お宝争奪戦前夜1
拙作姉が過去からやって来た。のスピンオフです。台風少女や南雲先生の活躍が知りたい方はぜひとも目を通していただけたらと思います。
ゴールデンウィークは姉さんの作ったRPGの世界で冥王とバトッたりしてましたが、今度は夏休みに島に隠されたお宝をめぐるバトルに巻き込まれちゃいました。ごめん、わけわかんないよね? でもねー、僕の日常ってそんなもんなんです。鏡の中に吸い込まれたり、窓の外に忍びがいたり、結構散々な毎日を過ごしてるんです。そんな僕に訪れた夏休み。精一杯羽を伸ばそうと思ったんだけど、
「まあここもバカンスといえばバカンスよ!!」
なぜか本土を離れてしまいました。
「でも本当に財宝なんかあるのか? 正直なところあのパンダ見てると信憑性にかけるんだけど……」
だって普通に親登場したしなぁ……。しかも今日月曜じゃん、夏休みに入ってるとしてもクリフトとやらは何をしてんだか。
「こう先生、ロマン無いわね……」
「悪かったな」
確かにお宝というのは魅力的な響きだ。僕だって子供のころはインディジョーンズに夢中になったものだ。
「第一お宝なんていってる歳じゃないしな」
南雲航、年齢24歳、職業高校教師。うん、ロマンを追わずにロマンを語れだからな。何いってるか自分でも分からない……。
「で、だ。確かにお宝も重要だが、目下僕らには何とかしないといけない問題がある」
そう、それをまず何とかしないといけない。
「何で一つの部屋に二人なんだ……」
ドアのプレートには、
『南雲航☆香取理名」
と、つのだ☆ひろみたいに書かれている。ということは、
「同じ部屋?」
倫理的にどうなの、これって。
「大丈夫よ! だってこう先生南雲美桜と一緒に暮らしてるじゃない!!」
論理が飛躍してませんか?
「それとも、こう先生私と一緒が嫌?」
いつぞやの福家理名に戻ってしまう。普段強気なのに、時折こうやって昔懐かしい彼女の顔を見せる。僕これに弱いんだよな……。
「わーたよ、その代わり布団に入ってくるなよ?」
「そ、そんな破廉恥なことするわけ無いじゃない!!」
あー、そういやこの子ピュアだったよな……。