2∥夏休み前
二学期から五人は、Aクラスになることになった。
すごい、びっくり。
EASEはギリギリだったけど、他の四人は余裕でAクラスに入ってきた。
「さて、テストも終わったし。夏休みはCLUMSYの家で一緒に過ごすからね。」
HEEがテストの結果を見た日の帰りにそう言った。私は嫌だったので顔をしかめた。
「嫌よ。友達と買い物とかしたいのに。」
「ダメ?僕、CLUMSYちゃんと夏休み、一緒に遊びたいな。」
SADが目を潤ませてそう言うので、私は迷った。
「夢乃!やっと追いついた。」
そう言って、息を切らしながら、私の親友、勝篠 篠花【かつしの しのか】が走ってきた。
篠花は、WHITEさんの妹。WHITEさんに似て、スポーツ万能。スタイルも良くて、超美人。しかも、肌が白いと言う、白雪姫のような美しさ。身長は百五十五センチメートル。部活はチアリーディング部。学年で一番と言ってもいいほどの、人気者。
「あ、ごめん。この人達、歩くのが早いのよ。」
「それはいいけど。今日から、私、夢乃の家に泊まっていい?」
そう言われて、私はすぐにうなずいた。
「いいけど。どうしたの?」
「親がケンカしちゃってさ。何か、家にいるのが嫌で。あ、お兄ちゃんもいい?あと、AMUSINGさんも。」
え・・・なんか増えたぞ!三人も?しかも、EMOTIONS・5も家に来たら、全員は入らないよ。
と言うことで・・・
「うん、いいよ。あんたら五人は、絶対来ちゃダメだからね。」
私はそう言って、篠花の手を引っ張った。
すると、すぐに制服のそでをつかまれた。
SADだ。
目が・・・うるうるしてる。高校生がこんな顔をしていいの?反則でしょ?
こんなカワイイ顔をしたら、断り辛いのは当たり前でしょ?
「・・・SAD君も来る?」
いきなり篠花がそう言った。正気か?
いや、正気であっても、さそわないわけにはいかないか。
「うん、行く!」
SADが即答する。
「俺もいいだろ。兄貴がいるんだし。」
風雅が言った。ま・・・いいかな?
「じゃあ、風雅とSADだけは泊まりに来ていいよ。」
私がそう言うと、SADが私に抱きついた。
「イェーイ!嬉しい。」
この状況・・・嫌だな。
「まぁ、明日、遊園地に行くから、みんなも一緒に行かない?」
私がそう言うと、全員うなずいた。
「ちゃんとお金を持ってきてよ。私、おごらないからね。」
私がそう言うと、男子たちはちょっと不満そうだったが、ゆっくりうなずいた。
「ねぇ、夢乃ってこの中の一人と付き合ってるの?」
篠花にそう言われて、私はすぐに首を横に振った。
「まさか、お兄・・・」
「俺たち全員が、CLUMSYに言い寄ってるの。みんな、こいつが好きなんだ。」
私の言葉をさえぎって、HEEがそう言った。
「だからいつも一緒にいるんだ。」
篠花がそう言って、微笑んだ。
「まさか、夢乃に言い寄る男の子が出てくるとはね。よかったね、夢乃。モテ期がついにやってきたじゃない!」
篠花にそう言われて、私はため息をついた。
「こっちは怖いわよ。」
私がそう言うと、HEEに抱きしめられた。
「もう、CLUMSYかわいすぎ。」
HEEにそう言われて、私は赤くなって、HEEから離れた。
家に帰っても、誰もいない。母さんたちは、オーストラリアにいる知り合いのところに行っていて、一ヶ月間帰ってこないから、こいつらがいても、まぁ、たぶん問題ないだろう。
「食費は、決まった分しかもらってないから、あんたたち二人からもらうわよ。」
私は駅の前で、SADと風雅にそう言った。二人は、渋々うなずく。
私は突然あることに気づき、立ち止まった。
「篠花は持ってきてるみたいだけど、あんたたち、着替えとかは?下着と私服を十着ずつ持ってきてほしいんだけど。」
私が二人に言うと、二人は顔を見合わせて、
「家にあるから、取りに行く。」
と言った。
私はため息をついて、二人を見た。
「マジ?先に行ってるよ。」
私がそう言って、駅に入りかけると、SADに腕をつかまれた。目がウルウルしてる。やばい。
「ついてきてよ。ね?」
お前!それ反則だろうが!私がそう思っていると、篠花が私にいくように言ってくるし。
もう、仕方がないな。
「分かった。もう、そんな顔されたら、断るに断れないでしょう。」
私がそう言うと、SADはすごく喜んでいた。カワイイ。ダメだ。とても同級生とは思えない。