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図書室ピエロの噂  作者: 鳴猫ツミキ(水鳴諒/猫宮乾)
【SeasonⅠ】―― 第四章:読んではいけない本 ――
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【029】ミイラ男

 その瞬間、ミイラ男に横から体当たりし、その首に水間さんが 念珠(ねんじゅ)を巻き付けて、ねじり上げた。ぼくをかばうように立った哀名は、ミイラ男の体に手で護符を貼り付けている。するとミイラ男が少しして、ガクリと力を抜き、床に座り込んだ。


 はぁはぁとぼくが生きをしていると、二人がぼくを見た。


「大丈夫か!?」

「楠谷くん、大丈夫!?」

「うん、へ、平気だよ」


 二人が助けてくれたからだ。だがそう言おうとしても、まだドキドキしていて言葉が出て来ない。ぼくはふるえたままで、ミイラ男を見る。


「この念珠があって助かった。泰我に借りておいてよかった」


 水間さんはそう言ってから、じっとミイラ男をにらんだ。


「動けないだろう?」

「オオ……オォ……はなセ……」

「聞きたいことがある。話してくれたら、解放する」


 強く言った水間さんは、念珠を引っ張る。すると首に手を当て、ミイラ男が頷いた。


「なんダ?」

「図書室ピエロの所在を知らないか?」

「……あア。最近あいつは、学校の中では、鏡から出られるようになったからっテ、図書室には全然帰ってこなク、なったなア。ピエロがどうかしたのか?」

「……学校内に、ピエロはいるのか?」

「学校内のことハ、人体模型にキくのが、一番だろうガ。違うカ?」

「理科室に行けばいいのか?」

「あいつも走り回ってるかラ、分からない。コレ以上は、オレも知らなイ。ハナせ! 約束だ!!」


 水間さんが悔しそうな顔をして、ミイラ男の首から念珠を外した。するとミイラ男が本に吸い込まれるように消えていった。ぼくの目の前で本がうかびあがり、自動的に閉じると、それは勝手にとんで、本棚に収まった。また誰かが見つけるのを待つのだろうか?


 ぼくがそう考えていると、水間さんがぼくのカタに触れた。


「瑛、それに哀名さん。危ないから、ここで二人は手を引いてくれ」


 真剣な顔をした水間さんを見て、ぼくは首を振る。


「人体模型こそ、学校にいるのに。水間さん一人で、どうやって調べるの?」

「……検討する。場合によっては、泰我に頼む」

「でも……」

「とにかく。危険なんだ。これ以上、二人を危険な目にあわせるわけにはいかない」


 ぼくが言葉に迷っていると、哀名がぼくの腕に触れた。


「楠谷くん、帰りましょう」

「……」


 うつむいたぼくは、なにも言葉がみつからないままで、立ち上がった。




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