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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 序章:図書室のマスク男の噂 ――
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【004】図書室のマスク男④

「? なんだ? きみは?」

「あ……で、でた! ま、マスク男!」

「――確かに俺はマスクをつけているが……答えになっていない」

「出たー!!」


 ぼくが悲鳴を上げると、男が困ったような顔をした。


「俺は怪しい者ではない。この学校の理事会に、毎週土曜日ここへと入る許可をもらっている。水間廣埜(みずまひろの)という。俺の方こそ聞きたい。『出た』とはどういう意味だ?」

「4時44分44秒に『図書室のマスク男』が出るって……え?」

「確かに今は16時45分になったところで俺はマスクをしているが……はぁ。今はそんな噂があるのか。『図書室ピエロ』じゃなくなったのか」

「図書室ピエロ?」

「なんでもない、こちらの話だ。それで、なんだ? 都市伝説を調べにでも来たのか?」

「う、うん」


 おずおずとぼくが頷くと、水間さんがあきれたような顔をした。


「もう正体は分かっただろう。なんてことはない。二十四歳の大学院生が、図書室にいたと正確に広めておけばいい。人間だ。だが――危ないから、都市伝説を一人で調べようなんて二度とするな。生徒玄関まで送るから」


 水間さんはマスクの奥で、ため息をついた様子だ。

 ぼくは頷くしかなかった。


 送られて生徒玄関まで歩きながら、ぼくは何度もチラチラと水間さんを見た。

 特に会話はない。

 水間さんはぼくが見ていると気づいているのかいないのか、正面を睨みつけるようにして歩いている。


「廣埜、今帰りか? ――っと、楠谷(くすたに)?」


 その時、声がした。

 知っている声に、それまで心の中ではビクビクしていたぼくは、顔を上げる。

 廊下のところに今年から担任になった十焔寺泰我(とおえんじたいが)先生が立っている。紺色のウィンドブレーカー姿だ。ぼくの体から力が抜ける。泰我先生は学校でも人気者で、ぼくも大好きだ。近所のお寺の次男だと聞いたことがある。


「泰我、俺はまだ残る。この子を送りに来ただけだ」

「楠谷はなにをしてるんだ? 不審者についていってはダメだぞ?」

「それは俺を不審者だと言ってるのか?」

「冗談だよ冗談。廣埜が不審者でないというのは、幼なじみの俺がよく証明できる」


 幼なじみという言葉と、親しそうな二人の姿に、ぼくは気が抜けた。


「図書室で会ったんです!」

「勉強か? 偉いなぁ」


 泰我先生もお父さんと同じかんちがいをしている様子だ。

ぼくは言葉につまり、真相を知る水間さんを見た。水間さんは何も言わなかったけど、あきれた顔をしていた。


「ぼく、もう一人で帰れます!」


 早く帰ってしまおうと、ぼくは歩きはじめた。


「おう。また月曜日にな」


 泰我先生の明るい声がする。スニーカーをはいてから振り返ったぼくは、残った二人がろうかで立ち話をしているのを見たけど、そのまま家に帰ると決める。二人の話は聞かなくていい。それにもう、図書室のマスク男のウワサは確かめた。


 急いで自転車置き場へと向かい、自転車に乗ってこぎはじめる。

 途中で神社へと続く石段の前を通り過ぎ、角を曲がってマンションへと戻った。




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