクストラオーディナリィ?」

「まだ、きみが気にすることじゃあないわ。時機が来れば嫌でもわかることよ。」

そういって女性は背を向ける。

「そういや、一つ言っておくわ。あなたは人には感じられない隠された感覚をもっているわ。あなたが異常と感じるとまわりで異常事態が引き起こる。気を付けなさい。」

そう女は言うと再び背を向け消え去ろうとする。

「っ……ちょっと、待てよ!」

俺は必死に呼び止めた。

「さっきから、いったい何のことだよ!」

「……。時機にわかるわ。」

女は変わらない口調でそう答える。

「っ……なら、お前の名前は?」

「……。私は理由のない存在。よって名前はない。呼びたければ、そうね。……アィディーとでも呼んで頂戴。」

そういうと女は消えていった。

「……。」

俺は一人取り残されて何もせずじっとしていた。

さっきの現象は何なのか?さっきの女は何者なのか?さっきの話はどういう意味なのか?

謎でしかなかった。


それから五年の今……。

近ごろはあの日と同じような衝動を感じる。

それは、他の人たちは感じていない。

俺だけが感じる世界の歪みや人の歪みや何か別の歪み。

あの時、合った女の話を本気にしたことはなかった。いや、したくなかった。

しかし、本当に何かが起こりそうで……。

何かが変わりそうな……。

そんな予感がしていた。



夜風が道をなぞるかのように吹いている。

街灯の灯は暗闇を批判するかのように明々と照っている。

「ふー……」

歩いている足を止めて、ため息を一つついた。

体の調子は夕方から以前として良くない。

なのに、こうして久々に深夜の街を徘徊している。

とくに、これといって用や目的があるわけじゃあない。

ただ単なる気分転換みたいなものだ。

「て……なにやってるんだろう俺は……。」

独り言のように言葉をはく。

まぁ、深夜の小道は人影はないので独り言をいっていても他人に聞かれる心配はない。

「それにしても……」

異様に人の気配がない。

家からゆけだして未だ一人として見てないのは、いくらこの時間帯だからとしても異様だった。

夜になると基本として人は眠るが、その逆で夜に行動を起こす人もいる。

その大抵はよからない事を行なうものが多いが、今夜はそんな連中すら見当たらない。

全てのものが眠ってしまっているような奇妙な静けさ……。

バチッ

すると、先程まで明々とついていた街灯が音をたてる。

バチッ、バチッ!……。

激しく音をたて消えていく。

灯りもなくなって辺りは本格的な暗闇。

「……。」

辺りには薄気味悪さだけが残る。

異様な感じが赤線を越えた感じがした。

まるで闇が自らを歓迎するかのように……。

しかし、特に恐怖は感じなかった。

「さて……俺を歓迎してるのは闇か?」

独り言のようにそう呟くと……。

「気付いていたか……」

すると暗闇から声から返ってくる。

「そんな街灯とか消してまで演出されたら気付くだろ普通。久しぶりだなアィディー」

そういうと目の前の暗闇から人影がひとつ現れる。

全身黒色にまとめられた服に長い白の髪が月に照らされる。

「ずいぶんと成長したようね。以前、会ったときは私に怯えていたのに」

「五年も前の話だ。そりゃ変わるさ。それで……再び俺の前にお前が現れるってことは刻がきたってことか?」

「ちょっと違うわ。刻がきたというよりも時期となったといったほうがいいかしらね。」

アィディーは妙な言い回し方をする。

俺にとってはさほど意味が変わらないようにしか思えない。

「まぁ、いいさ……。で、いったい何が起こるって言うんだ。」

「……。この五年の間できみは何を感じ取った?」

そういって、唐突に話を切り返してくる。

「この五年……てっ、そりゃ色々あったけど」

「そういう意味じゃあなくてキミが感じた異様だよ。」

「……。」

そう言われて一瞬で頭によぎったのは自分だけしか感じない身の回りの異様事態のこと。

「どうやら本当に色々と起きてたみたいね。まぁ、要するに、それはキミが観た現実であり、他人からしたら非現実。あなただけの特別な力。」

「……。つまり何がいいたい」

そういうとアィディーは微笑する。

「そんな急かさないで。まぁ、つまりキミは他人から見れば幻を見ている異常者。しかし、キミから見て起きたことは現実でも実際に実現する。例をあげるならキミが大地震で揺れを感じても他の人は揺れすら感じない。けど、被害は幻であれ現実であれ両方起きる。実際に大地震は起きているんだけどキミ以外は、それを感じることもできずにいつのまにか死に至る事だってあるでしょうね。」

「ちょっと待て!?それじゃあ、俺がこんな異常なものが見えるからって他人を巻き添えにするってことか?」

「いいえ。もともと起きていることを感じ取れない方の能力に問題があるから、キミが悪いわけじゃあないわ。」

「……。そうなのか?まぁ、大体の話はわかってきた。でだ……その話からすると俺にしか感じ取れない何かが起きるって事だろう。」

「飲み込みが異常に早いね。つまり、そうだね。キミの力は他者からすれば邪魔なんだよ。キミの力はやろうと思えば自然現象だけの異常以外でも感じ取れる。例えば人とか。普通は死霊なんて見えないけどキミの力はそんな枠に納まらない。そして、そんな力があるなら望むもの、または阻止するもの、駆除するものも出てくる。つまりだ……。」

アィディーがとった間が嫌な予感がした。

「キミは要するに獲物ってこと。五年前にキミの力は発動し、五年の歳月で完成した。そして、これは開幕を意味するって言ったらわかるよね。」

そう言うとアィディーは薄く笑みを作った。

……。

意味はわかった。わかったが……。

「納得できるか!狙われるって、つまり殺されるかも知れないって事だろ!」

「納得しようがしまいが関係ないわ。納得しないと利用されるだけ」

「っ……。」

つまり自分のために行動しろということか。

自由が欲しかったら戦えって……。

「あぁ……!わかった。今更、自分に後悔しても意味ないしな。それに自分には後悔し飽きた人生だ。今更どうなろうと変わったものじゃあない。で、それを俺に教えてあんたは何が目的なんだ」

睨み付けるように目線をアィディーへと向ける。

「私は無価値な存在。ただ生きているにはキミの存在が必要なだけ。だからキミには生きてもらわないといけないの。だから話をしただけよ。」

そう言うと、真か偽かわからないような怪しい笑みを浮かべる。

「……わかった。」

「話はそれで終わりね。がんばって頂戴。あと……敵は以外と近いうちに現れるわ。気をつけなさい。」

アィディーはそう言い残し暗闇へと入っていった。

「……。たく、いい加減に嫌な世界だな。まぁ、いい。この暗闇には慣れた。次の暗闇を目指すだけ……」そう、月に向かい独り言のように呟いた。

月は次期に雲に隠れるていった。

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